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サガsaga
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古ノルド語(Old Norse 古代アイスランド語)で書かれた、中世の散文物語群の総称。
12、13世紀のアイスランドで成立(著者は不明)
ノルマン人の植民前後からの史実や英雄伝説を年代記風に記したもので、長短百数十編が現存している。

サガは主題をもとに「王のサガ」「司教のサガ」「アイスランド人のサガ」「古代のサガ」
の4つに分類される。


「王のサガ」(Kings' sagas)は、歴代ノルウェー王の生涯を記している。

最大のものは、アイスランドの詩人・スノッリ・ストゥルルソン(Snorri Sturluson 1178〜1241年)の書いたノルウェー王朝史「ヘイムスクリングラ」(Heimskringla)である。
序章の「ユングリング家のサガ」(Ynglinga saga)でノルウェーの王家の系譜を神代から説き起こし、以下16のサガで一人一人の王の生涯と治世を語る。

ハーラル美髪王(Harald Fairhair 在位872〜930年)の統治872年から、マグヌス・エルリングソン王(Magnus V Erlingsson 在位1161〜1177年)
の1177年までの約300年を扱っているが、従来の聖蹟譚(せいせきたん)の誇張と不正確を排し、歴史と人物の真実を生き生きと描いている。

このほか、デンマークのバイキングたちの活躍を扱った「ヨームのバイキングのサガ」(Saga of the Jomsvikings)、
北米大陸やグリーンランド発見を語る「赤毛のエイリークのサガ」(Saga of Erik the Red)、
「グリーンランド人の話」(Saga of the Greenlanders)などが「王のサガ」に含まれる。


「司教のサガ」(Saints' and bishops' sagas)は、キリスト教の歴史と聖職者の生涯を記している。

アイスランド植民のもっとも正確な記録である「植民の書」(Book of Settlements)、
アイスランド略史「アイスランド人の書」(The Book of Icelanders)、
キリスト教改宗を扱った「キリスト教徒のサガ」(the book of Christianity)などを含む。


「アイスランド人のサガ」(Sagas of Icelanders)は、植民時代のアイスランド人の生活を記している。

中世きっての英雄で第一の詩人とされる主人公の、祖父の代から4代にわたる一族の波瀾に富んだ生涯を描いた「エギルのサガ」(Egil's Saga)、
無口で荒っぽくけんか早い性格のグレティルが、不運につきまとわれ、追放生活のすえ凄惨な死を遂げる「グレティルのサガ」(Grettis Saga)、

四度も結婚しながら、ついに最愛の者と結ばれることのなかった女性の執念を描いた「ラックサー谷の人々のサガ」(The Saga of the People of Laxardalr)、
対立する首長の抗争をめぐる「エイルの人々のサガ」(Eyrbyggja saga)、
友情と復讐の物語「ニャールのサガ」(Njals saga)があり、これらを五大サガと称している。


「古代のサガ」(Legendary sagas)は、アイスランド植民以前の英雄や伝説的人物の姿を描いている。

ニーベルンゲン伝説(Nibelungenlied)を内容とする「ヴォルスンガ・サガ」(Volsunga Saga)、
デンマークの英雄を主人公とする「ロールブ・クラキのサガ」(Saga of King Rolf Kraki)などがある。

(The Encyclopedia Britannica)

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