幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ 1977年(昭和52年) 邦画名作選
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失恋した欽也は新車を買い、失恋の傷を癒すため、北海道を目指す。
網走でナンパした朱実と一緒に旅を続ける欽也は、中年男の勇作と知り合い、
三人で夕張にいる勇作の妻のもとへ向かう。
やがて勇作の口から少しずつ彼の過去の出来事が語られる。
ピート・ハミルの楽曲「幸福の黄色いリボン」を題材に、山田洋次が監督した人情喜劇。
六年間の刑期を終え、刑務所を出所した男が、若い男女と出会い、一緒に旅を続ける。
見知らぬ者同士が、世代を越え、信頼し合っていく姿を描いた人間賛歌のドラマである。
主人公の勇作を演じる高倉健が、揺れ動く不器用な男の心境を見事に表現している。
「行くのはよそう」と、ためらう勇作は、欽也と朱実に説得され、ようやく重い腰をあげる。
勇作は、自分が妻に拒否されている事実を知り、自分が傷つくことを恐れていたのだった。
だが帰宅した勇作の目に飛び込んで来たものは、空いっぱいにはためく黄色いハンカチだった。
幸せの絶頂を喜ぶ勇作と妻の姿に、欽也と朱実も、男女の愛の尊さを身に持って知ることになる。
この作品は、不器用だが一途な愛を知った若い二人が、本当の愛に目覚めていく成長物語でもある。
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製作 松竹
監督 山田洋次
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