友情    1975年 (昭和50年)            邦画名作選

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夏休みのアルバイトで、山奥のダム工事現場に向かう学生の宏(中村勘九郎)。

そこで粗暴だが、なぜか憎めない一人の男と出会う。名は矢部源太郎(渥美清)。

源太郎の品のない振る舞いに、最初は抵抗を覚えた宏だった。

だが、自由奔放に生きる源太郎の姿に、次第に惹かれてゆく。

ある日、宏は左腕を骨折する事故に巻き込まれる。

駆けつけた宏の同棲相手であるOLの紀子(松坂慶子)は、意外に元気な宏の姿に安堵する。

退院し東京に帰る宏を見送りにきた源太郎は「もう会うことはないだろう」と告げる。

ところが数ヵ月後、二人は東京で思わぬ形で再会する。



歌舞伎の中村勘九郎と渥美清という異色の顔合わせで、女の稼ぎとバイトで暮らす苦学生と
流れ者の中年労務者の善意あふれる交流を描いた人情ドラマ。


建設現場で働く源太郎(渥美)は、もう六年間も瀬戸内の小島にある故郷に帰っていない。

もと漁師だった源太郎は、不漁で出稼ぎをするようになり、そこで行きつけの店の女に
金を持ち逃げされ、故郷への仕送りも滞ってしまったのだ。


ようやく気持ちを決め、故郷に帰ったのだが、妻は再婚して、新しい家庭で暮らしていた。

子供達も源太郎の顔を覚えてはおらず、全てを察した彼は、無理に作った笑顔を残して立ち去る。

再び故郷をあとにした源太郎は、帰りの船の中で一人号泣するのだった。



源太郎は、酒好きでサボり癖のある男だが、どこか憎めず、誰からも愛される男だ。
だが、徐々に明かされる彼の過去が切ない。


誰が悪いと言うわけでもないのだが、二度と元に戻れなくなった源太郎夫婦の姿に、
自分と紀子の関係を重ね合わせる宏。

宏は大急ぎで東京へ戻り、紀子に「絶対に別れない」と固く誓うのだった。


 
 
  制作 松竹

  監督 宮崎晃
           
  配役   矢沢源太郎    渥美清           河内健太    米倉斉加年          川辺   名古屋章 
      三浦宏   中村勘九郎         矢沢加代    佐々木愛          安岡    谷村昌彦 
      友部紀子    松坂慶子          矢沢松吉    笠智衆          友吉 加藤嘉

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