絶唱 1958年(昭和33年) 邦画名作選 |
順吉は大地主の一人息子。小雪は地主に雇われる猟師の娘だ。
二人の恋を巡って父親と対立した順吉は、小雪と駆け落ちし、小さな所帯を持つ。
だが、やがて戦争がはじまり順吉は兵隊に、小雪も病に倒れてしまう。
大江賢次の同名小説を八住利雄が脚色、滝沢英輔が監督した純愛悲劇。
小林旭と浅丘ルリ子の初共演作。小林は当時20歳、浅丘は18歳。
二人の初々しい演技が作品の純愛性に見事にマッチしていた。
小雪を演じた浅丘ルリ子は、これまでの飾り物的なアイドル女優の
役どころとはうって変わり、悲劇のヒロインを見事に演じきっている。
死の床にある小雪は「帰って来る、ほら、あの人の足音が聞こえる…」
と、うわ言のように言い続ける。
だが、彼女を見守る一同は、夫を思うあまりの幻聴と憐れむのである。
果たして、彼女が息を引き取るのと同時に、夫は帰宅する。
まだ社会に戦争の記憶が色濃く残っていた当時、夫の帰還を待ちわび、
ついに無念の死を遂げた小雪の哀れさが多くの観客の涙を誘った。
製作 日活
監督 滝沢英輔 原作 大江賢次
配役 | 園田順吉 | 小林旭 | 小雪 | 浅丘ルリ子 | ||||||||
父 惣兵衛 | 柳永二郎 | 父 正造 | 小杉勇 | |||||||||
順吉の許嫁 | 香月美奈子 | 母 サト | 山根寿子 |