嫁の座 2009年(平成21年) ドラマ傑作選
朱美(田中好子)は、東京・浅草にある老舗料亭「鬼の家(や)」の若おかみ。
ある日、店の実権を握る大おかみのたまき(野際陽子)が散歩中に転倒し、病院に運び込まれる。
店を取り仕切るたまきが不在になったため、店の営業がままならない事態に。
大だんなの周平(伊東四朗)と主人の龍太郎(村田雄浩)は、若おかみの朱美に任せようとする。
しかし、たまきはそれを認めず、帳簿類を税理士の木村(桐山浩一)に預けてしまった。
その木村から、朱美らは店の経営状態がかなり悪いことを知らされる。
やがて退院したたまきが家に戻ってきたところで、店の立て直しについて家族会議が開かれた。
朱美らは、立て直し策を前向きに提案するが、へそを曲げたたまきと口論になってしまう。
主演の田中好子は、歌謡トリオ、キャンディーズの一員で、1978年「普通の女の子になりたい」
と言って引退したが、やがて女優として蘇った。
1989年、映画「黒い雨」で日本アカデミー主演女優賞を受賞し一躍、演技派女優の地位を確立。
本作「嫁の座」では、嫁いびりの姑と壮絶バトルを繰り広げる料亭の若おかみを好演している。
物語の舞台は、大おかみのたまき(野際陽子)が君臨する浅草の老舗料亭「鬼の家」。
家族会議では、たまきが当然のように上座に座る。
本作の見どころは、威勢の良い嫁姑に対して、実に弱々しい夫たちの極端な対比である。
男衆は、大おかみに意見することを「クーデター」と言って、ビクビクしている。
なんと、急な来客があると、大だんなの分の食事が客に与えられてしまうほどなのだ。
今は「亭主関白」も死語になったのか「ウチの嫁が…」などとぼやく夫がわんさかいるらしい。
だが、ドラマも現実も、そんな夫たちは、なんか幸せそうに見えるのではないだろうか。
(制作)フジ、大野木オフィス(原作)平岩弓枝(脚本)金子成人
(配役)鬼島朱美(田中好子)鬼島龍太郎(村田雄浩)鬼島たまき(野際陽子)鬼島周平(伊東四朗)
鬼島樹一(内田朝陽)田中智(原田夏希)木村(桐山浩一)小春(淡路恵子)三枝子(岩崎宏美)