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【第五課 第二十一節】 小説読解
「还珠格格」 (三) 琼瑶
第二集
“让开让开!别挡着路!到一边去!”
紫薇、金锁往路边一退,紫薇撞到一个篮子。
忽然觉得有人拉了拉自己的衣襟,紫薇低头一看,吓得差点张口大叫。
原来藤篮中,赫然躲着那个“女飞贼”!
小燕子仰头看着紫薇,清秀的脸庞上,有对乌黑乌黑的眸子,闪亮闪亮的。
紫薇对她,竟然生出一种莫名的好感来。
此时,她虽然狼狈,脸上仍然带着笑,双手合十,拼命对紫薇作揖,求她别嚷。
紫薇眼看官兵快要走近,藤篮又无盖遮掩,她急中生智,猛然一屁股坐在篮子上,打开折扇,好整以暇的扇着风。
官兵经过两人身边,打量紫薇、金锁数眼,见两人气定神闲,便匆匆而去。
紫薇等到官兵转入巷道,不见踪影,这才站起。
“人都走光了,你出来吧!”
小燕子夸张的揉着脑袋,从篮子里站了起来。
瞪着紫薇,大大一叹。
“完了完了!给你屁股这样一坐,我今年一定会倒楣!”
“喂,你这人懂不懂礼貌呀!
如果不是有我们帮你,这会儿你早就被官兵抓走了呢。”
小燕子拉着那件长长的礼服,揖拜到地。
“是,小燕子一天之内,被你们帮了两次,不谢也不成!
我谢谢两位姑娘救命之恩,这总行了吧?”
小燕子,原来她的名字叫小燕子。
紫薇想着,又奇怪的问:
“你怎么看出我们是女的?”
刚才在梁家,我一眼就看出你们两个女扮男装来了,要不,怎么对着你笑呢?
我劝你别扮男装了,这么细皮嫩肉的,那像呢?
我不骗你们,这不管是男扮女,还是女扮男,扮老扮少,扮俊扮丑,我最内行了!
改天有机会,我再传授你们两招,告辞了。”
小燕子脱下红色的礼服,打个结往背上一背,转身要走。
“等一下!我问你,你把人家新娘子藏到哪儿去了?”
“这个嘛,恕我不便奉告。”
“你劫持新娘,盗取财物,又大闹礼堂,害得梁家的婚礼结不成,你会不会太过分了?
难道你不怕闯出大祸来?
你知不知道你这么做是犯法,要被关起来的。”
“我犯法?你有没有搞错,我小燕子向来是路见不平,拔刀相助的女英雄,我会犯法?
犯法的是梁家那对父子,你懂不懂? 你们是从外地来的是吧?”
紫薇点点头。
“那就难怪了,梁家父子根本就不是好东西!
看人家姑娘长得漂亮,也不管人家愿不愿意,订过婚没有、就硬是要把姑娘娶进门。”
“你怎么会知道的?”
“事情就是巧极了,昨儿夜里,我一时高兴,到程家去‘走动走动”,
就给我撞到一件大事,原来新娘子正在上吊,被我救下来了!
那个程姑娘才哭哭啼啼,告诉我的!
你想,我小燕子碰到这种事,怎么可能不帮忙呢?”
“有这种事?”
“我骗你干什么!现在我可以走了吧?”
“那程姑娘人呢?”
小燕子瞧瞧四周,发现没有人在注意她们的谈话。
就压低嗓子说:“她已经连夜逃走了!现在,早就到安全的地方去了!”
“逃得掉吗?
梁家一找,不就知道你们是一党了?还会放过程家人吗?”
“我们早就套好词了,程家现在正准备大闹梁府,问他们要女儿呢!
反正一口咬定,女儿被梁家弄丢了就对了!”
“你真是胆大包天,你不怕被逮住呀?
“我?我会那么容易就叫人逮住?!
哼!你们也大小看我了,我小燕子是出了名的来无影,去儿踪,天不怕地不怕,没人留得住我的。”
“这会儿都走光了,当然由得你歇喽!……”金锁笑了。小燕子也笑了。
紫薇和小燕子,就忍不住彼此打量起来。
紫薇看到小燕子长得浓眉大眼,英气十足,笑起来甜甜的,露出一口细细的白牙。
心里就暗暗喝采,没想到,“女飞贼”也能这样漂亮!
小燕子看到紫薇男装,仍然掩饰不住那种娇柔妩媚,心想,所谓“大家闺秀”,大概就是这个样子了!
两人对看半晌,都有一见如故的感觉。
但是,小燕子是没什么耐心的,这街道上还有追兵,不是可以逗留的地方。
就看了看那件缀满珠宝的新娘装,一笑说:
“幸好还捞到一件新娘衣裳,总可以当个几文钱吧!再见喽!”
小燕子说完就头也不回的,扬长而去了…。
紫薇看着她的背影,这样的人,是她这一生从来没有见过的。
她活得那么潇洒,那么自信,那么无忧无虑!
一时之间,紫薇竟然羡慕起小燕子来了。
紫薇并不知道,小燕子注定要在她生命里扮演一个重要的角色,
小燕子、她和紫薇,来自两个截然不同的世界,应该是八竿子打不着的。
可是,命运对这两个女子,已经作了一番安排。天意如此,她们要相遇相知,纠纠缠缠。
紫薇和小燕子第二次见面,是在半个月以后。
那天,她的心情低落。
到北京已经一段日子了,自己要办的事,仍然一点眉目都没有。
眼看身上的钱,越来越少,真不知道是不是放弃寻亲,回济南去算了。
金锁看到紫薇闷闷不乐,就拉着紫薇去逛天桥。
到了天桥,才知道北京的热闹。
街道上,市廛栉比,店铺鳞次,百艺杂耍俱全。
地摊上,摆着各种各佯的古玩、磁器、字画。
琳琅满目,应有尽有。
紫薇、金锁仍然是女扮男装。
紫薇背上,背着她那个看得比生命还重要的包袱。
紫薇不时用手勾着包袱的前巾,小心翼翼的保护着。
两人走着走着,忽然听到群众哄然叫好的声音,循声看去,有一群人在围观着什么。
两人就好奇的挤进了人群。
只见,一对劲装的年轻男女,正在拳来脚去的比画着。
地下插了面锦旗,白底黑字绣着“卖艺葬父”四个字。
那一对男女,一个穿绿衣服,一个穿红衣服,显然有些功夫,两人忽前忽后,忽上忽下,打得虎虎生风。
金锁忽然拉了紫薇一把,指着说:“你看你看,那个大闹婚礼的小燕子也在那,你看到没有?
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【注 釈】
【还珠格格】 huán zhū gé ge 還珠姫 (かんじゅひめ)
台湾の女流作家 「瓊瑤」 (けいよう) による時代冒険小説。(1997年)
舞台は清朝、名君の誉れ高い乾隆帝治世の御代。
女盗賊の小燕子は、ひょんなことから皇帝の落とし子と勘違いされ、宮中に迎えられることに…。
【琼瑶】 qióng yáo 瓊瑤 (けいよう) (1938-)
四川省成都出身。台湾在住の女流作家。1963年恋愛小説 「窓外」 がベストセラーになり注目を浴びる。
流麗で上品な作風が人気を博し、多くの作品は映画やテレビドラマに改編された。
代表作品 「一廉幽夢 1974」 「在水一方 1975」 「我是一片雲 1976」 「还珠格格 1997」 など。
【乾隆】 qián lóng 乾隆帝 (けんりゅうてい)
清朝第6代皇帝 (在位1735~1795) 大いに学術を奨励し、清王朝の最盛期を創出した。
【紫薇】 zǐ wēi 夏紫薇 (か しび)
19年前にお忍びで済南地方を訪れた若き乾隆帝と夏雨荷 (か うか) の間に生まれた姫君。
【金锁】 jīn suǒ 金鎖 (きんさ)
幼少の頃より紫薇に仕えている侍女で、北京へも共に出て来た。
【小燕子】 xiǎo yàn zi 小燕子 (しょうえんし)
もと女盗賊。ある事件をきっかけに皇帝の落とし子と勘違いされ、宮廷に姫と迎えられる。
【好整以暇】 hào zhěng yǐ xiá (从容不迫) 落ち着いて余裕のある
【气定神闲】 qì dìng shén xián (神气悠闲安静)のんびりとくつろぐ
【内行】 nèi háng (对事情有丰富的经验) 玄人。専門家
【劫持】 jié chí 誘拐する
【拔刀相助】 bá dāo xiāng zhù (拔出刀来助战) 助太刀を買って出る。ひと肌脱ぐ
【套词】 tào cí (拉拢关系) わたりをつける。ぐるになる
【娇柔妩媚】 jiāo róu wǔ mèi (温柔美好) 優雅であでやか
【大家闺秀】 dà jiā ɡuī xiù 良家の子女
【截然不同】 jié rán bù tónɡ (不同之处非常分明) 明らかに異なる
【八竿子打不着】 bā gānzi dǎ bu zháo (毫无关联) まったくの無関係
【眉目】 méi mù (事物的头绪) 目鼻。見通し
【市廛栉比】 shì chán zhì bì (市中店铺密密排列) 店がすき間なく建ち並ぶ
【百艺杂耍】 bǎi yì zá shuǎ (各种技艺杂技) 数々の曲芸や見世物
【琳琅满目】 lín láng mǎn mù (珍贵的物品都有) 珍しい品々
【劲装】 jìn zhuāng (着装威猛) 勇ましい出で立ち、身なり
【卖艺葬父】 mài yì zàng fù 技芸で生計を立て親の葬式をだす
【虎虎生风】 hǔ hǔ shēng fēng (气势非凡) 並外れた迫力
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【口語訳】
還珠姫 (三)
第二集
「どけどけ!道をふさぐな!あっちへ行け!」
二人が退いたとき、紫薇の体が道端の籠にぶつかった。
すると突然、服の袖がぐいと引かれた。
紫薇が頭を下げて籠をのぞくと、なんとあの女盗賊がいた。籠の中に潜んでいたのだ!
彼女は端正な顔立ちで、紫薇を仰ぎ見る黒い瞳がきらきらと輝いている。
紫薇は彼女に、なぜか好感を抱かずにはいられなかった。
その女盗賊は、笑みを湛えて必死で両手を合わせ、騒がないでくれと懇願している。
だが官兵がそこまで近づいているのに、籠には蓋がない。
紫薇はとっさの機転で、籠にどすんと腰を下ろすと、おもむろに扇子を開いてあおぎはじめた。
官兵は、しばらく周辺を眺め回していたが、とくに別条なかろうとそそくさと行ってしまった。
官兵の姿が路地の向こうに消えると、紫薇は立ち上がった。
「みんな行ってしまったわ、さあ出てきなさい!」
女盗賊は、大袈裟に頭をさすりながら籠から立ち上がった。
紫薇を見つめて、大きくため息をつく。
「やれやれ!あんたの尻にしかれるなんて、今日はとんだ厄日だね!」
「まあ、なんて礼儀知らずなの!私たちが匿ってあげなきゃ、今頃あなたは官兵に引っ張っていかれたのよ。」
すると彼女は、丈の長い衣装を引きずって深々とお辞儀をする。
「まさにそのとおり、お二人のお嬢さま方、二度に渡って命をお助けいただき、まことにかたじけない!
と、これでいい?」
女盗賊は、名を小燕子と名乗った。
紫薇が不思議そうな顔で尋ねる。
「どうして私たちが女だってわかったの?」
「そりゃ屋敷にいたとき、一目でわかったよ。でなきゃ笑いかけたりするもんか?
一言いわせてもらえば、男に化けるなんてやめといたがいいよ。あんたみたいな色白の男なんて絶対いっこないもの。
自慢じゃないが、こちとら変装にかけちゃちょいとしたものでね。
男に女、年寄りに若いの、色男も不細工も、なんでもござれよ!
また会うことがあれば、あんたらにも教えたげるよ。そんじゃまたね!」
小燕子は赤色の衣装を脱ぎ捨てると、くるりと結んで背中に背負い、きびすを返して立ち去ろうとした。
「ちょっと待って!あなた、花嫁さんをどこに隠したの?」
「それは申し上げかねまする。」
「あなたってば、花嫁はさらうわ、物は盗むわ、屋敷で大暴れするわ、人様の婚礼を台無しにして、よく平気でいられるわね?
大それた罪を犯したってわかってるの?捕まったら牢屋に入れられるのよ!」
「罪を犯したって?見損なっちゃ困るね。あたしはね、世に不義ありと見れば押っ取り刀で駆けつける女傑なんだよ。
そのあたしが罪を犯したっていうの?罪を犯しているのは梁家の親子のほうだよ、わかってる?
それとも……もしかして、あんたらよそから来たの?」
紫薇がうなずく。
「道理で知らんわけだ。梁家の親子はとんでもない連中だよ!
人様のお嬢さんがきれいなものだから、許婚がいようが不承知だろうが、おかまいなしで無理矢理嫁にとろうとしてたんだから。」
「あなたはどうして知ったの?」
「それがうまくしたものでね。昨晩あたしは、花嫁の家に忍び込んだのさ。
そしたら花嫁が首を吊ろうとしてる場面に出くわして、やむにやまれず、助け下ろすはめになったというわけ。
そのお嬢さんは、ひっきりなしに泣いて、あたしに助けを求めるんだ。
こちとら頼まれたからには、一肌脱がないわけには行かなくなったということ。」
「そういう事だったの?」
「うそいつわりなし、ほんとのことさ!じゃあ、そろそろ立ち去ってもいいかい?」
「それで花嫁さんはどうなったの?」
小燕子は、あたりを見回すと、声を押し殺していった。
「花嫁は、その夜のうちに逃げ出したんだよ!もうとっくに安全な場所に行ってるはず!」
「逃げおおせるかしら? 花嫁の家族だって、そのままじゃすまされないでしょ?
あなたが片棒を担いだこと、ばれたりしないかしら?」
「ちゃんと手は打ってあるさ。花嫁の家族のほうから、娘を返せって梁家にねじこむ手筈になってるんだ。
どっちにしろ梁家のせいで娘を失うはめになったことには変わりがないんだから。」
「すごい度胸ね。捕まっても平気なの?」
「あたし? フン!見くびらないでよ。そうやすやすと捕まるもんですか!
あたしはね、世の中に怖いものなし。あとくされも残さず現場を去って行くって評判なのよ。
奴らはみな行っちまったし、あんたらもゆっくり休めるってわけさ!」
金鎖は笑った。小燕子もつられて笑う。
そして紫薇と小燕子は、思わずみつめ合った。
小燕子のきりりとした眉に大きな瞳、りりしい中にもこぼれる笑顔は、とても女盗賊とは思えなかった。
そして紫薇の男装していても到底隠し切れない優雅さ、あでやかさは、まさに良家の令嬢を思わせるものだった。
しばし見つめあう二人は、どちらも初対面とは思えない、さながら旧知であったような感覚を覚えた。
だが小燕子はぐずぐずしていられない。街道にはまだ追っ手がうろうろしているし、逗留する場所も見つからない。
彼女は、真珠や宝石が一面にちりばめられた花嫁衣裳を見てにやりと笑う。
「さてと、幸いこの衣裳を売れば、いくらかのお金にはなるわ。そんじゃあ、またね!」
小燕子は振り向きもせず、大手を振って立ち去った。
紫薇は、彼女の後ろ姿を見つめながら、こんな人はじめてだわ、と思った。
なんてあか抜けていて、自信たっぷりで余裕があるのだろう!
なんだか小燕子が羨ましくなった。
紫薇は知るよしもなかったが、以後、小燕子は彼女の人生の中で大きな役割を演じていくことになる。
小燕子と紫薇、全く異なる世界に住む二人の少女は、本来出会うべくもなかった。
だが運命の糸は、奇しくも二人を結び付け、この後二人は命運を共にすることになったのである。
紫薇が小燕子と二度目に会ったのは、それから半月後のことだった。
その日、紫薇はすっかり気落ちしていた。
北京に来てから、かなりの日数になるというのに、やるべき仕事は、依然として目鼻がついていない。
手持ちの金も少なくなり、いっそのこと肉親に会うことなど諦めて、済南に帰った方がいいのではないかと思えてくる。
侍女の金鎖は、憂鬱そうな紫薇をなぐさめようと、天橋まで遊びに連れ出すことにした。
天橋は、北京のにぎわいが肌で感じられる場所だった。
街道には、露店がすきまなく軒を連ね、様々な大道芸が披露されている。
店頭には、骨董や磁器、書画の類があれこれと並べられている。
紫薇と金鎖は例によって男装姿だった。
紫薇の背には、あの命より大事な包みがくくりつけてある。
紫薇は、肌身離さず包みを持ち歩き、度々手を添えて中身を確認するのだった。
二人が歩いていると、突如拍手喝采の歓声が聞こえてきた。行ってみると、黒山の人だかりができている。
二人は興味津々に人の群れの中に割り込んだ。
見ると、武道着姿の若い男女が演武の真っ最中だった。
掲げられた錦の旗には、白地に黒文字で「芸を売りて父を葬る」の四文字が縫い取られている。
男女の一方は緑色の、いま一方は赤い服を身に纏い、勇ましい達人技を次から次へと披露している。
いきなり金鎖が紫薇を引っぱると、一点を指さした。
「ほら、お嬢さま、あの小燕子がいますよ!」