Top Page       中国語講座


【第五課 第六節】   小説読解


  「奔跑吧,梅勒斯!」  太宰治 (二)  


梅勒斯敦促着自己,决心尽快出发。眼下距离明天的日落,还有很长一段时间。

他想稍稍睡上一会儿,之后便立刻启程。
睡醒之后,或许屋外的雨就会变小一些。

哪怕只是一会儿,梅勒斯也希望能够在家里多待一下。
即便是梅勒斯这样的人,心中也依旧还残留着恋恋不舍的情怀。

他凑到沉浸在喜悦之中的新娘身旁,说道:“恭喜你。
我有些累了,所以想先暂时离开去睡会儿。

醒来之后,我就得立刻出发去镇上办事了。
即便我不在身边,你身边也有温柔善良的丈夫,所以你绝对不会感到寂寞的。

你哥哥我这辈子最憎恶的事,就是怀疑别人,其次是撒谎。
你应该也很清楚这一点的。你和你丈夫两个人,绝不能彼此有所隐瞒。

我想跟你说的话,就是这些了。
你哥哥我应该还算是个顶天立地的男子汉,你也为我感到骄傲吧。”

新娘糊里糊涂地点了点头。接着,梅勒斯拍了拍新郎的肩膀。
“其实,我这边也没什么准备的。

我家里的宝贝,也就只有这个妹妹和那些羊只。
除此之外什么也没有。现在,我就把它们全都给你吧。

还有,你要为自己成为我梅勒斯的妹夫而感到骄傲!”
新郎搓着双手,一脸不好意思。

梅勒斯冲村民们笑了笑,打了声招呼,起身离席,钻进羊圈里,睡得就如同死了一样。


醒来之后,已经是第二天的破晓时分了。
梅勒斯跳了起来,糟啦,睡过头了吗?

不,没事的,现在就立刻出发的话,还能赶上约定的时间。
无论如何,今天也要让那个国王看到他人的诚信,笑着站到十字架台上去。

梅勒斯开始从容准备。而雨,似乎也变小了一些。
收拾停当,梅勒斯甩动起双臂,就像一支离弦的箭一样,在雨中奔跑起来。

今晚,我将慷慨就义。为了赴死,我一路狂奔。
为了解救替我挡灾的朋友,我一路狂奔。

为了粉碎国王的险恶阴谋,我一路狂奔。
我必须一路狂奔。然后,我就将慷慨就义。

年轻的时候,一定要守住自己的名誉。
永别了,故乡。年轻的梅勒斯心中柔肠百转,痛苦万分。

有几次,他都险些停下脚步,只能一边大声呼喝鞭策着自己,一边向前奔去。
梅勒斯跑出村庄,横越原野,穿过树林。

当他跑到邻村的时候,雨已经停了,太阳高悬在天空中,天气也变得炎热起来。
梅勒斯用拳头拭去额上的汗水,心想自己都已经来到了这里,那么心中应该也不会再对故乡还有留恋了。

妹妹和妹夫,一定会成为一对恩爱的夫妻。
而自己,心里也应该没有什么可牵挂的了。

只要一路赶到王城就行了。何必这么着急呢?放慢些脚步吧。
梅勒斯的心中再次涌起往日那种悠闲的心境,哼起了平日喜欢的小曲。


晃晃悠悠地前进了两三里路,赶到一半的路程时,从天而降的灾难,让梅勒斯骤然停下了脚步。
快看哪,前方的那条河。昨天的暴雨,让山上的水源泛滥成灾,滔滔浊流汇聚到下游,猛地冲垮了小桥。

汩汩作响的激流,将树叶尘埃全都冲刷到桥的骨架上,激起了浪花。
梅勒斯呆呆地站在原地。

他四下张望,竭力嘶喊,可系舟却全都被浪涛卷走,而船夫也消失了踪影。
流水不断膨胀,周围仿佛随时将会化作一片汪洋。

梅勒斯蹲在河边,一边放声号哭,一边高举双手,向着天神祈愿。
“啊,快让这疯狂的流水停下吧!时间正一分一秒地流逝。

太阳也已经升到天空的正中央。
如果我不能在它落山之前赶到王城的话,我的挚友就会因我而丧命的。”

浊流就仿佛是在讪笑梅勒斯的呐喊一般,变得越发的湍急狂乱。
浪涛吞噬着浪涛,翻卷,奔流,而时间却依旧在一分一秒地流逝着。

此刻,梅勒斯已经下定决心。除了游过去之外,再没有其他办法了。


啊,上天,请看好吧。
此时此刻,我将发挥出丝毫不逊于这浊流的爱与诚信的伟大力量。

梅勒斯纵身一跃,扑通一声,与胜似百条巨蛇不停翻卷的浪涛开始了殊死搏斗。
他把全身的力量都灌注到双臂之上,完全不把翻卷着漩涡的洪流当一回事,拼命拨动着扑面而来的流水。

或许是看到了下界这个奋不顾身的人,终于勾起了上天的一丝怜悯之心。
梅勒斯总算是抵挡住了激流,抱住了对岸的树干。侥幸了。

他就像是一匹烈马,使劲甩去身上的水,之后便又立刻拔腿赶起了路。
太阳已经开始西斜,哪怕只是片刻的时光,也不能再耽误下去了。

梅勒斯喘着粗气,攀爬着山崖。就在他刚刚爬到崖顶,准备喘口气时,眼前突然跳出了一队山贼。

“站住。”
“干什么?我必须在太阳下山之前赶到王城中去。放开我。”

“想走?没那么容易。你把身上的东西全留下再走。”
“要钱没有,要命有一条。而我这条命,还要留给国王呢。”

“要的就是你这条命。”
“照这么说,你们是奉了国王之命,在这里伏击我的吧?”

山贼们二话不说,一齐高高举起了手里的棍棒。
梅勒斯扭身弯腰,飞鸟一般地扑向身边的一名山贼,劈手夺过了那人手里的棍棒。

“别怨我,我是为了正义而战。”梅勒斯猛然一击,打倒了三人。
趁着剩下的人怯懦不前时,他快步冲下了山崖。


冲下山崖之后,梅勒斯也不禁感到有些疲惫,恰在此时,午后炽热的太阳直射在身上,梅勒斯感到一阵眩晕。
不,这可不成。梅勒斯打起精神,踉踉跄跄地往前走了两三步,最终还是弯下了膝盖,再也站不起身来。

他抬头望天,懊悔地哭了起来。

“啊,游过浊流,接连打倒三名山贼,一口气突破至此的梅勒斯啊!
真正的勇者,梅勒斯啊!来到这里,居然会累到再也无法动弹,实在是让人觉得难堪。

深爱着你的友人,就是因为相信了你,所以不久之后就将送命。”
梅勒斯呵斥着自己,骂自己是个没有信用的骗子,告诉自己说,这样下去就正中国王的下怀了。

但他依旧全身瘫软,寸步难前。梅勒斯倒在了路旁的草原上。
他不光觉得身体疲倦,精神也一样遭受了重创。

“罢了,无所谓了。”一种与勇者的身份背道而驰的劣根性,盘踞在他内心的角落。
“我已经很努力了。我根本就不想爽约的。

老天作证,我已经拼尽全力,再也跑不动了。
我不是背信弃义之徒。嗯,可以的话,我愿意划开胸膛,看看里边那颗鲜红的心。

我可以让你看看我这颗仅仅依靠着爱和诚信的血液而跳动的心脏。
可是,在这最关键的时刻,我却彻底精疲力竭了。我是个不幸的人。

我一定会被人耻笑的。我的家人也会遭人耻笑。我欺骗了友人。
在中途倒下的话,那么之前所做的一切努力,就全都归结于零了。


“罢了,无所谓了。或许,这就是我的宿命。
塞利奴提乌斯,请你原谅我。你总是相信我。而我,也从没有欺骗过你。

我们真的是一对肝胆相照的朋友。疑惑的阴云,从来没有笼罩过你我的内心。
此时此刻,或许你依旧还在静静地等待着我的到来。

嗯,你应该还在等我。谢谢你,塞利奴提乌斯。谢谢你相信我。
一想起你的信任,我就觉得于心不忍。朋友之间的诚信,就是人世间最值得夸耀的至宝。

塞利奴提乌斯,我跑了一路。我丝毫没有半点欺骗你的打算。
相信我吧!我一路上匆忙向前,才终于来到了这里。

我勇渡浊流,突破山贼的重围,一口气冲下了山崖。
只有我才能做到。啊,请你别再奢望我更多了。别管我了。无所谓了。




----------------------------------------------------

【注 釈】

慷慨就义】 kāng kǎi jiù yì    従容として死に臨む
柔肠百转】 róu cháng bǎi zhuàn    心が千々に乱れる。断腸の思い。

天神】 tiān shén     ゼウス神
怯懦不前】 qiè nuò bù qián    尻込みする。

于心不忍】 yú xīn bù rěn    後ろめたくてたまらない。心に恥じるところがある。



----------------------------------------------------------

【口語訳】


「走れメロス」 (二)


メロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。
あすの日没までには、まだ十分の時が在る。

ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。
その頃には、雨も小降りになっていよう。

少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。
メロスほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。

今宵の宴のなか、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄って言った。

「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。
眼が覚めたら、すぐに市に出かける。大切な用事があるのだ。

私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。

おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。
おまえも、それは、知っているね。

亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。
おまえに言いたいのは、それだけだ。

おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」


花嫁は、夢見心地でうなずいた。
メロスは、それから花婿の肩をたたいて言った。

「仕度の無いのはお互いさまさ。私の家にも、宝といっては、妹と羊だけだ。
他には、何も無い。全部あげよう。もう一つ、メロスの弟になったことを誇ってくれ。」

花婿は揉み手して、てれていた。
メロスは笑って村人たちにも会釈して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠った。



眼が覚めたのはあくる日の薄明の頃である。
メロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。

きょうは是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せてやろう。
そうして笑って磔の台に上ってやる。

メロスは、悠々と身仕度をはじめた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。
身仕度は出来た。さて、メロスは、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。

私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。
身代りの友を救う為に走るのだ。

王のかんねい邪智を打ち破る為に走るのだ。
走らなければならぬ。そうして、私は殺される。

若いうちは、ぜひとも自分の名誉を守らねばならぬ。
さらば、ふるさと。若いメロスは、心が千々に乱れ、耐えがたかった。

幾度か、立ちどまりそうになった。
えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。

村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。
メロスは額の汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。

妹たちは、きっと佳い夫婦になるだろう。
私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。

まっすぐに王城に行き着けば、それでよいのだ。
そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気さを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出した。

ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧いた災難、メロスの足は、はたと、とまった。


見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流滔々と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、
どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵に橋桁を跳ね飛ばしていた。

彼は茫然と、立ちすくんだ。
あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟は残らず浪にさらわれて影なく、渡守りの姿も見えない。

流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっている。

メロスは川岸にうずくまり、男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願した。

「ああ、鎮めたまえ、荒れ狂う流れを!時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。
あれが沈んでしまわぬうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのです。」

濁流は、メロスの叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。

浪は浪を呑み、捲き、煽り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。
今はメロスも覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、神々も照覧あれ!

濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。
メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。

満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻きわけ掻きわけ、
めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐憫を垂れてくれた。

押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。
ありがたい。メロスは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。

一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。

ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。

「待て。」

「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。放せ。」

「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」

「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだ。」

「その、いのちが欲しいのだ。」

「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」

山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒を振り挙げた。

メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。

一気に峠を駈け降りたが、さすがに疲労し、折から午後の灼熱の太陽がまともに、かっと照って来て、
メロスは幾度となく眩暈を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。

立ち上る事が出来ぬのだ。
天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。


ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天、ここまで突破して来たメロスよ。
真の勇者、メロスよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。

愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。

おまえは、稀代の不信の人間、まさしく王の思う壺だぞ、
と自分を叱ってみるのだが、全身萎えて、もはや一歩も前進かなわぬ。

路傍の草原にごろりと寝ころがった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。
もう、どうでもいいという、勇者に不似合いなふてくされた根性が、心の隅に巣喰った。

私は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんも無かった。
神も照覧、私は精一ぱいに努めて来たのだ。動けなくなるまで走って来たのだ。

私は不信の徒では無い。ああ、できる事なら私の胸をたち割って、真紅の心臓をお目に掛けたい。

愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたい。
けれども私は、この大事な時に、精も根も尽きたのだ。

私は、よくよく不幸な男だ。私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。
私は友を欺いた。中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。

ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定った運命なのかも知れない。

セリヌンティウスよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも私を信じた。
私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。

いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。

いまだって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。
ありがとう、セリヌンティウス。よくも私を信じてくれた。

それを思えば、たまらない。友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。

セリヌンティウス、私は走ったのだ。
君を欺くつもりは、みじんも無かった。信じてくれ!

私は急ぎに急いでここまで来たのだ。濁流を突破した。
山賊の囲みからも、するりと抜けて一気に峠を駈け降りて来たのだ。

私だから、出来たのだよ。ああ、この上、私に望み給うな。
どうでも、いいのだ。放って置いてくれ。