玉ねぎ横丁の花嫁さん   1976年(昭和51年)       ドラマ傑作選

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花丸加代子(香山美子)は、七年前、夫に蒸発された女やもめである。


夫の銀平(杉浦直樹)を探して各地を転々としたあげく、今は玉ねぎ横丁で暮らしている。


そんな加代子は、ふとしたことから、運送店の跡取り息子・石橋渡(石立鉄男)と出会う。

つき合いを重ねるうちに二人の仲は深まり、加代子は渡のプロポーズを受け入れて結婚する。


だが隣家に挨拶に行くと、前夫・銀平とばったり再会し、びっくり仰天する加代子だった。


再婚した元未亡人の隣に、蒸発した前夫が住んでいたことから起こる悲喜劇。





「だいこんの花」(1970年)「にんじんの詩」(1972年)から続く「野菜シリーズ」の第九作目。

玉ねぎ横丁を舞台に、好奇心が旺盛な住人達の悲喜こもごもな様子を描いたホームコメディー。


会社をクビになったことを悲観して、妻を捨てて蒸発した花丸銀平は、玉ねぎ横丁に住んでいる。

向かいに住む年下の友人・石橋渡は、銀平を頼りにし、何かと相談ごとを持ってくる。


ある日、思いつめた顔で訪ねて来た渡は、銀平に「好きな人がいる」と告白。

銀平は「思い切って打ち明けろ」と励まし、渡は恋人・加代子に結婚を申し込む。


渡の母親(沢村貞子)は、女が年上で、再婚と聞き反対するが、銀平の取り成しで何とか承諾。


二人は無事結婚するが、相手の女の顔を見た銀平は、腰を抜かすほど驚く。

渡の結婚相手は、銀平が七年前捨てた妻・加代子だったのだ。

加代子も銀平を見て驚くが、渡に本当の事を言えず後ろめたさに苛まれるのだった。



石立鉄男が人生の師として、杉浦直樹に心服していたのは有名な話である。

二人の初共演は、1970年(昭和45年)佐久間良子主演の「北条政子」(NET)だった。

杉浦直樹は、北条政子の夫・源頼朝、石立鉄男は、北条政子の弟・北条義時という配役。


このとき、下戸だった石立が初めて酒の味を覚え、遊びは全て杉浦から教わったという。

杉浦もまた石立のダンディズムを認めていて、当時からとてもウマが合ったようだ。

そういった二人の関係がドラマでそのまま生かされたのが本作品である。

   

 
(制作)テレビ朝日(NET)(脚本)ジェームス三木

(配役)花丸銀平(杉浦直樹)花丸加代子(香山美子)石橋渡(石立鉄男)銀平の内妻・早苗(春川ますみ)
銀平の弟・花丸五郎(岡田裕介)銀平の子・ター坊(荒木康一郎)加代子の父・定吉(佐野浅夫)

渡の母・石橋半子(沢村貞子)渡の妹・キミ(中西百合子)一心亭の源太郎(大坂志郎)野田巡査(谷啓
新聞販売店店主・藤井(牟田悌三)菊乃屋の邦子(中原早苗)八代亜紀(八代亜紀)



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                             あい逢い横丁(八代亜紀)