1933年(昭和8年)2月、満州国は国際連盟で否認されたが、同年3月、
日本は連盟を脱退し、その後も反日行動を排除する名目で軍事行動を続けた。
当時、蒋介石率いる国民党は、毛沢東の共産党との内戦が続いていたため、止むなく
1933年5月、日本と停戦協定を結んで、日本の満州支配を黙認することにした。
だが、その後日本はさらに満州に隣接する華北地方へ政治的影響力を強めていった。
これにより中国世論は抗日に傾き、1936年(昭和11年)12月、連共抗日を主張する
張学良らによって蒋介石が西安に監禁されるという事件が発生。(西安事件)
その後、共産党の周恩来らの調停によって蒋介石は釈放され、
ここに及んで、ついに蒋介石も共産党との内戦を停止して
日本と対決するという声明を発表した。
1937年(昭和12年)7月7日、北京郊外の盧溝橋で夜間演習中の日本軍と、
この地に駐屯していた中国軍との間に発砲事件が発生した(盧溝橋事件)
この盧溝橋事件を機に日中は全面戦争状態に突入する。
これを対外的には「支那事変」と呼んでいる。
戦争ではなく「事変」という理由は、国際法への配慮だった。
米国は戦争に巻き込まれることを回避するために、軍需物資の
戦争当事国への輸出を禁じている。
日本では天皇の大詔(宣戦布告)は発せられず「事変」として処理され、
また中国も「七七事変」として、米国から軍需物資の輸入を続けた。
1937年(昭和12年)8月、日本軍は上海を落とし、同年12月、
国民党の首都・南京を占領した。
しかし国民党は南京から重慶に首都を移し、国共合作を背景に
抗日民族統一戦線を固め日本軍との戦いを続けた。
1938年(昭和13年)4月、北京から南京への交通路を奪うため、
日本軍は徐州を攻撃、5月、徐州を占領したものの、中国側は
日本軍との交戦を避けて撤退、主力部隊の温存に努め、
長期戦に日本を引き込む戦略に切り替えた。
一方、中国に利権を持つ英米は、仏領インドシナから「援蒋ルート」
と呼ばれる支援路で重慶の蒋介石を支援した。
また毛沢東の共産党も各地の抗日根拠地でゲリラ戦による抵抗を続けたため、
戦況はついに泥沼化の様相を呈し始めた。
1941年(昭和16年)12月8日、日本は第二次世界大戦並びに太平洋戦争に枢軸陣営側として参戦。
同年12月9日、蒋介石の重慶政府が日本に宣戦を布告。これにより日中戦争は、太平洋戦争における中国戦線となった。
昭和前期世相年表 (1926−1945年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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山東出兵 1927年(昭和2年) 政府、居留民保護を理由に中国山東省に出兵 (5.28) 三・一五事件 1928年(昭和3年) 政府、共産党関係者1568名を一斉検挙(3.15) 関東軍爆殺事件 1928年(昭和3年) 中国駐留の関東軍、奉天に引き上げ途中の 張作霖を爆殺(6.4) 統帥権干犯問題 1930年(昭和5年) ロンドン海軍軍縮条約調印につき、軍の承認 なしに兵力を決定することは、天皇の統帥権 を犯すものとして、政友会が浜口内閣を攻撃 (4.25) 満州事変 1931年(昭和6年) 関東軍、満州の武力占領計画を実行するため 奉天郊外柳条湖の満州鉄道線路を爆破。 これを中国側の行為として総攻撃を命令 (9.18) 上海事変 1932年(昭和7年) 日本人僧侶が上海で中国人に殺傷され、日中 両軍の武力衝突に発展。 のちに日本軍部の謀略と判明(1.28) 五・一五事件 1932年(昭和7年) 軍部急進派が首相官邸を襲撃、犬養首相 を射殺(5.15) 天皇機関説問題 1935年(昭和10年) 主権は国家にあって天皇にはないとする 美濃部達吉の学説が軍部に排撃され 美濃部は貴族院議員を辞任(2.18) 二・二六事件 1936年(昭和11年) 青年将校、兵1400人を率いて首相官邸を襲撃、 高橋是清蔵相を殺害、国家改造を要求(2.26) 日中戦争 1937年(昭和12年) 北京の盧溝橋で日中両軍衝突(7.7) ノモンハン事件 1939年(昭和14年) 満州とモンゴルの国境付近ノモンハンで ソ連軍と関東軍が武力衝突(5.11) |
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