集金旅行 1957年 (昭和32年) 邦画名作選 |
競輪に競馬と、ギャンブル好きの山本仙造は、女房に逃げられたショックで急死してしまう。
山本が持っているアパートは借金の抵当に入っており、住人達は相談の結果、家賃を踏み倒して
逃げていった人たちから勘定を取立てることにする。
集金人にされた旗良平(佐田啓二)と、昔の男から慰謝料を取りたい小松千代(岡田茉莉子)は、
一緒に岩国、松江、尾道、徳島と西日本各地を集金の旅に出かける。
二人は旅の途中で、喧嘩を繰り返しながらも、次第に恋仲になっていく。
やがて二人は、ハッピーエンドの結末で結ばれるに違いないと、観客の誰もが予感するのだが…。
1937年「版画荘文庫」に掲載された井伏鱒二の同名小説を映画化した文芸喜劇大作。
家賃の取り立て役になった男と、慰謝料の請求を思いついた女が、ともに集金目あての
旅に出かけ、行く先々でいろいろな事件に遭遇するロードムービー。
二人が集金のために徳島にやって来ると、ちょうど阿波踊りの真っ最中。
町じゅうで「エライヤッチャ、エライヤッチャ…」とやっている。
千代は、いつのまにか阿波踊りの熱気に巻き込まれ、皆と一緒に踊り始めてしまう。
昔の男から慰謝料を取りたてる女など、いくらでも嫌みになるところだが、岡田茉莉子は
むしろあっけらかんとした明るさで、水を得た魚のように演じている。
また、旅先に登場する花菱アチャコ、トニー谷らの芸達者を向こうに回した佐田啓二の
軽妙な演技も出色。彼の発した「教養が邪魔してね」というセリフは流行語になった。
製作 松竹
監督 中村登 原作 井伏鱒二
配役 | 旗良平 | 佐田啓二 | アパートの住人 | 桂小金治 | |||||||
小松千代 | 岡田茉莉子 | 金貸しの香蘭堂 | 十朱久雄 | ||||||||
望岳荘主人・山本仙造 | 中村是好 | 四国の大親分・津村 | 花菱アチャコ | ||||||||
妻 浜子 | 小林トシ子 | 医者の箕屋官次 | トニー谷 | ||||||||
子供 勇太 | 五月女殊久 | 松尾六造 | 伊藤雄之助 |