夕陽ヵ丘三号館 1971年(昭和46年) ドラマ傑作選
ここは東京郊外にある一流商社の社員団地。
最近、団地夫人の間で副収入稼ぎにアルバイトがはやっている。
山野夫人が、その口火をきってメーカー製品のアンケートをとるバイトを始めた。
夫が定年になっても、ある程度の貯えがないと、老後の生活がシンドイらしい。
そんなことを考えていない音子(八千草薫)は、内心ビックリ。
一方、藤野夫人も娘のバレエ学校で知り合いになった高根夫人から、宴会の
ホステスを内職にしているときかされ、さっそくとびついた。
藤野夫人は、娘二人を音子にあずけ、得意満面で出かけていった。
だが、音子が買物に出かけている最中に、娘の一人が行方不明になってしまう。
1970年「毎日新聞」に連載された有吉佐和子の同名小説が原作。
東京郊外の社員団地を舞台に、一見優雅そうに見えるエリート社員の夫人たちの
虚栄や嫉妬を風刺的に描いたホームドラマ。
サラリーマン家庭に起こる諸々の出来事を主人公・時枝音子を軸に描いた作品で、
当時の世相や受験戦争の激化といった社会問題を盛り込んだ内容となっている。
当時は専業主婦が当たり前の時代だった。
団地に住み、隣もそのまた隣もみな同じような生活で、暇を持て余し、そのパワーが
子供やご近所様との比較に費やされる日常だった。
この時期の流行語に「寿退社」「三食昼寝付き」「教育ママゴン」などがあった。
時代が変わり、これらの言葉は死語になり、女性が働くことが当たり前になった。
だが、いつの時代も女性は比べるのが好きなようで、根本の部分は変わっていないようだ。
(制作)TBS、国際放映(原作)有吉佐和子(脚本)井手俊郎
(配役)時枝音子(八千草薫)夫・時枝浩一郎(山内明)息子・悟(小林文彦)
山野夫人(園佳也子)藤野夫人(山岡久乃)井本夫人(冨士真奈美)寺尾夫人(うつみみどり)