柳生一族の陰謀   1978年(昭和53年)       邦画名作選
直線上に配置                        


徳川二代将軍秀忠が病気のため急死した。

葬儀が執り行われるなか、すぐさま跡継ぎ争いが始まった。

秀忠の長男は家光(松方弘樹)であったが、秀忠を始め家族たちは
次男の忠長(西郷輝彦)を次期将軍に推していた。


一方、家光を推す松平伊豆守は、将軍家指南役・柳生但馬守(萬屋錦之助)に
内密に相談をもちかける。

こうして血で血を洗う権力闘争の火ぶたが切って落とされるのであった。



三代将軍の座をめぐる骨肉の争いに巻き込まれた柳生一族の存亡をかけた壮絶な闘いを描く。

本作は、萬屋錦之介扮する柳生但馬守をダークヒーローとして描く点など、史実の間隙を縫う
新解釈を打ち出しており、エンターテイメント性に富んだ作品となっている。


やくざ映画専門の深作欣二は、萬屋錦之介の「大仰なセリフ回し」に面食らったという。

現代劇出身の役者を多用していたため、錦之介の演技が完全に浮いていたためであった。

深作が「もっと現代劇に近づけるやり方はないか」とクレームをつけたところ、萬屋は
「他の方は知りませんが、私はこれでやらせていただきます」と譲らなかったという。


結果、映画は興行的に大成功を収め、錦之介のラストの歌舞伎調のセリフは流行語にもなった。

錦之介が亡くなったとき、深作は「役柄を一番理解していたのは錦之介だった」と述懐している。



  製作  東映

  監督  深作欣二

  配役 柳生但馬守 萬屋錦之介       柳生十兵衛 千葉真一       出雲の阿国 大原麗子
  徳川家光 松方弘樹       松平伊豆守 高橋悦史       ハヤテ 真田広之
  大納言忠長 西郷輝彦       小笠原玄信斉 丹波哲郎       尾張大納言 三船敏郎

直線上に配置