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【第五課 第二十六節】   小説読解


  「追屁」    赵丽宏    


五六岁的时候,我有个奇怪的嗜好:喜欢闻汽油的气味。

我认为世界上最好闻的味道就是汽油味,比那种绿颜色的明星牌花露水气味要美妙得多。
而汽油味中,我最喜欢闻汽车排出的废气。

于是跟大人走在马路上,我总是拼命用鼻子吸气,有汽车开过去,鼻子里那种感觉真是妙不可言。
有一次跟哥哥出去,他发现我不停地用鼻子吸气,便问:“你在做什么?”

我回答:“我在追汽车放出来的气。”
哥哥大笑道:“这是汽车在放屁呀,你追屁干吗?”哥哥和我一起在马路边前俯后仰地大笑了好一阵。

笑归笑,可我的怪嗜好依旧未变,还是爱闻汽车排出来的气。
因为做这件事很方便,走在马路上,你只要用鼻子使劲吸气便可以。

后来我觉得空气中那汽油味太淡,而且稍纵即逝,闻起来总不过瘾,于是总想什么时候过瘾一下。
终于想出办法来。一次,一辆摩托车停在我家弄堂口。
摩托车尾部有一根粗粗的排气管,机器发动时会喷出又黑又浓的油气,我想,如果离那排气管近一点,一定可以闻得很过瘾。

我很耐心地在弄堂口等着,过了一会儿,摩托车的主人来了,等他坐到摩托车上,准备发动时,我动作敏捷地趴到地上,将鼻子凑近排气管的出口处等着。
摩托车的主人当然没有发现身后有个小孩在地上趴着,只见他的脚用力踩动了几下,摩托车呼啸着箭一般蹿出去。而我呢,趴在路边几乎昏倒。

那一瞬间的感觉,我永远不会忘记——随着那机器的发动声轰然而起,一团黑色的烟雾扑面而来,把我整个儿包裹起来。

根本没有什么美妙的气味,只有一股刺鼻的、几乎使人窒息的怪味从我的眼睛、鼻孔、嘴巴里钻进来,钻进我的脑子,钻进我的五脏六腑。
我又是流泪,又是咳嗽,只感到头晕眼花、天昏地黑,恨不得把肚皮里的一切东西都呕出来……天哪,这难道就是我曾迷恋过的汽油味儿!

等我趴在地上缓过一口气来时,只见好几个人围在我身边看着我发笑,好像在看一个逗人发乐的小丑。
后来,猛烈喷出的油气把我的脸熏得一片乌黑,我的模样狼狈而又滑稽……。
从此以后,我开始讨厌汽油味,并且逐渐懂得,任何事情,做得过分以后,便会变得荒唐,变得令人难以忍受。





「雨中」  赵丽宏   


傍晚,天边飘来一朵暗红色的云。天还没有黑,就淅沥淅沥地下起雨来。
热闹了一天的城市,在雨中渐渐安静下来。水淋淋的马路,像一条闪闪发光的河。

一群放学回家的孩子撑着的雨伞,仿佛是浮在水面的点点花瓣。
偶尔过往的车辆,就像水波里穿梭的小船。

一个年轻的姑娘蹬着一辆运货车,急匆匆地奔来。
车上装着两大箩筐苹果,红红的,堆得冒出了箩筐。

也许是心急,也许是路滑,到了马路拐弯的地方,车子一歪,一个箩筐翻倒在马路上,
又圆又红的大苹果滴溜溜地在湿漉漉的路面上蹦着跳着,蹦到了马路中间,跳到了马路对面。

姑娘赶紧从车上下来,慌手慌脚地捡苹果。数不清的苹果滚得满地都是,哪里捡得过来呢!
正在这时候,远处一辆大卡车嘟嘟叫着,正向这边开过来。

一群孩子跑过来,七手八脚地捡起苹果来。
姑娘直起身子,不由得皱起了眉头,万一是一帮淘气包,每人捡了几个就一哄而散,挡也没法挡呀!

一个胖乎乎的小男孩仿佛看出了她的心思,走到她身边说:“别着急,大姐姐,保证一个也不会少!”

他解下脖子上的红领巾,大声叫道:“萍萍、滔滔、苏瑞,来,咱们封锁交通!”
几个小伙伴立刻站成一排,挥动着红领巾,向驶近的大卡车大声喊:“停一停!停一停!”

大卡车停下来了。司机是个小伙子,他把头伸出窗外一瞧,笑了,然后跳下车,和孩子们一块儿捡起苹果来。
一辆小轿车停下来了,走下来一位满头白发的老爷爷,还有路边过往的行人,都来帮着捡撒了一地的苹果。宁静的马路顿时热闹起来。

这一切发生得这样突然,又结束得这样迅速。那位运苹果的姑娘还没来得及说声谢谢,帮着捡苹果的人已经消失在雨帘里了。
孩子们嬉笑着撑着伞,唱着歌儿走了。大卡车开走了。小轿车也开走了。满满一箩筐大苹果,又回到了货车上。



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【注 釈】

赵丽宏】 zhào lì hóng    趙麗宏 ちょうれいこう (1952~)  作家、詩人。上海出身。

十編余りの作品が中国、香港、シンガポールの小学校の国語教材に収められており、作品収入教材が最も多い現代作家である。
主要作品「望月」「雨中」「学歩」「囚蟻」「山雨」「与象共舞」「炊煙」など。


嗜好】 shì hào  趣味、嗜好。
明星牌花露水】míng xīng pái huā lù shuǐ  明星化粧水(上海中西薬局)
バラやジャスミンなど花のエキスにアルコールを加え精製したオーデコロン。

稍纵即逝】 shāo zòng jí shì  瞬時に消え失せてしまう。
弄堂口】 lòng tang kǒu  家の入口

箩筐】 luó kuāng   (タケやヤナギの枝で編んだ)かご。
滴溜溜地】 dī liū liū de     ころころと。

七手八脚】 qī shǒu bā jiǎo     大勢の人手で。寄ってたかって。わんさと。
一帮淘气包】 yì bāng táo qì bāo   悪たれ小僧のグループ。

一哄而散】 yí hòng ér sàn  わっと逃げ去る。とんずらする。

红领巾】 hóng lǐng jīn  (少年先鋒隊員の)赤いネッカチーフ
中国では、ほぼ全ての小学生が党の下部組織「少年先鋒隊」に入隊し、共産主義思想を学んでいる。

雨帘】 yǔ lián    (像垂帘一样稠密的雨线)そぼ降る雨。降りしきる雨。




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【口語訳】


「屁を追う」     趙麗宏


五、六歳の頃、私にはガソリンの匂いを嗅ぐという奇妙な趣味があった。

世界で一番いい匂いはガソリンの匂いで、あの緑色の明星化粧水の匂いよりずっと素敵だと思う。
ガソリンの匂いの中でも、特に車の排気ガスを嗅ぐのが大好きだった。

大人と道路を歩いている時など、私はいつも一生懸命鼻から息を吸っていた。
車が走り去ったあと、鼻の奥に漂う残り香の感覚が実に絶妙であった。

あるとき兄と出かけたとき、私がしきりに鼻から息を吸っているのに気づいて、「何してるのか?」と聞かれた。
「車の息を追ってるんだ。」と私は答えた。

兄は大笑いした。「車のおならだよ。追っかけてどうするんだ?」
兄と私はしばらく一緒に道端でのけぞって大笑いしていた。


その時は笑ってはいたものの、私は相変わらず車の排気ガスの匂いを嗅ぐのが好きだった。
これは非常にお手軽な趣味であり、道を歩いているときに、鼻から大きく息を吸うだけでいいのだ。

その後、私はつねに思う存分、匂いを堪能できる方法はないものだろうか、と考えるようになった。
車はあっと言う間に通り過ぎてしまうので、どうしてもガソリンの匂いが薄すぎると思ったからである。

とうとう考えついた。ある時、一台のオートバイが私の家の入り口に停まっていた。

バイクの後部には太い排気管がついていて、エンジンが動くたびに黒く濃い油ガスが噴き出してくる。
その排気管に少しでも近づけば、きっといい匂いがするだろうと考えたのである。

我慢強く入口で待っていると、しばらくしてバイクの持ち主がやってきて、バイクに乗って発進しようとした。
すばやく地面に腹ばいになり、排気管の出口に鼻を近づけて待った。

バイクの持ち主はもちろん、後ろに子供がうつぶせになっていることには気づかず、足を強く踏みつけ、矢のように飛び出していった。
私は道端であやうく卒倒するところだった。

その瞬間の感覚は今だに忘れ難いのだが、あの機械の轟くような発動音とともに、黒い煙がどっと押し寄せて私を包み込んでしまった。
別にうるわしい匂いと言う訳ではない、ただ鼻を突くような、息が詰まるような、強烈な匂いだった。

それらが、私の目から、鼻から、口から、頭から、五臓六腑まで、ぐいぐいと入って来たのである。
涙が出て、咳が出て、頭がくらくらして、目の前が真っ暗となり、腹の中の臓物がぜんぶ飛び出すような気がした。

……なんとまあ、これは本当に、私がかつて夢にまであこがれたガソリンの匂いなのだろうかと疑問に思った。

地面に這いつくばって一息ついていると、何人もの人が私を取り囲んで、滑稽な道化でも見るように笑っていた。
猛烈に噴き出した油ガスのおかげで、顔が真っ黒になり、無様にうろたえる私の姿は、確かに滑稽の極みであったに違いない。

それからというもの、私はすっかりガソリンの匂いが嫌いになってしまった。
何でもやりすぎるととんでもないことになったり、我慢できなくなったりすることを、私はようやく自覚できたのである。



「雨の中で」    趙麗宏


夕方、空の果てから茜色の雲が流れてきた。空がまだ暗くならない頃、しとしと雨が降り出した。

一日中にぎやかだった町が、しだいに静かになった。水にぬれた通りは、きらきら光る川のようだ。

学校帰りの子供たちがさしている傘は、あたかも水辺に浮かぶ花びらのようだ。
ときおり通り過ぎる車は、波の中を流れゆく小舟のようだった。

一人の若い娘が、後ろに荷台をつけた自転車をこいで、急いでこちらにやって来た。
荷台の上には、二つの大きなかごがあり、大きく赤いリンゴがいっぱいに積まれていた。

気が急いだのか、それとも道が滑りやすくなったためか、道の曲がり角で、荷台が傾いてしまった。

かごがひっくり返ってしまい、丸くて赤いリンゴが、雨に濡れそぼった路面をコロコロと、
道の真ん中、そして向こう側まで転がっていってしまった。

若い娘は慌てて自転車から降り、急いでリンゴを拾い始めた。
数え切れないほどのリンゴが地面いっぱいに転がっていて、そう簡単に拾えるはずもない。

その時だった、遠くから大型トラックがゴーッという音をたてて、こちらに近づいてくるのが見えた。

何人かの子どもたちが駆け寄って来て、われ先にとリンゴを拾い始めた。若い娘は身を起こし、思わず眉をひそめた。
このいたずら坊主たちがみんな幾つかのリンゴを拾って逃げていったら、それを止めることはできないだろう。

一人のまるまるとした男の子が、彼女の心配を見透かしたかのように、彼女のそばへ来て言った。
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。一個たりとも減らさないから」  

彼は首に巻いていた赤いネッカチーフを解いて、大きな声で叫んだ。  
「ピンピン、タオタオ、こっちに来て。道を塞ぐから!」

何人かの子どもたちが、すぐさまずらりと並んで、赤いネッカチーフを振り回した。
そして走って来る大型トラックに向かって大声で叫んだ。「止まれ、止まれ!」

トラックが止まった。運転していた若者は首を伸ばして窓の外の光景を見るなり、笑って運転席から飛び降りた。
そして子どもたちと一緒にリンゴを拾い始めた。

乗用車が止まり、白髪の老紳士が降りてきた。
そして通りがかりの人もみんなやって来て、道に落ちたリンゴを拾い始めた。静かな道が急ににぎやかになった。

これらすべてはこんなふうに突然始まり、そしてすぐさま終わった。
リンゴを運んでいた若い娘がお礼を言う間もなく、リンゴを拾ってくれた人たちは雨の中に消えていった。

子どもたちは嬉しそうに笑いながら、傘をさして、歌を歌いながら去っていった。
トラックも走り去り、乗用車も行ってしまった。すべてのリンゴは、ふたたび荷台の上に戻っていた。