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【第一課 第十五節】 彼得・ 潘  ②    

“岛上有海盗吗?”
“当然。”
“海盗头儿是谁?”
“加斯・ 胡克!” 彼得严肃地说。

“什么? 胡克?”
迈克尔猛然一愣,随后禁不住哭了起来。

约翰也吓得说不出话,因为他们早就听说胡克是海盗里最凶恶的黑胡子船长,
连最残忍的巴比丘都怕他。

就在这时,忽听彼得大声喊道:
“快看哪,小岛边停着一艘船!”

几乎就在他说这话的同时,只听“轰”的一声巨响,
海盗们用一种叫“长汤姆”的武器打他们了!
文蒂被弹头的风掀转了身子,迅速向下跌落。

彼得飞快地伸手去抓,可只差一点点,文蒂就在浓烟的围裹中与大家失去了联系。

令人奇怪的是,丁卡・ 贝尔这时突然冲了出来,怀着谁也不知道的心思,
引诱着昏昏沉沉的文蒂向永无岛飞去。

现在让我们来看看那群海盗吧! 这群海盗相貌凶恶极了,
比刑场上等待处决的犯人还要可怕。

但最残忍、最凶恶的还要数他们的首领——加斯・ 胡克。
胡克脸上总是布着一层奇异的杀气,他穿着查理二世时的衣服式样,
很有贵族派头,但他仍然可以在一秒钟之内把你撕碎。

“停船系索我来到,彼得・ 潘早巳被吓跑;握一握胡克的铁钩手,抽筋扒皮剩骨头。”
海盗在船上高兴得又唱又跳。

但还没唱完,歌声就停止了,因为他们听到了另一种声音——滴答滴答!
胡克颤抖地站在船上。

“鳄鱼!” 他大叫一声,命令水手长:“快划船! 不能让它追上!”

胡克为什么这样怕这条鳄鱼呢?
原来,在一次激战中,彼得・ 潘割下了胡克的右手,把它喂给了这条大鳄鱼,
从此鳄鱼便总寻着胡克的踪迹追赶他。

幸亏一次偶然的机会,鳄鱼吞下了一只滴答作响的小表,
所以每当听到这滴答的声音,胡克就惊惶逃窜。

此时,永无岛仿佛已经感觉到孩子们可爱的小领袖彼得・ 潘即将归来,
所有的生命都活跃起来。

孩子们钻出地下之家,列队整形,准备迎接他们的小领袖。

“看,那不是丁卡・ 贝尔嘛!”

是的,正是小仙女丁卡・ 贝尔,她飞到孩子们面前,
指着在她身后飞来的文蒂对一个叫图图斯的孩子说:

“快点儿,图图斯,彼得让你把她射死!”

要知道,图图斯可是几个孩子中最诚恳老实的一个。

他拿起弓箭“嗖”地一下射向文蒂,:可怜的文蒂就这样不幸地被射了下来。
“哦,她死了,我们杀死了这个女孩!”

另外几个孩子忧伤地议论着。

就在这时,彼得带领约翰和迈克尔回来了。
“你们好啊!”

彼得欢快地与孩子们打着招呼。
突然,彼得看到了躺在孩子们身后胸口中箭的文蒂,他气极了,大声喝问:

“谁的箭?”

图图斯此时赶紧上前承认了错误,告知了彼得真相,并请求惩罚。
就在彼得要用箭惩罚图图斯的时候,文蒂醒了过来,阻拦住了彼得。

她怎么会没被射死呢? 原来,那支箭正好射中了她胸前佩戴的一颗橡果,
所以她只是暂时地晕过去了。

彼得看到文蒂苏醒过来,高兴极了,赶紧命人把他们接入了“地下之家”,
同时惩罚了小仙女丁卡・ 贝尔。

文蒂和两个弟弟在地下之家生活得十分快乐。
她很高兴给他们讲灰姑娘、讲白雪公主的故事。

孩子们心甘情愿地管她叫做“妈妈”,
文蒂也像个尽职的慈母一样关切着她的每个孩子。

彼得很少与孩子们在一起,他更多的时候是一个人出去到外面冒险,
而回来以后不是带着一些伤、讲一些绚丽多彩的冒险故事,
就是会一字不提,却让你在第二天出门时,意外地发现外面正躺着一具尸体。

在这期间,发生过一系列的战斗:岛上的红人们曾发现了他们的踪迹而夜袭地下之家;
海盗们为了要毒死孩子而做了许多的毒蛋糕……但他们的诡计都因为被彼得识破而未能得逞。

几个孩子在岛上过得很快乐。彼得带他们去了环礁湖,与他们一起嬉戏、游泳,
他们还看到了坐在礁石上的美人鱼,看着她们在湖里把吹出来的泡泡当成球儿,
你一下我一下地用美丽的鱼尾拍打着,真是别提有多迷人了!

这天,他们又去环瞧湖游玩的时候,彼得忽然发现一个美丽的红人女孩
——印弟安人酋长的女儿虎莲公主,她被绑在一处大瞧石上,
她那黑色的大眼睛平静而茫然地望着天空。

彼得知道这一定是海盗们干的“好事”,就用巧计救出了虎莲公主,
随后率众人同胡克一伙展开了激战。

因为这场激战,彼得・ 潘还着实地经历了一场生与死的历险呢!
后来,幸亏一只可爱的永无鸟舍弃了自己的巢,才将他随潮水渡上岸来。

自此,孩子们就和岛上的红人成了好朋友,红人也就成了地下之家的守卫者
——他们在一起欢快地举行篝火晚会,所有的人都开心地跳舞、唱歌。

这样又过了两个月,一天晚上,文蒂突然想起了爸爸妈妈。
她觉得妈妈一定在家里又难过又伤心地等着他们,于是,向彼得提出了回家的请求。

彼得答应了文蒂,虽然他心里觉得很舍不得。
文蒂邀请彼得和地下之家其余的孩子一齐同她回家。

除了彼得,其余的孩子都答应了。
可是,快乐与不幸似乎只有一线之隔。

文蒂和几个孩子刚一来到地面上,海盗头子胡克就抓住了他们。
“这回看你们还往哪儿跑!”

原来,就在文蒂和彼得商量回家的事时,在地面上已经展开过一场恶战。

狡猾的海盗这次没有按规矩而动,他们抢占住先机,提前发起进攻,
所以把虎莲公主领导的红人打得惨败,并最后控制了这个地区。

海盗头子命令手下人把孩子们一个个都捆绑起来,
押送到他的大船上,自己则悄悄地来到了地下之家。


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【注 釈】

【海盗头儿】 hǎi dào tóu r  海賊の首領。ボス。
【加斯・胡克】 jiā sī hú kè  ジャス・フック。
【猛然—愣】 měng rán yí lèng  突然ぎょっとする。

【吓得说不出话】 xià de shuō bù chū huà
驚きのあまり言葉が出て来ない。
「動詞+得+状態補語(说不出话)」の形で動作状態の様相を描写する。
<用例> 气得满脸通红。 (怒りで顔が真っ赤になる)

【巴比丘】 bā bǐ qiū  大盗賊バーベキュー。(barbecue)
【长汤姆】 cháng tāng mǔ  ロングトム砲。(Long Tom) 遠距離砲。
【掀转】 xiān zhuàn     (あおられて) きりきり舞いする。

【可只差一点点】 kě zhǐ chà yì diǎn diǎn
もうちょっとで。あやうく。すんでのところで。
「可」 は、強調の副詞。
<用例> 我可只你一个人告诉。(君だけに話すのだ)

【浓烟的围裹中】 nóng yān de wéi guǒ zhōng
もうもうと立つ煙の中で。

【与大家失去了联系】 yǔ dà jiā shī qù le lián xì
みんなからはぐれてしまう (ところだった)

【昏昏沉沉的】 hūn hūn chén chén de  
もうろうとしている。意識不明の。

【怀着谁也不知道的心思】
huái zhe shéi yě bù zhī dào de xīn si
誰も知らない思惑を内に秘めて。

【引诱】 yǐn yòu  誘い出す。誘い込む。

【还要可怕】 hái yāo kě pà  もっと恐ろしいに違いない。
「要」は、推測を表す助動詞。
<用例> 明天可能比今天还要冷。
(あすはきょうよりもっと寒くなりそうだ)

【查理二世】 chá lǐ èr shì  
チャールズ二世。(Charles Ⅱ) [1630-1685]
スチュアート朝イングランドの国王。1660年、即位したが、
次第に専制に傾き、1670年フランス国王ルイ14世と密約を結び、
旧教の復活を図る。議会と対立し、名誉革命の原因を作った。

【贵族派头】 guì zú pài tóu  貴族ぶっている。
派头 (=气派,态度,作风) 様子。態度。ぶり。ふう。

【撕碎】 sī suì  ずたずたに引き裂く。
【系索】 jì suǒ  ロープを結ぶ。

【握一握胡克的铁钩手】 wò yī wò hú kè de tiě gōu
フックが手かぎで握手をすれば。

【抽筋扒皮剩骨头】 chōu jīn bā pí shèng gǔ tou
筋を引っ張り皮を剥ぎ、残るは骨ばかり。

【滴答滴答】 dī da dī da  チクタク、チクタク。(時計の音)
【颤抖地】 chàn dǒu de  ぶるぶる震えて。
【鳄鱼】 è yú  ワニ。
【踪迹】 zōng jì  ゆくえ。足取り。
【惊惶逃窜】 jīng huáng táo cuàn  慌てふためいて逃げ出す。
【可爱的小领袖】 kě ài de xiǎo lǐng xiù  可愛いリトル・リーダー
【图图斯】 tú tú sī  トートルズ。

【胸前佩戴的一颗橡果】 xiōng qián pèi dài de yī kē xiàng guǒ
胸につけたドングリのブローチ。

【心甘情愿】 xīn gān qíng yuàn  心から喜んで。自ら進んで。
(=心甘:乐意。心里完全愿意;没有一点勉强)
<用例>他心甘情愿去偏僻的农村当小学教员。
(自ら進んで辺鄙な農村に行き小学校教員となった)

【管她叫做妈妈】 guǎn tā jiào zuò mā ma
彼女をママと呼ぶ。(管=把)

【尽职的慈母一样关切着】 jìn zhí de cí mǔ yí yàng guān qiè zhe
母親役を果たすかのように気遣いを見せている。

【很少与孩子们在一起】 hěn shǎo yǔ hái zi men zài yì qǐ
子供たちと一緒にいることはめったになく。

【不是带着一些伤】 bù shì dài zhe yì xiē shāng
あちこち傷を負っているかそれとも。

【绚丽多彩的冒险故事】 xuàn lì duō cǎi de mào xiǎn gù shi
わくわくするような冒険談。

【就是会一字不提】 jiù shì huì yī zì bù tí
一言も口にしないかのどちらかだ。
「不是 ・・・ 就是」 は二者択一を表す接続詞。
<用例>不是下雨就是刮风。(雨でなければ風かどちらかだ)

【却让你在第二天出门时】 què ràng nǐ zài dì èr tiān chū mén shí
それでいて次の日に外へ出て見ると。

【红人们曾发现了他们的踪迹】
hóng rén men céng fā xiàn le tā men de zōng jì
かつてインディアンたちが彼らの隠れ家を探し出して。

【夜袭地下之家】 yè xí dì xià zhī jiā
地下の家に夜襲をかけたり。

【诡计】 guǐ jì  悪だくみ。陰謀。

【识破而未能得逞】 shí pò ér wèi néng dé chěng  
見抜かれてしまい未遂に終わった。思い通りにならなかった。

【嬉戏】 xī xì  遊び戯れたり。

【你一下我一下地】 nǐ yí xià wǒ yí xià de
あっちとこっちで。お互いに。

【别提有多迷人了】 bié tí yǒu duō mí rén le
それはもううっとりするのなんのって。
(=表示程度之深不必细说)なんたって。
<用例>别提多有意思了。(おもしろいったらないんだ)

【还看到了坐在礁石上的美人鱼】
hái kàn dào le zuò zài jiāo shí shàng de měi rén yú
続いて岩の上にマーメイド (marmaid 人魚) を見つけた。

【印弟安人酋长的女儿虎莲公主】
yìn dì ān rén qiú zhǎng de nǚ ér hǔ lián gōng zhǔ
インディアン酋長の娘、タイガーリリー。

【好事】 hǎo shì  悪事。悪行。悪さ。
【巧计】 qiǎo jì  名案。うまい手。
【率众人】 shuài zhòng rén  みんなを従えて。

【同胡克一伙展开了激战】 tóng hú kè yì huǒ zhǎn kāi le jī zhàn
フック一味と一戦を交えた。

【还着实地经历了一场生与死的历险呢】
hái zhuó shí de jīng lì le yì chǎng shēng yǔ sǐ de lì xiǎn ne
まさに生きるか死ぬかという危険な体験をしたにちがいありません。

【永无鸟舍弃了自己的巢】 yǒng wú niǎo shě qì le zì jǐ de cháo  
おとぎの鳥が自分の巣を犠牲にして。

【才将他随潮水渡上岸来】
cái jiāng tā suí cháo shuǐ dù shàng àn lái
そのおかげで彼は潮の流れに乗って岸にたどりつくことができた。
【幸亏…才…】 xìng kuī…cái…  幸い…だったので、おかげで…。
<用例> 我们幸亏走得早, 才没叫雨淋 lín 了。
(私たちは幸い早く出たので雨にぬれずにすんだ)

【篝火晚会】 gōu huǒ wǎn huì  キャンプファイヤー。

【似乎只有一线之隔】 sì hū zhǐ yǒu yí xiàn zhī gé  
確かに表裏一体のようだ。背中あわせに他ならない。

【这回看你们还往哪儿跑】 zhè huí kàn nǐ men hái wǎng nǎ r pǎo
今度はお前たち、一体どこへ逃げるのか。(今度という今度は逃がしやしねえぞ)

【没有按规矩而动】 méi yǒu àn guī jǔ ér dòng  ルール無視で。

【他们抢占住先机,提前发起进攻】
qiǎng zhàn zhù xiān jī,tí qián fā qǐ jìn gōng
先手を打って奇襲をかけた。


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【口語訳】


「島には海賊がいる?」
「もちろん。」
「海賊って誰?」
「ジャス・フックだ!」 ピーターが神妙な顔で答えます。

「何だって?フック?」
マイケルはびっくりして、思わず泣きだしてしまいました。

ジョンも驚いて黙り込みました。
なぜなら彼らは、海賊の中でも最も凶暴な、黒ひげ船長フックの噂をとっくに聞いていたからです。
極悪人のバーベキューですら、彼を恐れたと言うのです、

この時、ピーターが大きな声で叫びました。
「ほら見て、島に船が停まってる!」

彼がこういうと同時に、「ドーン」 と大きな音がしました。
海賊が 「ロング・トム」 と呼ばれる大砲を打って来たのです!

ウェンディは、砲弾の爆風にあおられて、真っ逆さまに落ちていきました。
ピーターはさっと手を伸ばして捕まえようとしましたが、わずかに届きません。
ウェンディは濃い煙に包まれて、どこへ行ったか分からなくなってしまいました。

ところがどうしたことか、この時ティンカー・ベルが突然飛び出していたのです。
一体何を思ったのでしょうか、意識がもうろうとしたウェンディをネバーランドまで誘い導いて行ったのです。


さて、海賊の一団がどんな姿なのか見てみましょう!
彼らの顔つきは凶暴極まりなく、死刑場で刑の執行を待つ犯人よりも恐ろしい容貌でした。

しかし、最も残忍で凶悪なのはやはり彼らの頭目――ジャス・フックです。
フックの顔には、常に尋常ならざる殺気が漂っています。

彼はチャールズ二世時代の衣装を着こみ、貴族のような風貌をしています。
それでもやはり、一秒以内に相手を引き裂くことができるのです。

「船を舫(もや)って来てみたら、ピーター・パンは尻尾を巻いて、とっくの昔に逃げ出した。
フックの鍵の手でぎゅっと握られ、肉も皮ごと剥がされて、残っているのは骨だけさ」
海賊たちは大喜び、船の上で歌い踊ります。

しかし歌の終わらぬうちに、歌声はふいに止みました。
別の音が聞えてきたからです―――カチコチ! カチコチ!

フックは、震えながら船の上に立ちすくみました。
「ワニだ!」 彼は大声で叫ぶと水夫長に命令しました。
「早く船を出せ!追いつかれるなよ!」

フックはなぜこれほど、このワニを恐れるのでしょう?

実はある激しい戦いで、ピーター・パンがフックの右手を切り落とし、この大ワニの餌にしてしまったのです。
それ以来、ワニはフックの後をいつも追ってくるようになりました。

ある時、ワニは偶然にもカチコチと音を立てる小さな時計を飲み込んだのです。
そうして、この音を聞くたびに、フックは慌てて逃げだすようになったのです。

この時、ネバーランドでは、あらゆる生き物たちが生き生きと活動を始めました。
愛すべき子供たちの首領、ピーター・パンがもうすぐ帰ってくるのを感じ取ったからです。

島の子供たちは地下の家から出てくると、彼らの首領を迎えようと、きちんと整列しました。

「見て、あれはティンカー・ベルじゃない?」

そうです、まさしく妖精ティンカー・ベルです。
彼女は子供たちの前まで飛んでくると、後ろから飛んでくるウェンディを指さしながら、トートルズという名の子供に言いました。

「トートルズ、早く彼女を弓で殺すのよ! これはピーターの命令よ」

言っておきますが、トートルズは数人の子供の中でも一番まじめで素直な子です。
彼は弓矢を構えて 「ひゅっ」 とウェンディを討ちました。
かわいそうなウェンディは、こうして弓矢で射落とされてしまったのです。

「ああ、死んでしまった。女の子を殺してしまったよ!」
他の数人の子供たちは、困ったように言い合いました。

この時、ピーターがジョンとマイケルを連れて帰ってきました。
「ただいま!」

ピーターは、うれしそうに島の子供たちに挨拶しました。
突然ピーターは、胸に矢を受け、子供たちの後ろに倒れているウェンディを見つけました。
彼は怒って大声で叫びました。

「誰の矢だ?」

トートルズは、すぐに進み出て自分の罪を認め、ピーターに本当のことを話しました。
また、自分に罰を与えてくれるようにと言いました。

ピーターが弓矢でトートルズに罰を与えようとしたその時、ウェンディが目を覚まして、ピーターを止めました。
なぜ矢で射られたのに死ななかったのでしょう?

なんと矢は、ウェンディが胸に飾っていたドングリに命中したのです。
彼女はしばらく気を失っていただけでした。

ピーターはウェンディが目を覚ましたのを見て喜びました。
そうして、彼らを 「地下の家」 に迎え入れるよう言いました。

同時に、妖精ティンカー・ベルに罰を与えました。
ウェンディと二人の弟は、地下の家でとても楽しく暮らしました。

ウェンディは子供たちにシンデレラや白雪姫の物語を話して聞かせてあげました。

子供たちは、喜んで心からウェンディのことを 「ママ」 と呼びました。
ウェンディは、働き者で優しいお母さんのように、子供たち一人ひとりの面倒を見ました。

ピーターが子どもたちと一緒に過ごすことは余りなく、一人で冒険に行ってしまうことがほとんどでした。
帰ってくると、少し怪我はしていても、ピーターは色々ワクワクする冒険物語を語ってくれるのです。
そうでなければ一言もしゃべらず、翌日出かける時、外に思いも寄らぬ一体の死体が転がっているのを見つけるかでした。

この間にも、いくつかの戦いがありました。
島のインディアンたちが、子供たちの残した足跡を見つけて地下の家に夜襲を仕掛けたのです。
また、海賊たちが子供たちを毒殺しようと、毒入りケーキをたくさん作ったりしました
……しかし彼らのたくらみは、ことごとくピーターに見破られ、失敗に終わっていたのです。


子どもたちは、島で楽しく暮らしていました。
ピーターはみんなをサンゴ礁へ連れていき、一緒に遊んだり、泳いだりしました。

またサンゴ礁の上に座っている美しい人魚を見たりしました。
人魚たちはサンゴ礁の湖で泡を吹いてボールにし、綺麗な尾で互いに打ち合っています。
なんてうっとりさせる眺めでしょう!

この日、彼らがまたサンゴ礁に遊びに行くと、ピーターが美しいインディアンの女の子を見つけました。
彼女は、酋長の娘タイガー・リリーで、大きなサンゴの上に縄で捕えられていたのです。

彼女の大きな黒い瞳は、落ち着いてはいましたが、なすすべもなくぼんやりと空を仰いでいました。
ピーターは、これはきっと海賊たちの仕業だと思い、一計を案じてタイガー・リリーを救い出しました。

そして多くの味方を率いて、フック一味と激しい戦いを繰り広げました。
この激戦で、ピーター・パンはまた厳しい生死の境を一つ潜り抜けたのです!

実は、ネバーランドの可愛らしい一羽の鳥が、自分の巣を棄て、ピーターの命を救ったのです。
巣の上に乗せたピーターを潮の流れにまかせ、何とか無事に岸まで助け上げたのです。


それからというもの、子供たちとネバーランドのインディアンは友達になり、インディアンたちも地下の家を守るようになりました。
彼らは一緒にかがり火を囲み、みんなで楽しく歌ったり踊ったりしました。

こうしてまた二か月が過ぎたある晩、ウェンディは突然お父さんとお母さんを思いだしました。
お母さんはきっと、つらく悲しい気持ちで子どもたちを待っているだろうと思い、ピーターに家に帰りたいと訴えたのです。

ピーターは、内心とても別れ難く残念でしたが、ウェンディの望みをかなえると言いました。
ウェンディは、ピーターと地下の家の子どもたちに、自分の家に一緒に行こうとさそいました。
ピーター以外の子どもたちは、みんな行きたいと言いました。

しかし、幸福と不幸は、ほんの紙一重のようです。
ウェンディと子どもたちが地上に出てきた途端、海賊の頭目フックが彼らを捕まえました。
「今度こそ、どこへも逃がさないからな!」

実は、ウェンディとピーターが家に帰る相談をしていた時、地上では既に激しい戦いが始まっていたのです。
ずる賢い海賊は、戦いのルールに従わず、今回の戦いでは相手の裏をかき、先手を打って早く攻撃を始めたのです。

そうして、タイガー・リリー率いるインディアンを打ち負かし、最後に地下の家の周りを征服したのでした。

海賊の頭目は手下に命じ、子どもたちを一人ひとり縛り上げ、彼らの船に連れて行かせました。
そして自分は、こっそり地下の家にやってきたのです。