妻は告白する   1961年 (昭和36年)     邦画名作選
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登山中事故に遭い、自らと年下の男の命を救うため、あえてザイルを切って夫を転落死させた妻。

彼女の行為はやむを得ないものだったのか、それとも故意だったのか? 
やがて殺意の有無を問う裁判が始まるが…。


雪山での遭難。夫(小沢栄太郎)のロープを切って助かった妻(若尾文子)をめぐる法廷サスペンス。
夫に対する憎悪と、取引先の若い男性(川口浩)を一途に愛するがゆえの狂気が浮き彫りに描かれる。

ラストシーン。雨に打たれ、全身ずぶ濡れになったヒロイン若尾が、川口に懇願するも、突き放され、
悲痛な叫び声をあげ、絶望したまま死に突き進んでいくその哀しくも美しい姿に観る者は圧倒される。

増村保造が、本作のテーマについて「日本的環境から自立する女」(キネマ旬報)と語ったように、
日本の強固な結婚制度に縛られ、苦渋の人生を歩む被害者の立場に焦点があてられている。

裁判の過程で「妻は夫に従うべき」「一緒に死なないのはおかしい」という検事の尋問がなされる。
自らの情念を貫き通すヒロインの姿は、そういった旧来の日本的価値観に対する痛烈な批判である。


  製作  大映
  監督  増村保造

  配役    滝川彩子 若尾文子     宗方理恵    馬淵晴子      内海裁判長 大山健二
      幸田修 川口浩     杉山弁護士    根上淳      総務部長 谷謙一
      滝川亮吉 小沢栄太郎     葛西検事    高松英郎     

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