腕におぼえあり 1992年(平成4年) ドラマ傑作選
東北の小藩に仕える青江又八郎(村上弘明)は、剣の達人で城下の道場で師範代を務めている。
あるとき、藩主毒殺の陰謀を立ち聞きしてしまい、止む無く許嫁の父親を斬り殺してしまう。
脱藩して江戸へ出てきた青江は、口入れ屋の相模屋(坂上二郎)から割のいい用心棒稼業を
引き受け、長屋住まいの日々を送っていた。
世は元禄時代、江戸の町は赤穂浪士の討ち入りが間近ではないかとの話題で持ちきりだった。
やがて青江は、許嫁が父親の仇討ちのため、弟と一緒に江戸にやってくるという噂を耳にする。
青江は、何とかして真実を打ち明けたいと悩むのだが…。
1976年「小説新潮」に連載された藤沢周平の時代小説「用心棒日月抄」のドラマ化。
主人公・青江又八郎の用心棒稼業を縦糸に、赤穂事件を横糸にして、そこに国許からの
刺客との対決が絡まって展開するという痛快娯楽時代劇。
「よろずもめごと仲裁」の用心棒稼業を始めた青江又八郎が、豪快な殺陣に人情も絡め、
舞い込む依頼を颯爽と解決していく姿が、多くの視聴者の人気を集めた。
この当時の時代劇は、ベテランが主役を演じることが多かったが、若々しさ、瑞々しさを
存分に放つ村上の存在は、若い年齢層にも時代劇の魅力を伝える格好の入り口となった。
正統派時代劇に現代感覚を盛り込んだこの番組は、1990年代を象徴する作品の一つといえる。
(制作)NHK(原作)藤沢周平(脚本)中島丈博
(配役)青江又八郎(村上弘明)平沼喜左衛門(御木本伸介)由亀(清水美砂)平沼麟之丞(香取慎吾)
相模屋吉蔵(坂上二郎)おいね(小田茜)細谷源太夫(渡辺徹)文(風吹ジュン)
大石内蔵助(江守徹)柳沢吉保(石坂浩二)