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【第一課 第十二節】 东郭先生和狼 (中国寓言故事)  

在好多年以前,有个教书的老先生叫东郭先生。

有一天,东郭先生骑着一头小毛驴在大路上走,毛驴的背上驮着一个口袋,
口袋里边装着好些书。

东郭先生骑着毛驴正走着呢,忽然,一只大灰狼慌里慌张地朝东郭先生跑过来。
东郭先生一看见大灰狼,吓得腿都软啦。

他想:「哎呀,大灰狼准是来吃我的!」 想着,东郭先生打着小毛驴就要逃跑。

可是,大灰狼跑到东郭先生的面前说:
「老先生,您别跑,也别害怕,我是一只不吃人的狼」

东郭先生一听,站住了: 「你,你真的不吃人吗?」
「真的,我真的不吃人!」

「哎,你为什么这么慌里慌张的呢?」
「老先生,猎人在后边追我,要打死我。您快救救我吧!」

东郭先生抬起头,朝大灰狼跑过来的方向一看,
远处真有一个骑着马的猎人正朝这儿跑呢。

大灰狼更着急了: 「老先生,您行行好,快,快想办法救救我吧。
我永远永远也忘不了您对我的好处!」
说着,大灰狼的眼泪都快流下来啦。

东郭先生一看大灰狼这副可怜的样子,心想:
「这只狼大概真的不吃人,我就救救它吧!」

东郭先生赶紧从毛驴背上跳下来,把口袋里边的书倒在地上,
叫大灰狼赶快钻到口袋里去,还对它说: 「你在里边千万别乱动啊!」

接着,东郭先生把口袋扎好,放在地上。
为了不让猎人发现,东郭先生就坐在口袋前面,假装看书。

不大一会儿,一个猎人骑着马来到了东郭先生面前:
「喂! 请问老先生,你有没有看见一只大灰狼从这儿跑过去呀?」

东郭先生抬起头儿来说: 「没有,没有,我只顾看书,根本就没看见什么大灰狼!」

猎人看见东郭先生身后边的那个口袋,就问:
「老先生,你的口袋里边鼓鼓囊囊的,装的是什么东西呀?」

东郭先生一听连忙说: 「那,那里边装的都是书。唉! 那只大灰狼会不会从别的路逃走了?
你赶紧上别处找找吧!」

猎人听了东郭先生的话,就骑着马追狼去了。
等猎人走远了,连 「嗒嗒嗒」 的马蹄声也听不见了,东郭先生这才长长地出了一口气。

他从地上站起来,把口袋解开: 「喂,大灰狼,猎人走远了,你也赶紧走吧!」

哪知道,大灰狼从口袋里爬出来以后,伸了伸懒腰,打了个哈欠,把两只凶狠的眼睛一瞪:
「老先生,谢谢你救了我。不过,你既然救了我,就救到底吧!」

「哎! 大灰狼,我救了你的命,还不算救到底呀?」

大灰狼吧达吧达嘴,龇着大长牙说:
「这会儿,我简直都要饿死了,你要是救我救到底,就应该让我把你吃了!」

东郭先生—听,又害怕,又生气: 「你这个坏蛋,怎么这样不讲理呀,我救了你的命,
你不报答我,反而要吃我! 你,你刚才不是说,你是一只不吃人的狼吗?」

「嘿嘿! 刚才,是为了让你救我的命,我才那么说的。
你想,天下哪有不吃人的狼呢? 来吧,还是让我吃了你吧!」

说完,大灰狼龇着牙,咧着嘴,冲着东郭先生,「忽」 地一下扑了过去。
东郭先生吓得赶紧躲到小毛驴背后,拼命地喊: 「救命啊! 救命啊!」

正在这个时候,有个农民听到有人喊救命,就扛着锄头,急急忙忙地跑过来。

东郭先生一见那个农民,连忙拉住他的手说:
「老哥啊! 我是东郭先生。刚才,猎人追这只狼,我让它藏到口袋里边救了它的命。
这会儿,它反而要吃我。你,你说该吃不该吃呀?」

大灰狼也说: 「不对,是他把我骗到这个口袋里去的。他哪想救我呀,他是想害死我!」

那个农民听了他俩的话,想了想说:「你们俩的话,我都不相信。这么个小小的口袋,
怎么能装得下那么大的一只狼呢! 喂! 我说大灰狼,你让我看看你是怎么钻进口袋里去的,行吗?」

大灰狼一心想吃东郭先生,说了声: 「好吧!」 就又钻到口袋里边去了。

那个农民等大灰狼把整个身子都钻到口袋里去以后,马上把口袋扎得紧紧的,说:
「好啦,现在,让我们把这条恶狼打死吧!」

大灰狼在口袋里边听了,又装出一副可怜相说: 「放了我吧,我再也不吃人了!」

农民说: 「你这个恶狼,我们再也不上你的当了!」
说着,举起锄头,狠狠地朝口袋打下去,一下! 两下! 三下!  终于把大灰狼打死了。

这时候,农民对东郭先生说: 「东郭先生,你现在知道了吧,不管什么狼,都是要吃人的。
我们绝不能看见狼装出一副可怜相,就以为它不吃人了」

东郭先生连连点头说: 「对,对! 这回,我可知道了,狼,总是要吃人的。
以后,我再也不上它的当了!」


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【注 釈】

【东郭先生和狼】 dōng guō xiān sheng hé láng  東郭先生とオオカミ。

【教书】 jiāo shū  学者。
【毛驴】 máo lǘ  背の低いロバ。
【驮着】 tuó zhe     背負っている。

【好些书】 hǎo xiē shū  たくさんの本。
「好」は、数量の多さを表す副詞。
<用例> 有好些事儿要办。 (たくさんやる事がある)

【吓得腿都软】 xià de tuǐ dōu ruǎn
驚くあまり両足の力がすっかり抜ける。
「動詞+得+状態補語 (腿都软)」の形で動作状態の様相を描写する。
<用例> 激动得说不出话来。 (感動のあまり言葉も出ない)
「都」は、前の語句 「腿」 を受ける範囲副詞。それぞれみな。

【准是】 zhǔn shì  (=一定)  きっと。
【行行好】 xíng xíng hǎo  どうかお願いだ。

【眼泪都快流下来啦】 yǎn lèi dōu kuài liú xià lái la
涙さえ流さんばかりだ。「都」は、強調副詞。
<用例> 塞 sāi 得满满的,都快破裂了。
(ぎゅうぎゅうに詰め込んで、はちきれんばかりだ)

【只顾】 zhǐ gù  ひたすら。
【鼓鼓囊囊的】 gǔ gu nāng nāng de  はち切れそうだ。

【会不会从别的路逃走】 別な道から逃げたのではなかろうか
「会」 は、「可能性」 を表す助動詞
<用例>担心会不会下雨。(もしかして雨が降るんじゃないかと心配だ)

【等猎人走远了】 猟師が遠くに行ってしまってから
「等」 は、「実現を待ってから」 を表す動詞
<用例> 等快开演的时候走也来得及。(開演直前になって出かけても間に合う)
<用例> 他没等我说完就走了。(私が言い終わらないうちに行ってしまった)

【马蹄声】 mǎ tí shēng  馬のひずめの音。
【哪知道】 nǎ zhī dao  意外や意外。あにはからんや。
【伸懒腰】 shēn lǎn yāo  伸びをする。疲れた足腰を伸ばす。
【打了个哈欠】 dǎ le ge hā qian  あくびをひとつする。

【凶狠的眼睛一瞪】 xiōng hěn de yǎn jing yī dèng
凶暴な目でひとにらみする。

【既然救了我,就救到底吧】 jì rán jiù le wǒ,jiù jiù dào dǐ ba
助けてくれたからには、最後まで助けてくれ。
「既然」は、事実を前提とした判断を導く接続詞。
・・・ したからには。・・・ である以上。
<用例> 既然干就要好好干。(やるからにはちゃんとやれ)

【还不算救到底呀】 hái bú suàn jiù dào dǐ ya
それでもまだ助けたことにならないとはどういうことだ
「还不算」 まだ~とは言えない
<用例> 如果现在能急刹车,也还不算晚。(今急ブレーキがかけられるなら、まだ遅くはない)
<用例> 那还不算太远。(それは遠すぎるなどとはいえない)

【吧达吧达嘴】 ba dá ba dá zuǐ  舌なめずりする。
【龇着大长牙】 zī zhe dà cháng yá  歯をむき出す。

【简直都】 jiǎn zhí dōu  ほとんど以下のようである。すっかり。
「简直都」は、以下の内容をほとんどそれに等しいと強調する副詞。
<用例> 简直都忘了。(さっぱり忘れた)

【让我把你吃了】 ràng wǒ bǎ nǐ chī le  
オレにお前を食べさせろ。
「了」は、催促を表す助詞。さあ。さっさと。
<用例> 你该睡了。(さあもう寝る時間だ)

【不讲理】 bù jiǎng lǐ  理不尽。理屈に合わない。
【不报答】 bù bào dá  恩に報いない。恩返ししない。

【你不报答我,反而要吃我】 bù bào dá wǒ,fǎn ér yào chī wǒ
恩に報いないばかりか、かえって私を食いたいなどとは。
「反而」は、期待を裏切る意を表す副詞。それなのに。かえって。
<用例> 我好心地告诉他, 他反而怪我。
(善意で言ったのにかえって逆恨みされた)

【我才那么说的】 wǒ cái nà me shuō de
だからこそそう言ったのだ。
「才」は、原因結果の論理関係を表す副詞。
<用例> 我是因为不懂才问你的。
(わからないからこそたずねているのだ)

【还是让我吃了你吧】 hái shì ràng wǒ chī le nǐ ba
つべこべ言わず食わせろ。
还是(=不管怎样)いずれにせよ。どっちみち。

【咧着嘴】 liě zhe zuǐ  口をゆがめて。

【冲着东郭先生】 chòng zhe dōng guō xiān shen
東郭先生めがけて。
冲着(=对着, 朝着)に向かって。

【扛着锄头】 káng zhe chú tou  鋤を担いで。

【他哪想救我呀】 tā nǎ xiǎng jiù wǒ ya
彼が私を救おうとするはずがない。
「哪」は、反語(非難)を表す副詞。
<用例> 哪有这种道理呢。(どうしてそんな理屈があろうか)

【可怜相】 kě lián xiàng  哀れな様子。

【再也不上你的当了】 zài yě bù shàng nǐ de dàng le
二度とだまされんぞ。

【不管什么狼,都是要吃人的】
bù guǎn shén me láng,dōu shì yào chī rén de
どんなオオカミだって人を食べようとするものだ。
不管(=无论如何结果不变  no matter what)
(接続詞) ~を問わず。いずれにせよ。
<用例> 不管什么时候都行。(いっだってかまわない)


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【練習問題】  

次の文中の誤りを訂正してください。

① 把所有的书他装进口袋里。bǎ suǒ yǒu de shū tā zhuāng jìn kǒu dài lǐ
   (彼はあらゆる本を袋に詰め込んだ)

② 为了让猎人不发现,他就坐在口袋前面。
   wèi le ràng liè rén bù fā xiàn,tā jiù zuò zài kǒu dài qián miàn
   (猟師に見つからないように、彼は袋の前に腰をおろした)

③ 把这条恶狼让我们打死吧。bǎ zhè tiáo è láng ràng wǒ men dǎ sǐ ba
   (この凶悪なオオカミを我々で打ち殺そうではないか)

④ 应该让我把你吃。yīng gāi ràng wǒ bǎ nǐ chī
   (私におまえを食べさせるべきだ)

⑤ 猎人把一只大灰狼射死了。liè rén bǎ yì zhǐ dà huī láng shè sǐ le
   (漁師はオオカミを撃ち殺した)

⑥ 东郭先生把大灰狼的话相信了。dōng guō xiān sheng bǎ dà huī láng de huà xiāng xìn le
   (東郭先生はオオカミの言葉を信じた)

⑦  大灰狼再钻进了东郭先生的口袋里。dà huī láng zài zuān jìn le dōng guō xiān sheng de kǒu dài lǐ
       (オオカミは再び東郭先生の袋の中にもぐりこんだ)

⑧  刚才是为了让你救我的命,我才那么说了。gāng cái shì wèi le ràng nǐ jiù wǒ de mìng,wǒ cái nà me shuō le
       (先ほどはお前にオレの命を助けさせるためにそう言ったのだ)




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【口語訳】

昔むかし、東郭 (とうかく) 先生という学者がおったそうな。

ある日、東郭先生は小さなロバに乗って山道を歩いておった。
ロバの背にはたくさんの本がつまった袋が積んである。

東郭先生がロバに乗って歩いておると、突然、一匹の大きなオオカミが
あたふたとこちらへ走ってきよる。

東郭先生はそりゃー驚いたのう。
オオカミを見たとたん、両の足の力がすっかりぬけてしもうた。

「あいや、オオカミはわしを食べに来たにちがいない!」
そう思った東郭先生はロバをたたいて一目散に逃げ出そうとした。

しかし、オオカミは目の前にやって来てこう言いよった。
「先生、私はあなたを食べたりしないから、どうかこわがって逃げださないでくだされ」

東郭先生はそれを聞くと、思わず立ち止まった。

「お前は本当に人を食べないのじゃな?」
「本当ですとも、私は本当に人を食べたりしません」

「はてさて、お前はどうしてこんなにあわてておるのじゃ?」

「先生、猟師が私を追って来て打ち殺そうとしてるのです。
お願いですから私を助けてくださいませ!」

東郭先生は頭を上げて、オオカミが走って来た方向を見やると、
遠い所に、本当に馬に乗った猟師がこちらへ向かってくるのが目に入った。

オオカミはもうオロオロしまくって言うた。
「先生、どうかお願いだ。早くなんとか助けてください。あなたのご恩はずっと忘れませんから!」

オオカミは目に涙をうかべて命乞いしておる。
オオカミの可哀相な様子を見て、先生は心の中で考えとった。

「このオオカミは本当に人を食べんようじゃ、なら助けてやろうかの」
東郭先生はすぐさまロバから跳び下りて、袋の中の本を地面の上にぶちまけてしもうた。

かわりにオオカミを袋の中に入れてやって、さらにこう言うた。
「くれぐれも中でむやみに動くでないぞ!」

続いて先生は袋をきちんとくくって、地面の上に置いてやった。
猟師に見つからんように、袋の前に腰をおろして本を読むふりをしておった。

しばらくして、一人の猟師が馬に乗って東郭先生の目の前にやって来た。
「そこの先生、ちょっとたずねるが、こっちへオオカミがやって来なかったかい?」

東郭先生は頭を上げて言うた。
「いやいや、わしはひたすら本を読んでおって、オオカミの姿などまったく見えんかったよ」

すると猟師は東郭先生の後ろにある袋を見てたずねおった。
「先生、あんたの袋はずいぶんふくれ上がっているじゃないか。いったい何がつまっておるのだ?」

東郭先生はあわてて言うた。「そ、その中身はぜんぶ本がつまっておるのじゃ。
そうそう、あのオオカミはほかの道から逃げて行ったにちがいあるまい。
早々に別の道を探してみたらどうじゃな!」

猟師は先生の話を聞くと、馬に乗って足早にオオカミを追って行きよった。

猟師が遠くに行き、「たったったっ」 という馬のひずめの音もなくなると、
東郭先生はほっと一息ついた。

彼は立ち上がって、袋の口を解いてやった。
「これこれ、オオカミ、猟師は行ってしまったようじゃ。お前さんも急いで帰りなされ!」

袋から這い出したオオカミは、ぐっと伸びをして、あくびをひとつしよった。
そしてなんと、狂暴な目を見張って先生にこう言うた。

「先生、オレを救ってくれてありがとよ。
でもな、せっかく助けてくれたんだから、最後までオレの面倒を見てもらおうじゃねえか!」

「なんと! わしはお前を助けてやったのに、これ以上なにを救えというのじゃ?」

オオカミは長い歯をむき出し舌なめずりして言うた。

「オレは今腹が減って死にそうなんだ。最後まで助けてくれるなら、今度は先生を
食べさせてくれるはずだよな!」

東郭先生はそれを聞くと、おそろしいやら、腹がたつやら。

「この悪党め! そんな理不尽がどうして通ろうか。命を救ってやったのに、
その恩をあだで返す気か!お前は先ほど、人を食べることはないと言ったではないか?」

「へへへ! 先ほどはお前にオレを助けさせるためにそう言ったのさ。
考えてもみろ、この世の中、どこに人を食わないオオカミがいると言うんだ。
さあ、とにかくお前を食わせてくれや!」

オオカミはそう言うと、牙をむき口をゆがめて、東郭先生にぱっと飛びかかってきよった。
びっくりたまげた先生はすぐさまロバの背後に隠れて、必死に叫びおった。
「だれか、だれか、助けてくれい!」

ちょうどこの時、叫び声を耳にしたある百姓が、鋤を担いで、ぱたぱたと走って来よった。
東郭先生は百姓を見つけると、すぐさま彼の手を引っ張りながら言うた。

「お百姓! わしは東郭と申す学者じゃ。
先ほど猟師がこのオオカミを追っていたので、わしは袋の中にかくまって助けてやったのじゃが、
それを今になって、このわしを食べてしまうというのじゃ。
わしはいったい食べられてしまうべきか、そうでないか、あんたはどう思うかの?」

するとオオカミも言うた。「それは違う、彼が私をだましてこの袋の中に入れたのだ。
助けるどころか、私を殺そうとしたんだ!」

その百姓は両方の話を聞いて、しばし考えて言うた。「お前たちの話はどうも信じられん。
こんな小さい袋に、どうして大きいオオカミを入れることができようか! これ、そこのオオカミ! 
お前はどうやって袋の中に入れたのか、このわしにちょっと見せてくれまいか。どうだね?」

先生を食べとうてしょうのないオオカミは 「いいとも!」 と言うや、またまた袋の中にもぐりこみよった。
オオカミの体がすっぽり袋の中に入ったのを見るや、その百姓はすぐさま袋の口をしっかりと
くくってしまいおった。

「これでよし、ではこれからこの凶悪なオオカミを打ち殺そうではないか!」
袋の中のオオカミはそれを聞くと、またまた悲しそうな声を装って言うた。

「どうぞ私を逃がしてくださいませ。私はもう二度と人を食べませんから!」
「この性悪のオオカミめ、二度とその手には乗らんぞ!」

百姓はそう言い終わるや、鋤を掲げて容赦なく袋を打ちはじめおった。
一発! 二発! そして三発! とうとうオオカミは打ち殺されてしまいよった。

こうして百姓は東郭先生に言うた。「東郭先生、もう分かったでしょう。
どんなオオカミもやはり人を食べようとするのだよ。
オオカミがいくら哀れな様子をしても、けっして人を食べないと思ってはならないのだ」

東郭先生はいくどもうなずいて言うた。
「そう、そのとおりじゃ。オオカミはけっきょく人を食べてしまうものだと、今ようやく分かり申した。
これから二度とやつらにだまされることはないじゃろう!」


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【練習問題・解答】

① 把所有的书他都装进口袋里。(彼はあらゆる本を袋に詰め込んだ)

「所有」 「每」 「一切」 「什么时候」 など内容が複数の状況を表す語句を用いた場合は 副詞 「都」 をおかなければならない。

<用例> 所有的汉语书他都看得懂。(あらゆる中国語の本を彼は読んでわかる)
<用例> 有事的话,什么时候都可以叫我。(用事があれば、いつでも私を呼んでよろしい)

また、「都」 をおくところに注意しなければならない。直接の主語の前においてはならない。

<用例> 这话我都听腻了。(その話はすっかり聞きあきた)
<用例> 我一打电话,他们马上就都会来。(私が電話をすれば彼らはすぐにみな来るはずだ)


② 为了不让猎人发现,他就坐在口袋前面。(猟師に見つからないように、彼は袋の前に腰をおろした)

「让」 は介詞であるから、介詞構造そのものを否定しておかなければならず、「不让」 としなければならない。
また 「不」 だけでなく副詞は一般に 「让」 の前におく。

<用例> 我可不想再让人欺负了。(これ以上ばかにされたくない)
<用例> 还没让他追上。(まだ彼に追いつかれていない)


③ 让我们把这条恶狼打死吧。(この凶悪なオオカミを我々で打ち殺そうではないか)

「把」 を用いた文と 「让」 を用いた文が組み合わさった場合の順序は、「让」 を用いた文が先となる。


④ 应该让我把你吃了。(私におまえを食べさせるべきだ)

「让」 を用いた文の動詞は単音節動詞だけであってはならない。
単音節動詞の場合はこれになんらかの成分がついていなければならない。
「吃」 は単音節動詞であるから、「了」 をおき、結果が出ていることを表さなければならない。


⑤ 猎人把那只大灰狼射死了。(漁師はオオカミを撃ち殺した)

「把」 の目的語は 「既知・特定」 のものでなければならない。
「把一只大灰狼」 は、「大灰狼」 の前に不特定の数量詞 「一只」 が用いられ、非文法的な表現となっている。
ここでは 「大灰狼」 の前に指示代詞 「那」 を伴った数量詞 「那只」 を用い、特定された既知の目的語としなければならない。


⑥ 东郭先生相信了大灰狼的话。(東郭先生はオオカミの言葉を信じた)

「相信」 「希望」 「知道」 「喜欢」 「同意」 「觉得」 「看见」 「听见」 など 「心理・感覚」 を表す動詞に 「把」 を用いることはできない。
「把」 を用いる文の動詞は、積極的に 「把」 の目的語に働きかけ、一定の影響を及ぼすものでなければならない。

また、動詞は単純な単音節動詞や単純なニ音節動詞であってはならない。
そこに用いられる動詞は、少なくとも重畳形でなければならず、より多く見られるのはその前後に何か別の成分を伴っているかたちである。

<用例> 把衣服洗一洗。(服を洗いなさい)
<用例> 大灰狼把两只凶狠的眼睛一瞪。(オオカミは狂暴な目を見張った)
<用例> 我把他向外拉,但拉不动。(私は彼を外に引っ張るが動かない)


⑦  大灰狼又钻进了东郭先生的口袋里。(オオカミは再び東郭先生の袋の中にもぐりこんだ)

ある動作を再び繰り返す場合、「再」 は、まだ実現されない動作に用い、「又」 は、すでに実現された動作に用いる。
なお 「再」 と 「了」 は一般に呼応して用いられることはない。

<用例>我唱了一遍,再唱一遍。(私は一回歌って、再び歌うつもりだ)
<用例>我唱了一遍,又唱了一遍。(私は一回歌って、再び歌った)


⑧  刚才是为了让你救我的命,我才那么说的。(先ほどはお前にオレの命を助けさせるためにそう言ったのだ)

すでに実現した動作行為の理由を述べる説明文は構造助詞 「的」 を使用する。

<用例>刚才是为了你好,所以我才这么说的。(先ほどは君のためを思ってそう言ったんだ)
<用例>刚才我只是想开个玩笑才这么说的。(先ほどは冗談でそう言っただけだよ)

なお語気助詞 「了」 は、動作が実現し、それを新しい情報として述べる伝達文に使用する。

<用例>他刚才出去买东西了。(彼は先ほど買い物に出かけたよ)
<用例>这么说,刚才吃点心了。(そういえば、さっきお菓子食べたわ)