鶯
(うぐいす) 1938年(昭和13年)
      邦画名作選

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東北のある田舎町の駐在署、そこには様々な事情を抱えた人々が集う。

キン婆さん(藤間房子)は、曲馬団に売った娘が急に恋しくなり、警察に捜索願いに来た。

先客には、行方不明になった五人目の婿の捜索願いにやって来た娘(霧立のぼる)がいる。

駐在署の奥では、もぐりの産婆をやっている八重(杉村春子)が取り調べを受けている。

八重は、自分は人助けをしているつもりなのに、犯罪人扱いされて大いに怒っている。

するとそこへ産気づいた身重の女が、警察に運び込まれてきた…。



伊藤永之介の同名小説をもとに、悲喜こもごもの人間模様が群像形式で描かれる。


いきなり妊婦が担ぎ込まれて、男ばかりの駐在署は、時ならぬ大騒ぎとなる。

やむなく取り調べ中のもぐりの産婆が駆り出されて、めでたく出産。

そんなこんなで繰り広げられる農村の駐在署の善意のドラマである。


ここには、身売り、泥棒など次々に事件が起こるが、貧しさゆえのものばかり。

人情家の署長(勝見庸太郎)は、むしろ罪を犯すものに同情してしまう。


当時の農村の貧困は、冷害などの影響もあるが、一つには国力不相応に
大きな軍備を維持した政策のせいである面が大きい。

本作は、東北のある駐在署を舞台に、当時の深刻な世相を活写した秀作である。




 
  製作  東京発声   配給  東宝

  監督  豊田四郎   原作  伊藤永之介

  配役   駐在署長 勝見庸太郎 百姓娘 霧立のぼる   鶯を売る女 堤真佐子
      人事主任 御橋公 その母 清川虹子   鶏泥棒 藤輪欣司
      キン婆さん   藤間房子         産婆・八重   杉村春子        

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