ザ・商社   1980年(昭和55年)       ドラマ傑作選

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江坂産業は、日本の十大商社の一角を占める大手総合商社である。


社主の江坂要造(片岡仁左衛門)は、日本で有数の美術コレクターとして知られている。

かつてピアニストを志し、英国留学の経験を持つ彼は、若い芸術家の保護者でもあった。


あるとき江坂は、無名の女性ピアニスト・松山真紀(夏目雅子)を自分の元へ呼び寄せる。

江坂というパトロンを得た真紀は、その後、音楽を学ぶためニューヨークへ渡る。


一方、江坂産業の米国支社長・上杉(山崎努)の目に、石油についての小さな記事が飛び込む。




石油は総合商社・江坂の唯一の泣き所だった。会社にとって石油は何ものにも替え難い。

上杉はその石油のために、ニューヨークの大ブローカー、アルバート・サッシンと手を握る。


サッシンとの石油代理店契約には、上杉の独断で6千万ドルの金が支払われた。

そんなおり、上杉はニューヨークで、一流ピアニストを目指す松山真紀と知り合うのだった。




安宅産業倒産事件(1975年)を題材にした松本清張の小説「空の城」をドラマ化。


石油事業で後れをとる総合商社・江坂産業は、米国人ブローカーと手を組み、
カナダの一寒村にできた石油精製会社に資金を融資する。


だが、1973年の石油ショックで、精製会社は倒産してしまい、多額のこげつきを
抱えて江坂産業自体も崩壊の危機に面する。


会社の危機をよそに美術品収集に明け暮れる商社の社主と、倒産を食い止めるため
孤軍奮闘する米国支社長(山崎努)の姿を中心に、ビジネス戦争の非情を描く。


社主の愛人役のピアニストを夏目雅子が熱演し、本格女優への足場を固めた。
   

 
(制作)NHK(原作)松本清張(脚本)大野靖子

(配役)上杉二郎(山崎努)有本七郎(浜田光夫)江坂要造(片岡仁左衛門)松山真紀(夏目雅子
矢代かおる(水沢アキ)木村準一(森本レオ)木村朋子(村地弘美)関根修司(勝野洋)
八田恭三郎(佐分利信)アルバート・サッシン(ケン・フランケル)



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