男たちの旅路 1976年(昭和51年) ドラマ傑作選
吉岡晋太郎(鶴田浩二)は、警備会社に勤務する筋金入りのガードマンである。
彼は、戦時中の特攻隊の生き残りで50歳。
チャラチャラと遊んでいる若者の姿を見ると我慢ならなくなる性格だ。
そんな吉岡のもとに、柴田竜夫(森田健作)と杉本陽平(水谷豊)の二人の新人が
配属されてきた。
吉岡は陽平たちにギリギリに生きてきた戦時中から今にかけての自分の思いを語る。
若者に好かれようなどと思わない吉岡に、若い二人はなぜか心引かれるのだった。
彼らの勤務先は自殺の名所とされる高層ビル。夜間の自殺者を防ぐのが三人の仕事だった。
ところがある夜、そのビルに自殺を図る若い女性・島津悦子(桃井かおり)が忍び込んだ。
世の中や人々の平安を陰で支えるガードマンたち。彼らの仕事を通して社会のひずみ、
人生の意味を問い直す脚本家・山田太一の書下ろしのシリーズドラマ。
実際に戦争の惨禍を体験した世代で、自身も特攻機の整備士であった鶴田浩二が、
主人公の吉岡役に選ばれている。
特攻隊生き残りの堅物で、若者に迎合することのない中年男・吉岡と部下の若者たちの
反発し、理解し合う姿を温かく描き、視聴者の共感を呼んだ。
部下に向かって「俺は若いやつは嫌いだ」とズケズケ言いながら、若者の軽挙を諄々と
さとす吉岡役の鶴田の渋い演技は、若い年齢層をも魅了した。
(制作)NHK(脚本)山田太一
(配役)吉岡晋太郎(鶴田浩二)柴田竜夫(森田健作)杉本陽平(水谷豊)島津悦子(桃井かおり)
浜宮聖子(五十嵐淳子) 田中先任長(金井大)斎藤司令補(中条静夫)後藤士長(前田吟)