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【第一課 第十四節】 彼得・ 潘  ①  (詹姆斯・马修・巴利)          

在英国伦敦肯辛顿公园附近,矗立着一座漂亮而又雅致的别墅。

在这所漂亮的小房子里,住着达林先生和达林太太,以及他们的三个孩子:
大女儿文蒂、长子约翰和小儿子迈克尔。

要是没有彼得・ 潘来捣乱,再也没有比这个家庭更单纯、更快乐的了。

达林夫人是一个成功的妈妈。
她第一次听说彼得・ 潘这个名字,是在整理孩子们想法的时候。

文蒂常常对妈妈说: “彼得・ 潘是个梦一般会飞的男孩!”
他夜里常常会飞到她们的房间来。

可惜的是文蒂从来没醒过,所以,她不清楚自己究竟是怎么知道这件事的,
但她确实知道。

一开始,达林夫人并不相信,可随后发生的一件事却使文蒂的话得到了证实。

一天夜里,彼得・ 潘又在满天星光之中来看望文蒂了,可他刚一坐上文蒂的床角,
就见三个孩子的保姆 —— 一只又聪明又称职的小狗娜娜,向他猛扑过来。

原来,达林夫人为了保护文蒂,而将娜娜留在了文蒂的卧室里。
彼得・ 潘一见情形不好,赶紧向外面飞去。

可他还是慢了一步 —— 在飞起的过程中,他的影子被娜娜一口咬下来,
只有身体飞了出去;而文蒂此时却仍沉睡在自己的美梦之中。

达林夫人知道这件事后,觉得心里沉甸甸的。
她把彼得・ 潘的影子卷起来,放到一个抽屉里,
等待那个淘气的男孩彼得・ 潘再一次光顾这里,把它取走。

事情往往是这样,它本身已在悄悄地进行着,而事中人却还在不知不觉中。
让达林先生和夫人后来悔恨不已的事,终于在一个星期五的晚上发生了。

这天晚上,达林先生和夫人要去参加一个宴会。
临走之前,小狗娜娜因为惹怒了达林先生而被锁到了院子里。

炉火渐渐地熄灭了,床头的灯也不由自主地打起哈欠来。

就在这时,屋里又出现了一团亮光,这亮光就像是一团飘着的闪亮的梦,
照遍了孩子们的房间,翻遍了衣橱和抽屉,她就是彼得・ 潘身边的小仙女丁卡•贝尔
——她正在四处地寻找彼得・ 潘的影子。

小仙女进来没一会儿,彼得・ 潘就跳了进来。

“丁卡——” 彼得轻声地叫着:
“告诉我,他们把我的影子藏到哪儿去了?”

丁卡丁丁冬冬地说话了,她的声音像金钟儿一样好听。
“哦,它藏在那边第二个抽屉里呢!”

彼得・ 潘一听,高兴地叫起来:
“太好了! 我终于找到我的影子了!”

这时,躺在床上的文蒂被他们的说话声给吵醒了,
当她得知他们就是彼得和他身边的小仙女时,文蒂欣喜极了。

很快地,彼得和文蒂成了好朋友,彼得邀请文蒂和她的两个兄弟一同前往永无岛。

文蒂忙把两个弟弟唤醒,告诉他们说可以飞到天上玩。
约翰和迈克尔一听,高兴地喊着:
“走吧!走吧!”

彼得教会姐弟三人怎样在空中飞行以后,他们几个便像乐疯了的小精灵一般,
嬉闹着随彼得飞往遥远的太空。

嗬! 飞翔真好! 他们不停地在空中翻跟头,一遍遍地绕着教堂的塔尖飞来飞去。
“呀,多好啊!” “啊,多带劲儿呀!”

孩子们快活地在空中飞着。
当他们饿了的时候,彼得就飞到鸟儿嘴边去抢面包片给他们吃。

彼得对文蒂非常友好,这使丁卡•贝尔对文蒂充满了忌妒。

飞行时间一久,姐弟三个开始疲倦起来,他们觉得十分地困乏。
后来彼得教给他们怎样仰卧在大风背上睡觉,孩子们这时终于可以休息一下了,
他们充分地体会着顺风滑翔的乐趣。

经过几个月的飞行,他们就要到达目的地了。

孩子们现在还不知道这个岛有什么恐怖的地方,
全都对着远处模糊的岛影欢呼起来。

“约翰,看,那就是环礁湖!”
他们指点着,说笑着,听彼得讲述着岛上各种各样的奇闻。

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【注 釈】

【彼得・潘】 bǐ dé pān  ピーターパン。

ピーターパン  (Peter Pan)
イギリスの劇作家バリーの童話劇。1904年初演。
永遠の少年ピーターと妖精ティンカーベル、少女ウェンディたちが、
フック船長ら海賊を退治する冒険物語。
後に、バーンスタイン作曲によるミュージカルにもなった。

【詹姆斯・马修・巴利】 zhān mǔ sī mǎ xiū bā lì
ジェームス・マシュー・バリー (James Matthew Barrie) (1860-1937年)
英国の劇作家、小説家。スコットランド生れ。
喜劇にすぐれ、「あっぱれクライトン」 (1902年) など風刺と
ユーモアと空想にあふれた作品で成功した。
永遠の少年を描く 「ピーター・パン」 によって知られる。

【伦敦肯辛顿公园】 lún dūn kěn xīn dùn gōng yuán
ロンドン・ケンジントン公園。(Kensington Garden)
ハイド・パーク (Hyde Park) 西方の王立公園。
ケンジントン宮殿、ピーター・パン像などがある。

【矗立着】 chù lì zhe  そびえ立っている。
「着」は、存在を表す動態助詞。
<用例> 窗 chuāng 玻璃 bōli 上停着一只小蝴蝶 húdié。
(窓ガラスに小さなチョウが一匹とまっている)

【雅致】 yǎ zhì  しゃれた。小粋な。
【别墅】 bié shù  別荘。

【达林先生和达林太太】 dá lín xiān sheng hé dá lín tài tai
ダーリング夫妻。

【大女儿】 dà nǚ ér  一番上の娘。長女。
【文蒂】 wén dì  ウェンディ。
【长子】 zhǎng zǐ  長男。
【约翰】 yuē hàn  ジョン。
【小儿子】 xiǎo ér zi  末っ子。
【迈克尔】 mài kè ěr  マイケル。

【要是没有彼得・潘来捣乱】
yào shì méi yǒu bǐ dé pān lái dǎo luàn
もしもピーターパンがやって来てごたごたを起こすことがなかったら。

【再也没有】 zài yě méi yǒu  世界中どこを探しても。

【比这个家庭更单纯、更快乐的了】
bǐ zhè ge jiā tíng gèng dān chún、gèng kuài lè de le
これほど平凡で幸福な家族は他になかったことでしょう。
「了」は、肯定を表す語気助詞。~にちがいない。

【成功的妈妈】 chéng gōng de mā ma  子供たちのお手本となる素敵なお母さん。

【整理孩子们想法】 zhěng lǐ hái zi men xiǎng fǎ
子供たちの心の中をきちんと整理する。

(どこの家庭でも毎晩、子どもたちが眠ったあと、お母さんは
あちこち散らかってしまった子どもたちの心をきちんと
かたづけてくれると信じられていたのです)

【梦一般会飞的男孩】 mèng yì bān huì fēi de nán hái
まるで夢みたいに空を飛べる男の子。

【但她确实知道】 dàn tā què shí zhī dào
でも彼女はちゃんとわかっていたのです。

【称职】 chèn zhí  役目にふさわしい。うってつけの。
【小狗娜娜】 xiǎo gǒu nà nà  仔犬のナナ。

【为了保护文蒂,而将娜娜留在了】
wèi le bǎo hù wén dì,ér jiāng nà nà liú zài le
ウェンディを守るためにナナを残しておく。
为了+述詞+而・・・ の構文で、目的手段を表す述詞構造を形成する。
<用例> 为了减肥而节食 jié shí。(やせるためにダイエットする)
cf. 节食而减肥。(ダイエットしてやせる。 and to  而して)
cf. 节食以减肥。 (やせるためにダイエットする。 in order to  以て)

【还是】 hái shì  そのあげく。結局。
【慢了一步】 màn le yí bù  一歩後れをとって。
【沉甸甸的】 chén diān diān de  心が重苦しい。憂鬱。
【光顾】 guāng gù  やって来る。

【事情往往是这样】shì qíng wǎng wǎng shì zhè yàng
事の次第はいつもこのように。

【它本身已在悄悄地进行着】
tā běn shēn yǐ zài qiāo qiāo de jìn xíng zhe
それ自身こっそりと行われていた。

【事中人却还在不知不觉中】
shì zhōng rén què hái zài bù zhī bù jué zhōng
当の本人はいまだ気がつかないままだった。

【悔恨不已】 huǐ hèn bù yǐ  ひどくくやしがる。

【因为惹怒了达林先生而被锁到了院子里】
yīn wèi rě nù le dá lín xiān sheng ér bèi suǒ dào le yuàn zi lǐ
お父さんの怒りを買って庭につながれていた。
因为+述詞+而・・・ の構文で、原因結果を表す述詞構造を形成する。
<用例> 因为电车发生故障而迟到的。 (電車の故障で遅れた)

【打起哈欠来】 dǎ qǐ hā qian lái  あくびをはじめる。

【飘着的闪亮的梦】 piāo zhe de shǎn liàng de mèng
きらめき漂っている夢。

【小仙女】 xiǎo xiān nǚ  妖精。
【丁卡・贝尔】 dīng kǎ bèi ěr  ティンカーベル。
【丁丁冬冬】 dīng dīng dōng dōng  チリンチリン。
【金钟】 jīn zhōng  〈虫〉スズムシ。

【被他们的说话声给吵醒了】
bèi tā men de shuō huà shēng gěi chǎo xǐng le
彼らの話し声で目を覚ました。
「给」は、動詞の前に置かれ強調を表す語気助詞。
<用例> 小红帽差点儿被猎人给救了出来。
(赤ずきんは危ういところ木こりに救い出された)

【欣喜极了】 xīn xǐ jí le  大喜びだった。
「形容詞+极了(程度補語)」の形で動作状態の程度を強調する。
<用例> 可笑极了。(滑稽のきわみ。お笑い草)

【永无岛】 yǒng wú dǎo  夢の国ネバーランド (Neverland)
年を取らない子どもたちが妖精とともに暮らしているという架空の国。

【唤醒】 huàn xǐng  起こす。目覚めさせる。
【教会】 jiāo huì   教えて会得させる。
【乐疯】 lè fēng  浮かれ騒ぐ。
【小精灵 】xiǎo jīng líng  小さな妖精。
【嬉闹】 xī nào  きゃっきゃっとはしゃぐ。
【翻跟头】 fān gēn tou  とんぼ返りを打つ。
【一遍遍地】 yī biàn biàn de   繰り返し。何度も。

【多带劲儿】 duō dài jìn r  なんて気分がいい。痛快だ。
「多」は、感嘆を表す程度副詞。
<用例> 多有精神! (元気いっぱいだ!)

【忌妒】 jì dù  ジェラシー。嫉妬。
【困乏】 kùn fá  へたばる。へとへとになる。
【仰卧】 yǎng wò  あおむけに寝る。

【体会着】 tǐ huì zhe  習得していた。身につけていた。
「着」は、状態の持続を表す動態助詞。
<用例> 掌握着英语和汉语两种语言。
(英語と中国語の二ヵ国語をマスターしている)

【顺风滑翔】 shùn fēng huá xiáng  風に乗って飛行する。
【环礁湖】 huán jiāo hú  サンゴ礁の湖。
【奇闻】 qí wén  めずらしい話。

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【口語訳】

ピーター・パン   (ジェームズ・マシュー・バリー)

イギリス・ロンドンのケンジントン公園近くに、美しく優雅な邸宅が建っていました。

この洒落たお屋敷には、ダーリング氏とダーリング夫人、そして三人の子供たちが住んでいました。
一番上の娘がウェンディ、そして弟のジョン、末の弟マイケルです。

もしピーター・パンがやってきていたずらをしなかったら、これほど平凡で幸福な家庭はなかったことでしょう。

ダーリング夫人は、子供たちのお手本となる素敵なお母さんでした。
彼女が初めてピーター・パンという名前を聞いたのは、子供たちの心の中をきちんと整理している時でした。

「ピーター・パンはまるで夢みたいに空を飛べる男の子で、夜になるとわたしたちの部屋に飛んでくるのよ」
ウェンディはいつもお母さんに、そう言っていました。

でも残念なことに、夜中に目を醒ますことがないので、どうしてそのことを知っているのか、ウェンディは自分でも分からないといいます。
本当のことをいえば、彼女はちゃんとわかっていたのです。

最初、ダーリング夫人は信じませんでした。
でも、その後にある出来事が起こり、ウェンディの言うことが本当だと分かったのです。


ある晩、ピーター・パンは、満天の星空の中をウェンディに会いに来ました。

でも彼がウェンディのベッドの端に腰を下ろし、三人の子供たちの母親を目にしたその時――
利口で子守役の番犬ナナが、ピーター・パンに跳びかかったのです。

実は、ダーリング夫人がウェンディを守るため、ナナをウェンディの寝室に残しておいたのです。

ピーター・パンは、これは大変と、急いで外に飛び出しました。
でも一歩遅かったのです――飛び出す時に、彼の影ぼうしがナナに咬みつかれ、体だけが外へ飛び出したのでした。
でもウェンディは、この時まだ深くて甘い夢の中にいました。

ダーリング夫人は、この影ぼうしをどう扱ったらいちばんいいかと、大いに頭を悩ませました。
そこで彼女は、ピーター・パンの影ぼうしをくるくると巻いて、引き出しにしまいました。
そして、いたずらなピーター・パンが、影ぼうしを取り戻しに再び現れるのを待ちました。

これはよくあることですが、物事はひっそりと進んでいるのに、その中にいる人たちはまるで気が付かないものです。
ダーリング氏と夫人が後になって大いに悔やんだことが、ついにある金曜日の夜に起こってしまいました。

この日の夜、ダーリング氏と夫人はパーティーに出ることになっていました。
家を出る直前、番犬のナナはダーリング氏を怒らせてしまい、庭に鎖でつながれました。

暖炉の火はだんだんと小さくなり、ベッド脇の灯りも消えかかっていました。
その時です。部屋の中に、ひとすじの明るい光が現れました。

光は、ふわふわと漂う美しい夢のように子供たちの部屋を照らし出し、衣装ダンスや引き出しを全部ひっくり返しました。
光の正体は、ピーター・パンといつも一緒の小さな妖精、ティンカー・ベルでした。

彼女はピーター・パンの影ぼうしを探し回っていたのです。
妖精が入って来て間もなく、ピーター・パンが跳び込んできました。

「ティンカー」 ピーターは、ささやき声で呼びました。
「教えてくれ、僕の影は一体どこに隠してあるんだい?」

ティンカー・ベルは、金の鈴のようによく澄んだ美しい声で答えました。
「ああ、そこの二番目の引き出しに隠してあるわ。」

ピーター・パンはそれを聞くと、喜んで言いました。
「やったあ!ついに僕の影を見つけたぞ!」

この時、ベッドに寝ていたウェンディは、彼らの話し声で目を覚ましました。
二人がピーターとお供の妖精だと分かると、ウェンディは大喜びです。

ピーターとウェンディはすぐに仲良くなりました。
そこでピーターは、ウェンディと二人の兄弟を、ネバーランド島に招待することにしました。

ウェンディは急いで二人の弟を起こすと、「空へ飛んでいって遊べるのよ」 と言いました。
ジョンとマイケルはそれを聞くと、大喜びで歓声をあげました。
「行こう、行こう!」

ピーターが三人に飛び方を教えると、彼らは浮かれた妖精のように、笑い声も高らかに、ピーターと遠くの空へ飛び上がりました。
「わあ!飛ぶのって何て素敵!」

彼らは何度も空中で宙返りをし、教会の尖塔を行ったり来たりぐるぐると飛び回りました。
「ああ、すごいや!」 「ああ面白い!」

子供たちは楽しそうに、空を飛んでいきます。
子供たちがお腹を空かせた時は、ピーターは鳥の口元からパンを奪ってきて食べさせました。

ピーターがウェンディにとても親しげにしたので、ティンカー・ベルはウェンディに大変焼きもちを焼いています。

長い時間飛んでいる内に、三人の子どもたちは疲れて、眠くなってしまいました。
そこでピーターは、大きな風の背中に寝そべって眠る方法を子供たちに教えてあげました。
そうして、子供たちはやっと休憩することができたのでした。

彼らは風に乗って飛ぶ楽しさを十分に味わいました。
数か月ほど飛んだ後、彼らは目的地の近くまでやってきました。

子供たちは、この時はまだ、この島にどんな恐ろしい所があるのかを知らず、遠くにぼんやり見える島影を見て叫び出します。

「ジョン、見て、あれはサンゴ礁だ!」
彼らは指さしながら、喜びの声をあげました。
そしてピーターは、島で起きた様々な面白い事件を彼らに語って聞かせるのでした。