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【第五課 第十五節】   小説読解


  「长腿叔叔」 (二)   简·韦伯斯特    


乔若莎·艾伯特小姐 给长腿史密斯先生的信


亲爱的送孤儿上大学的好心理事:

我终于到了! 昨天搭了四个钟头的火车。心中充满了新奇感,不是吗?我还从来没有坐过火车呢。

校园真是好大,是很容易就把人搞糊涂的地方——我只要一离开房间就会迷路。
等我对周围环境熟悉了一些再对您描绘我的校园,并汇报我的功课。

现在是星期六晚上,要到下星期一早上才开课。不过我还是想先写封信让我们彼此认识一下。
写信给陌生人是件挺奇怪的事。
对我来说,写信本来就够奇怪的了……我这辈子到现在就写过三封信,要是写得不规范,请您多多原谅。

不过昨天早上出发前,李皮太太和我作了一次严肃的谈话。
她告诫我今后一辈子如何为人处世,尤其对有恩于我的好心先生更要注意自己的言行。我一定记得对您要非常的“尊敬”。

不过,对一个叫约翰·史密斯的人,怎么尊敬得起来呢?
您为什么不挑个有点个性的名字呢?我好比在给亲爱的拴马桩或衣服架写信。

整个夏天我想了很多关于您的事。
这么多年来突然有人关心我,让我觉得好像找到家一样,觉得有了归属感,这是一种令人陶醉的感觉。

但不论如何,我必须承认,当我想到您的时候,我的脑子总是空荡荡的。我只知道三件事:
一、您长得很高。
二、您很有钱。
三、您讨厌女孩子。

我想我可以称您为“亲爱的恨女人先生”,不过这有伤我的自尊。
或许我可以称您为“亲爱的有钱人”,不过这样又侮辱您的人格,好像您惟一值得提的就是钱。
此外,“富有”是一种很肤浅的特征。您也许不会—— 一辈子都有钱,有很多聪明人也都在华尔街惨遭滑铁卢。

不过您的身高是改变不了的,所以我决定称您为亲爱的长腿叔叔。
希望您别介意。这只是个私底下的称呼,没必要告诉李皮太太。

再有两分钟,十点的钟声就要响起了。我们的—— 一天被钟声分成好几段。我们吃饭、睡觉和上课都照着钟声来。
这让我生气十足,我随时都像匹野马。

该熄灯了。晚安。
瞧! 我多守规矩——全亏约翰·格利尔孤儿院的训练。

尊敬您的乔若莎·艾伯特
九月二四日于弗高森楼二一五室


亲爱的长腿叔叔:

我喜欢大学,也喜欢送我来这的您——我真的非常非常快乐,时时刻刻都兴奋得快睡不着了。
您无法想像这里跟约翰·格利尔孤儿院是多么得不同。我从不知道世上还有这样的好地方。
我深深地为那些不是女孩,不能来上大学的人感到难过。我相信您以前读的大学一定没有这么好。

我的房间在新医务室盖好前,被用来当做传染病房的大楼里。
这层楼还有另外三个女孩子——一个戴眼镜的高年级女生,老是要人家安静一点,还有两个新生,莎莉·麦克白与茱莉亚·平莱顿。

莎莉有一头红发和一个翘鼻子,人很和气。茱莉亚出身纽约名门,还没注意到我。
她们俩同屋,那高年级女生跟我住单人房。单间很少,新生一般不能住的,我甚至没提要求就得到了一间。
我猜是注册处的人觉得让有教养的女孩跟孤儿住在一起不太妥当。您瞧,还有优越性呢!

我的房间在西北角,有两扇窗,窗外景色宜人。在跟二十个人在一个宿舍住了一八年后,如今独处一室,我感到很轻松。
我想这是让我认识乔若莎·艾伯特的良机。
我想我会喜欢她的。

您呢?
 
她们正在招募新生篮球队员,我要去争取这个机会。
没错,我长得很瘦小,不过我反应很敏捷,身体强壮,当其他人跳到半空时,我可以从她们的脚底下抢到球。

练球很有意思。下午,操场前满树红叶、黄叶,空气中充满了燃烧落叶的气味,大家又叫又笑的。
这是我所见到的最快乐的女孩子们了,而我是其中最快乐的一个。

本来打算写封长信跟您谈谈我的功课 (李皮太太说过您想知道的)。
不过第七堂课刚结束,再过十分种我就要换好运动服在空地上集合了。您希望我会入选吧?

您永远的
乔若莎·艾伯特
星期二

又及:
莎莉·麦克白刚才探头进来说:“我想家想得快受不了了,你呢?”
我笑了笑说:“才不呢。我想我能挺得过去。”

至少思乡病是我绝不会染上的疾病,没听说过有人想孤儿院的。


亲爱的长腿叔叔:

您听说过米开朗琪罗吗?
他是中世纪意大利著名画家,上英国文学课的人好像都知道他。我说他是个天使,惹得全班哄堂大笑。

可那名字听上去很像天使,您说是吗?糟糕的是在大学里,大家都认为你应该懂得一些你根本没学过的东西。
有时真的让人很尴尬,不过现在只要女孩们提到我不懂的事,我就闭口不言,自己回去查查字典。

上学第一天我闹了一个大笑话,有人提到麦特林克,而我就问她是不是一个大一新生。
这个笑话传遍了整所大学。不过还好,我在课堂上表现得比谁都不笨,甚至比一些人还要好。

您想知道我的房间布置吗?它是一曲棕黄相间的交响乐。
淡黄色的墙壁,配上我买来的黄色粗布窗帘和靠垫,一张三美元的旧红木书桌,一把藤椅,
一条正中有墨水迹的棕色地毯,我把椅子放在有墨迹的地方了。

窗户很高,坐在椅子上望不到窗外。
我把镜台上的镜子拆掉,铺上桌布,随后移到窗前,坐在上面看窗外高矮正合适。
我把抽屉开成了阶梯式,上来下去,真够舒服的。

这些东西是莎莉·麦可白帮我在高年级学生办的拍卖会上挑的。
她从小到大都在家里住,对于家具摆饰还颇有经验的。

如果您这辈子手里从没有超过五毛钱,您是很难体会那种购物的乐趣。
我用一张真的五元钞票去买东西,还能找些零头回来!
我向您保证,亲爱的叔叔,我对您给的零用钱真的心存感激。

莎莉算是全世界最好的人了,而茱莉亚·平莱顿则相反。
注册处的人将这么一对安排在一起,可真够古怪的。

莎莉觉得每件事,甚至连考试不及格都很有趣。
而茱莉亚则不然,事事都让她不开心,对人从未有过亲切的表示。
也许她相信,只要是平莱顿家族的,无庸置疑一定可以上天堂的——而茱莉亚跟我是天生的冤家。

现在您一定急于知道我的功课情况吧?

一、拉丁文:第二次布匿战争。昨晚,汉尼拔和他的部队在特拉西美诺湖安营扎寨。
他们在罗马人周围埋下伏兵,凌晨四点打了一仗,罗马人在退却。

二、法文:我读了二四页《三剑客》,学了第三组不规则动词的变化。

三、几何学:学完了圆柱体,在学圆锥体。

四、英文:学习表达能力。我的风格日益清晰、简练。

五、生理学:进行到消化系统,下节课学胆和胰。

您的正在受教育的 
乔若莎·艾伯特

十月十日

又及:
酒能伤肝,我希望您滴酒不沾。


亲爱的长腿叔叔:

我改名字了。在学校花名册上我仍叫乔若莎,不过在其他场合我就叫茱蒂了。
要自己为自己取一个小名实在很悲哀,不是吗?

不过茱蒂也不是我凭空捏造的。弗莱迪·珀金斯牙牙学语前,都是这样叫我的。
我希望李皮太太以后在给小宝宝取名字时能多动一点点脑筋。

她从电话簿上取我们的姓氏——您要是翻开第一页就会看到艾伯特了。
而名字则都是信手拈来的,乔若莎是她从一块墓碑上看到的。
我一直都很讨厌这名字,不过我挺喜欢茱蒂的。

这是一个傻呼呼的名字,应该是一个与我完全不同的女孩子,一个有一双蓝眼睛,甜甜的,
娇生惯养,什么都不用烦恼地过一辈子的女孩子。那样该有多好啊!

不管我犯了什么错,都没人可以说是我的家人把我惯坏了。
不过假装一下也挺好玩的。以后就请叫我茱蒂吧。

您想知道吗?我有三副羊皮手套了。
从前,在挂在圣诞树上的礼物中我得到过羊皮无指手套,但从来没有分开手指的那种真的羊皮手套。
我不时拿出来戴在手上,好容易才忍住没有戴到教室去。

午饭铃响了,再见!

星期三


叔叔,您猜怎么着?英文老师夸奖我上一篇作文别出心裁。她真的这么说!她就是这么讲的。
想想我这一八年来受的训练,这似乎不太可能,不是吗?约翰·格利尔孤儿院的目的,
就是要把九十七个小孤儿变成九十七个相貌、言行举止都一样的人。

我不寻常的艺术天分,倒是在很小时就在门板上画李皮太太培养出来的。
我对小时候的家说长道短,希望您不要不高兴。
不过您大权在握,如果我冒犯了您,您随时可以停止您的资助。
这样说是不够礼貌,不过您不能期望我有什么教养,孤儿院毕竟不是淑女训练学校。

叔叔,您知道的,大学里难的不是功课,而是娱乐。
很多时候,我都不懂女孩们在谈些什么,她们的玩笑似乎都与她们的过去联系在一起。

这个过去人人有份,却与我无缘。我在她们的世界里就像是一个外国人,听不懂她们的语言。
我很沮丧,我这一生浸透了沮丧。

高中时,女孩们一群一伙的,冷眼相看。我很奇怪,与众不同,人人都知道这一点。
我似乎感觉“约翰·格利尔孤儿院”就写在我脸上。然后会有一些好人走来安慰我。
我恨他们每一个人——尤其是那些好心人。

这里没有人知道我是孤儿院长大的。
我告诉莎莉·麦克白我父母双亡了,是一位好心的先生送我上大学的——到目前为止,这都是事实。

我不希望您觉得我很蠢,不过我真的希望跟其他女孩子一样,而那可怕的孤儿院的阴影却笼罩着我的童年,把我和大家隔绝开来。
若能忘怀此事,把它们逐出脑海,我想我应该可以变得跟其他女孩子一样可爱。
我不认为自己和她们有什么真的区别。您说是吗?

无论如何,莎莉·麦克白喜欢我!

您永远的
茱蒂·艾伯特

星期五


我刚才又把信重读了一遍,调子似乎很低沉。
但是,您可能猜不到,我星期一早上要交一篇特殊的作文,还要复习几何学,而且还得了感冒,不停地打喷嚏。

星期六上午

昨天忘了发信了,今天再发点牢骚。早上来了个主教,您猜他都说了些什么?
“圣经给我们的最佳许诺是‘常有穷人与你们同在’,他们可使我们永远以慈悲为怀。”

您瞧,穷人成了有用的家畜,要不是我已经成了一位有教养的小姐,我本来会在礼拜结束后跑去告诉他我的想法。



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【注 釈】

拴马桩】 shuān mǎ zhuāng  馬をつなぐ杭(くい)
肤浅】 fū qiǎn  外面的な。見かけだけの
华尔街】 huá ěr jiē  ウォール街。(Wall Street)
滑铁卢】 huá tiě lú  ワーテルロー(Waterloo 大敗北の意)
弗高森】 fú gāo sēn  ファーガスン。(Fergussen)

莎莉·麦克白】 suō lì · mài kè bái  サリー・マクブライド。(Sallie McBride 人名)
茱莉亚·平莱顿】 zhū lì yà · píng lái dùn  ジュリア・ペンドルトン。(Julia Pendleton人名)
思乡病】 sī xiāng bìng  ホームシック
米开朗琪罗】 mǐ kāi lǎng qí luó  ミケランジェロ。(Michael Angelo 人名)
イタリア、ルネサンス期の芸術家。代表作:「最後の審判」「ピエタ」

麦特林克】 mài tè lín kè  メーテルリンク。(Maeterlinck 人名)
ベルギーの詩人・劇作家。代表作:「青い鳥」「ペレアスとメリザンド」
无庸置疑】 wú yōng zhì yí  疑う余地がない
布匿战争】 bù nì zhàn zhēng  ポエニ戦争。(Punic war)
ローマとカルタゴ(Carthago)との前後三回にわたる戦争。(前264-前146)

汉尼拔】 hàn ní bá  ハンニバル。(Hannibal 人名)
カルタゴの将軍。第二次ポエニ戦争でローマ軍を大破したが、
後にローマの将スキピオ(Scipio)に破られ、小アジア方面に亡命、自殺。

特拉西美诺湖】 tè lā xī měi nuò hú  トラシメヌス湖。(イタリア中部 Lake Trasimenus)

三剑客】 sān jiàn kè  三銃士。(Three Musketeers)
大デュマ(フランスの小説家・劇作家 D. père)の小説。
三銃士と組んだ剣豪ダルタニャン(D'Artagnan)が枢機卿リシュリュー(Richelieu)
を相手に活躍する物語。

】 yí  膵臓
滴酒不沾】 dī jiǔ bù zhān  酒を一滴も飲まない
茱蒂】 zhū dì  ジュディ。(Judy 人名)
牙牙学语】 yá yá xué yǔ  アーアーといって言葉をまね覚える
信手拈来】 xìn shǒu niān lái  手あたりしだい
娇生惯养】 jiāo shēng guàn yǎng  お嬢さん育ち

别出心裁】 bié chū xīn cái  創意工夫を凝らす
说长道短】 shuō cháng dào duǎn  あれこれ批判する
人人有份】 rén rén yǒu fèn  誰もが享受している
圣经】 shèng jīng  聖書
许诺】 xǔ nuò  主の約束


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【口語訳】


「あしながおじさん」(二)    ジーン・ウェブスター



ジェルーシャ・アボットから、あしながスミスおじさまへの手紙

みなしごを大学に行かせてくださった親切な理事さま:

とうとう着きました! きのうは四時間も汽車の旅をしました。
わくわくするような不思議な気分ですね? 汽車に乗るのは生まれて初めてです。

大学のキャンパスは本当に大きくて、まごまごしっぱなしです。部屋を出るたびに、迷子になってしまいます。
もう少し周囲の状況がわかって落ち着いたら、くわしい様子をお知らせするつもりです。あと、勉強のことも。

授業が始まるのは月曜日からで、今日はまだ土曜日の夜です。
でも、とりあえずあなたとお知り合いになりたくて、まず一筆さしあげることにしました。

会ったことのない人に手紙を書くのは、とっても変な気持ち。
そもそも、自分が手紙を書くこと自体が変な感じです。これまで手紙なんて三通しか書いたことがないのですもの。
上手に書けなくても大目にみてください。

きのうの朝、出発する前に、リペット院長ととてもまじめな話をしました。
院長はこれから一生わたしがどうふるまえばいいかを示してくれました。
特にわたしにこんなに親切にしてくださる紳士にどんな態度で接するべきかを教えてくださいました。
わたしはあなたに『最上級の敬意』を払うことを肝に銘じなければなりません。

でも、『ジョン・スミス様』という匿名の方に、どうしたら最上級の敬意を払えるのでしょう?
もう少し個性的な名前を選んでくださればよかったのに。
これでは『拝啓、棒きれ様』とか『拝啓、衣服かけ様』と書くのとあまり変わらないと思うんですけど。

夏のあいだ、ずっと、スミス様のことをあれこれ考えて過ごしました。
わたしのことを考えてくれる人が現れるなんて、まるで家族が見つかったみたい。
やっと誰かとつながりができた、というか、とてもすてきな気分です。

でも、あなたがどんな方か、いくら想像しようとしても、手がかりが少なすぎて考えようがありません。
次の三つのことしか、わからないんですもの:

一、あなたはとても背が高い。
二、あなたはとてもお金持ち。
三、あなたは女の子が嫌い。

あなたのことを『女の子嫌い様』とお呼びしようかしら。でもそれだと自分をばかにしているみたいです。
『お金持ち様』と呼ぶと、お金だけが大切みたいで、今度はあなたをばかにしています。

それに、お金持ちというのは人柄とはあまり関係ありません。
一生お金持ちでいられるかどうかわかりませんものね。大勢の頭のいい人たちが、ウォール街で破産していますから。

でも、身長は一生変わりません。なので、あなたを『あしながおじさん』とお呼びすることに決めました。
気を悪くなさらないでね。ここだけのニックネームですから。リペット院長にはナイショです。

あと二分で十時の鐘が鳴ります。
わたしたちの―日は鐘の音で区切られています。
鐘を合図に食事をしたり、寝たり、勉強したり。

鐘の音を聞くたびに、わたしは元気百倍になります。自分が野生の馬になったみたいな気分です。
ほら、消灯の時間です。おやすみなさい。

わたしがどんなに律義に規則を守るか、おわかりいただけたでしょうか? 
これもすべて、ジョン・グリア・ホームでのしつけのたまものです。

最上級の敬意をこめて
ジェルーシャ・アボットより

九月二十四日 ファーガスン寮 二百十五号室


親愛なるあしながおじさん:

わたし、大学が大好きです。そして、わたしを大学へやってくださったおじさまのことも大好きです。
わたし、すごく、すごく幸せで、一瞬一瞬が楽しくて、もう眠れないくらい。

ジョン・グリア・ホームと比べてここがどれほどちがう世界か、おじさまには想像できないでしょう。
世の中にこんな場所があるなんて、夢にも思いませんでした。

女の子に生まれなくてこの大学に来られなかった人が、かわいそう。
おじさまが若い時に通われた大学だって、ぜったい、この大学ほどすてきじゃなかったと思います。

わたしの部屋は、新しい医療室ができる前は、感染病室として使われていた建物です。
同じ階には、わたしのほかに女子学生が三人います。

一人はメガネをかけた四年生で、しょっちゅう「少し静かにしてください」って言いにくる人。
あとの二人は新入生で、サリー・マクブライドとジュリア・ペンドルトンです。

サリーは赤毛で、鼻が上を向いていて、とっても愛想のいい人です。
ジュリアはニューヨークの名門出身の子で、まだわたしの存在に気づいてもいないみたい。
この二人は同じ部屋で、四年生とわたしはひとり部屋です。

ひとり部屋は数が少ないので、新入生はめったに入れてもらえません。
だけど、わたしは、頼みもしなかったのに、ひとり部屋にしてもらえました。

たぶん事務局が、育ちのいい人とみなしごを同じ部屋に入れるのはどんなものかと思ったんでしょうね。
みなしごで、得することもあるんですね!

北西の角にあるわたしの部屋には、窓が二つあって、いいながめです。
十八年間、ひとつの部屋で二十人の仲間といっしょに暮らしたあと、こうしてひとりになると、ほっとします。

生まれて初めて自分自身とお友達になるチャンスです。
わたし、きっと、彼女のことを好きになると思います。

おじさまも、彼女を好きになってくださるかしら?


いま、新入生のバスケットボール選手を募集中で、わたしもこの機会を逃さず、参加したいと思っています。
わたしってチビでやせてるけど、すばしっこくてタフなんです。
ほかの人が跳びあがっているあいだに、足の下をくぐり抜けてボールを取っちゃうんです。

練習はすごく楽しいです。
午後、運動場では木々が赤や黄色に紅葉しています。
落ち葉を焼くたき火のにおいがただよっていて、みんな大声をあげて、笑いころげて。
みんな幸せな女の子ばかり。でもいちばん幸せなのは、このわたし。

本当は長いお手紙を書いて、勉強していることをあれこれお伝えしようと思ったのですが。
(リペット院長からは、それがご希望とうかがいました)

でも、いまちょうど七時間目の授業が終わったところです。
十分後には体操服に着替えて空き地に集合しなければなりません。

おじさまもわたしが選手になれればいいとお思いになりません?

とこしえにあなたの
ジェルーシャ・アボット
火曜日

追伸:
さきほど、サリー・マクブライドがわたしの部屋をのぞいてこんなことを言いました。
「わたし、ホームシックでたまらないの。あなたは?」

わたしはにっこりして答えました。「いいえ、わたしは大丈夫よ、なんとか乗り切れそう」

少なくとも、わたしはホームシックにだけはかかりません。
孤児院を恋しがるホームシックなんて聞いたことあります?


親愛なるあしながおじさん:

ミケランジェロという人、ご存じでしょうか?
中世イタリアの有名な画家です。国文学のクラス全員が知っていたようです。

わたしが天使かなにかだと思ったのを聞いて、クラスじゅう大爆笑でした。
だって、天使っぽい名前でしょう?

大学で困るのは、習っていなくても、知っててあたりまえ、みたいな事があることです。
ときどき、とても恥ずかしい思いをします。
でもこのごろは、ほかの人が知らない話をしているときは、だまって聞いていて、あとで辞典で調べることにしています。

最初の日にとんでもない失敗をしてしまいました。
誰かがメーテルリンクのことを言ったときに、わたし、「その人って新入生?」と聞いてしまったの。
このジョークは大学じゅうに知れ渡ってしまいました。

でも、少なくとも、勉強ではほかの子に負けていません。わたしのほうがよくできることだってあるんだから。

わたしの部屋のようすをお知らせしましょうか?
茶色と黄色をコーディネートしてみました。

壁が薄い黄褐色だったので、黄色いデニム地のカーテンとクッションを買いました。
それから、マガホニーの机(中古で三ドル)、ラタンの椅子、そして茶色のじゅうたんも。
じゅうたんの真ん中にあるインクのしみの上には、椅子をおきました。

窓は高いところにあるので、椅子に座って外を見ることはできません。
そこで、鏡を取り除いた化粧台のてっぺんを布張りにして、窓のそばにおいてみました。

上に腰かけてみると、窓の外を眺めるには、ちょうどいい高さです。
引き出しを階段みたいに引き出して登るんです。上り下りは、すごく快適なんですよ!

サリー・マクブライドが、四年生のバザーで品物を選ぶのを手伝ってくれました。
サリーはふつうの家庭で育ったから、家具のインテリアにくわしいんです。

ほんものの五ドル札で買い物をして、おつりをもらう。
こんなことがどれほど楽しいか、おじさまには想像もできないでしょう。

これまでわたし、せいぜい五セントしか持ったことがないんですもの。
おじさま、いただいたお小遣い、心から感謝しております。

サリーみたいな楽しい子、見たことありません。でもジュリア・ペンドルトンはその正反対。
こんな二人を同じ部屋に入れるなんて、事務局の人は何を考えているのでしょう。

サリーはなんでも面白がる人です。試験で落第点をとったことさえも。
でもジュリアは、ありとあらゆることをつまらないと思う人です。
ジュリアには、他人と仲良くしようという気がこれっぽっちもありません。

ペンドルトン家に生まれただけで、文句なしに天国に入れてもらえると思っているようです。
ジュリアとわたしは、生まれながらの宿敵みたいです。

さて、お待ちかねの、わたしの学習情況についてのお知らせです。

一、ラテン語:第二次ポエニ戦争。
昨晩、ハンニバルの軍勢がトラシメヌス湖畔に駐屯。
ローマ軍の周囲に伏兵を配置。午前四時に戦闘開始。ローマ軍が退却中。

二、フランス語:『三銃士』を二十四ページ。第三群不規則動詞の活用。

三、幾何学:円柱体を終了。円錐体を勉強中。

四、国語:説明文の学習。
わたしの文章は日々上達し、簡潔明瞭になりつつあります。

五、生理学:消化器まで進む。次の授業は胆汁と膵臓。

教育途上にある
ジェルーシャ・アボット

十月十日

追伸:
おじさま、お酒はたしなまれませんよね? 肝臓にとても悪いんですって。


親愛なるあしながおじさん:

わたし、名前を変えました。
学校の名簿ではジェルーシャのままですが、それ以外では「ジュディ」です。

自分でニックネームをつけなくちゃならないなんて、ちょっと悲しいですよね?
でも、「ジュディ」はまるっきりわたしが考えついた名前でもないんです。
フレディ・パーキンスがちゃんとしゃべれるようになる前に、わたしのことを「ジュディ」と呼んでいましたから。

リペット院長には、もう少しよく考えて赤んぼうの名前をつけてほしいものです。
彼女は電話帳から名字を選ぶんです。アボットは最初のページにありますものね。

名前のほうは、手あたりしだい拾ってくるのです。ジェルーシャなんて墓石からですよ。
わたし、ずっとこの名前がきらいでした。でも、「ジュディ」はかなり気に入っています。

どこにでもある、お気楽な感じの名前ですから。わたしとはまったく違う女の子の感じがしますでしょ? 
青い目で、みんなから甘やかされて、なんの苦労もなく生きてきた女の子。
そういうのってすてきでしょう?

わたしにどんな欠点があっても、家族に甘やかされて育った、とだけは誰にも言わせません。
でも、そんな子になったフリをするのは、ちょっと楽しいかも。
どうぞこれからは、ジュディと呼んでくださいませ。

いいことをお教えしましょうか?
わたし、子ヤギの革の手袋を三つも持っているんですよ。
昔、クリスマスツリーから革のミトンをもらったことがあります。でも、指が五本に分かれた本物の手袋は生まれて初めてです。
ひまさえあれば引っぱり出してはめています。教室にもはめていきたくてたまらないけど、がまんしています。

夕食の鐘が鳴りました。さようなら!


水曜日

おじさま、どう思われます?
国語の先生が、このあいだのわたしの作文には、すばぬけた個性があるとおっしゃったんです。

本当です! 先生は確かに、そう言ったのですから。
十八年間、わたしが受けた教育を考えると、信じられないでしょう?

ジョン・グリア・ホームの目的は、九十七人のみなしごたちをそっくり同じ九十七人に育てることなんですもの。
わたしの尋常ならざる芸術の天分は、幼いころ、なんと戸板のうえに、リペット院長の似顔絵を描くことで養われたんです。

子供のころ過ごしたホームを批判したからって、お気を悪くなさらないでくださいね。
でも、おじさまには奥の手があります。

わたしがあまりに無礼なことをしたら、おじさまはいつでも仕送りをとめることができるんですもの。
こんな言い方は、失礼ですよね。

でも、わたしに礼儀作法を期待なさるのが無理というものです。
なぜって、ホームはレディを育てる学校じゃありませんもの。

おじさま、お察しと思いますが、大学で難しいのは、勉強ではなくて遊びのほうです。
わたし、女の子たちが何のことを話しているのか理解できません。

彼女たちのジョークは、どうやら、自分たちが経験してきた過去に関わることみたいです。
一人一人が共有しているその過去は、わたしには縁のないことばかり。

彼女たちの世界では、わたしはまるで外国人。みんなの話す言葉がわかりません。
とてもみじめな気分です。これまでもずっとそうでした。

高校では、クラスメートたちから、冷たい視線を浴びました。
わたしは変わり者で、異質で、みんなそのことをわかっていたのです。

わたし、顔に「ジョン・グリア孤児院」と書かれているような気分でした。
そんなとき、情け深い子が二、三人近づいてきて、やさしい言葉をかけてくるのです。
でも、わたし、みんな大きらいでした。情け深い子は特に。

ここでは誰もわたしが孤児院で育ったことを知りません。
サリー・マクブライドには、両親は亡くなって、親切な紳士が大学に行かせてくださっているのだと話しました。
これは、ほんとうのことですから。

軽薄だと思われたくはありませんが、ほかの女の子と同じようにしていたいんです。
わたしの子供時代に暗い影を落としている、あのいまわしい孤児院こそ、わたしとほかのみんなとを断絶している壁なのです。

もしその記憶を脳裏から締め出し、忘れ去ることができれば、わたしもみんなと同じすてきな女の子になれるかもしれません。
自分と彼女たちは、そんなに違わないと思うのですが、どうでしょうか?

いずれにしても、サリー・マクブライドはわたしを好いていてくれます。

とこしえにあなたの
ジュディ・アボット


金曜日

さきほど、この手紙を読みかえしたところです。すごく暗い感じですよね。
あなたはきっとおわかりくださらないと思います。でも、これにはわけがあります。

月曜の朝までに特別なレポートを仕上げなくちゃならないし、幾何学の復習もあるし。
おまけに風邪をひいてしまって、くしゃみが止まらないんです。


土曜日の午前

きのう、手紙を投函しわすれました。ついでに頭にきた話をつけ加えます。
今朝、司教さまがいらして、なんておっしゃったと思います?

聖書で最もありがたい主の言葉は、『貧しきもの、つねに汝らと共にあり』だそうです。
つまり、貧しい人たちは、我々に慈悲の心をもたせるために地上にいるという意味です。

まるで貧乏人が、家畜かなにかみたいな言い方ですよね。
わたしがこれほど完璧なレディに育っていなかったら、礼拝のあと、司教を追いかけて一言文句をつけるところでした。