最高の離婚 2013年(平成25年) ドラマ傑作選


濱崎光生(瑛太)は、自動販売機の設置会社で働く営業マン。
苦手な営業に加え、飲み会も多く、実際、体のあちこちが調子悪かった。
そんな光生にとって、何よりも辛いのは、妻・結夏(尾野真千子)の存在だ。
結夏とは二年前に成り行きで結婚した。だが、愛しているのか…分からない。
とにかくおおらかで大雑把な結夏とは、全てが噛み合わないのだ。
そんなある日、光生は、大学時代の恋人・灯里(真木よう子)と再会する。
偶然の再会に、光生は、なんとなく浮かれてしまう。
だが、灯里には、美大で助手をしている夫・上原諒(綾野剛)がいた。
たとえ結婚していても、元カノと元のサヤに戻りたいというのは、大方の男性の願望だろう。
それが偶然出会ったり、再び親しく食事をしたりすると、なおさら期待感は強まる。
元カノが結婚していてもそうだし、していなければ余計にそうだと思ったりする。
そういう誰もが持つ願望を、ドラマは疑似体験させてくれるのだ。
本作は、30歳という転換点に立つ四人の登場人物を軸に描かれる。
主人公・光生は、神経質で口うるさくて面倒くさい男である。
そんな性格が災いして、妻・結夏から三行半をつきつけられてしまう。
だが実は、他の三人も、かなり面倒くさい人間ばかりだった。
妻・結夏は、よく言えばおおらかだが、夫の光生からすれば大雑把でガサツな女だ。
元カノ・灯里は、寂しがり屋を装っているが、実は暗くて些細な事を根に持つ性格だ。
その夫・諒は、飄々としたモテ男に見えるが、実は女にだらしない浮気男である。
ドラマでは、そんな面倒くさい四人が、いろいろな場面で衝突するシーンが描かれる。
脚本の坂元裕二の作品の中には、面倒くさい性格のキャラクターが数多く登場する。
そんな人間同士が、お互いに結婚生活を共にするのは、きっと大変な事なのだろう。
だが、その面倒くささが「その人らしさ」でもあり、それゆえ愛すべきキャラクターとも映る。
大事なことはいつだって、別れて初めて気がつくものである。
本作は、四人が、お互いを見つめなおしながら、それぞれ掛け替えのない相手の存在に気づき、
ハッピーエンドを迎えるまでの物語である。
(制作)フジテレビ(脚本)坂元裕二
(配役)濱崎光生(瑛太)濱崎結夏(尾野真千子)上原灯里(真木よう子)上原諒(綾野剛)
濱崎亜以子(八千草薫)初島淳之介(窪田正孝)瀬田智世(市川実和子)瀬田継男(松尾諭)
有村千尋(小野ゆり子)海野菜那(芹那)矢萩聡子(宮地雅子)
