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【第五課 第三節】   小説読解


  「杯子」  森鸥外      


沿着温泉旅馆,往鼓浪瀑布去的路上,清冽的泉水,汩汩不绝。

水在泉口喷涌而出,成一水柱,余下的四散流溅。
碧绿爽目的青苔,覆盖在泉口。这是夏日的清晨。

泉水四周,树木环绕。枝头上的雾霭,尚未散尽,正在飘零开来。
山间溪水淙淙,好似万斛珠玉奔溅滚落。

溪边山路上,从温泉旅馆方向,走来几个人。

一阵欢快的说笑声愈来愈近。那声音像一群小鸟在啁啾。
准是一群孩子,而且是女孩子。

“快来呀! 你总是落在后面,快点吧。”
“等等我,石子儿滑来蹭去的,多难走呀!”

先后到达的姑娘,一色儿用大红的宽丝带,扎起刚洗过的头发,
看上去好似一群蝴蝶在翩翩飞舞。

就连身上的和服也都呈偏蓝色调,袖子上下翻飞。
脚上穿的也全一样,都是红绊草履。

「我第一!」
「哟,真狡猾!」

大家争先恐后地聚到泉边,一共七个人。

年纪看上去都在十一、二岁;若说是姐妹,年龄未免太相近了。
个个都很美,娇憨艳丽。该是朋友吧?

将这七颗珊瑚珠穿在一起的,是什么样的线呢?
把她们带到温泉旅馆的,又是谁呢?

晨曦自漂浮的白云间露出,穿过树梢,宛若一道道光柱,洒在泉边。
通红的发带,仿佛燃起的火。

一个姑娘把含在嘴里的红酸浆果吹得圆鼓鼓的,然后吐出来,扔进泉水中央。
仍在汩汩涌出的水柱上。

浆果在水中打了两三个旋,便流出泉口,漂落下去。

「哎哟,一下子就漂下去啦!,我还以为会怎么样呢,正等着瞧哪。」
「当然要漂下去啦。」
「事先你就知道会漂下去的,不是吗?」
「知道呀。」
「净骗人!」

佯作打人的样子,蓝和服的袖口翻动起来。

「快喝水吧!」
「是呀,本来就是来喝水的。」
「都忘了?」
「可不是。」
「呀,真讨厌。」

一双双小手伸进怀里,掏出杯子。
七束青白的光从手中溢出。一色的银杯;大大的白银杯子。

阳光普照,七只杯子愈发耀眼,宛若七条银蛇,绕着泉水飞腾。

银杯子凑在一起,只只都刻着两字。是「自然」二字。

以奇妙的字体书写而成。这样写,以何为据呢? 抑或是一种独创?
大家依次舀起泉水来喝。

抿着红红的嘴唇,鼓起粉红的脸蛋儿喝着。
树林里,此起彼伏,传来长长的鸣叫声。那是知了在初试歌喉。

倘若白云散去,艳阳高照,也许会变成青山摇动之声吧。

此时,一个女孩儿沿着山道而来,站在七个姑娘的身后。
是第八个姑娘。

个子稍高于这七个姑娘,有十四、五岁的光景。
金黄的头发,系着黑色缎带。

琥珀色的脸上,那双矢车菊一样的蓝眼睛,在审视着。
以永恒的惊愕,审视着大自然。

只有嘴唇,隐约透出红色。穿着一身镶着黑边的灰西服。
是生在东方的西方人? 还是混血儿?

第八个姑娘从衣袋里,掏出杯子。一只很小的杯子。
是哪儿的瓷器呢? 那颜色如同火山口流出的岩浆冷却后的色调。

七个姑娘已喝完水。杯子侵入水里,泛起一圈圈涟漪,渐次消逝。
泉水面因搅动而荡漾,随即平复,了无痕迹。

第八个姑娘从蓝和服袖子间,挤进了泉水旁。

七个姑娘这时才意识到这是和平的破坏者。
之后,看到那双琥珀色的手,持着一只黑黢黢的小杯子。
真出人意料。

七张浓艳的红唇张开着,却未说话。知了唧唧叫着。
良久,只有蝉鸣。

一个姑娘好不容易才开口问道:「你也喝?」
怀疑中略带嗔怪。

第八个姑娘默然点点头。

另一个女孩说道:「你的杯子好怪,让我瞧瞧。」
诧异的声音中透着侮慢的意味。

第八个姑娘默默地递出那只熔岩色的杯子。
小杯子离开了那只琥珀色的、满是筋骨的手,传向一双双粉嫩圆润的手上。

「哎呀,这颜色太暗啦。」
「这也算瓷器吗?」

「会不会是石头呀?」
「倒像是从火场灰烬里扒出来的。」

「从墓穴里挖出来的吧?」
「坟里挖出来,那倒好了。」

从七个喉咙里发出银铃般的笑声。
第八个姑娘两臂自然下垂,矢车菊样的眼睛只是凝神天外。

一个姑娘又这样说道:「这也忒小啦。」
另一个说:「可不是。这种杯子哪能喝水?」

另一个讲:「把我的借你用用吧。」那声音满含同情。

于是,那个镶着「自然」两字的银光闪烁的大杯子,递到了第八个姑娘面前。

直到此时,第八个姑娘张开一直紧闭的双唇。语气低沉却坚定地说。

「我的杯子虽不大,但我用自己的杯子喝。」

七个姑娘眨着可爱的黑眼睛,面面相觑。语言不通。

第八个姑娘两臂自然下垂。语言不通也不要紧。
第八个姑娘的态度,已表达了她的意思,绝不会有丝毫误解之处。

那个姑娘收回了递过去的杯子。
收回了那刻着「自然」二字、银光熠熠的大杯子。

这时,一个女孩把黑黢黢的杯子还了回来。
还回来了的那只小杯子,黑黢黢的,宛若火山熔岩冷却后的色调。

第八个姑娘慢慢儿吮啜几滴泉水,润了润淡淡的红唇。




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【注 釈】


杯子】 bēi zi     「杯」 (さかずき)
森鴎外作。1910年 (明治43年) 「中央公論」 発表。
ある夏の日の朝、温泉宿の近くに湧き出る清らかな泉でのとある光景を綴った小作品。

森鸥外】 sēn ōu wài  「森鴎外」 (もりおうがい) (1862~1922)
小説家。名は林太郎。島根県生れ。東大医科出身。軍医となり、ヨーロッパ留学。
傍ら西欧文学の紹介・翻訳、創作・批評を行い、明治文壇の重鎮。
主な著作は 「舞姫」 「雁」 「阿部一族」 「高瀬舟」、翻訳は 「即興詩人」 「ファウスト」 など。


森鸥外(1862-1922)日本小说家、评论家、翻译家,日本近代文学奠基人之一。本名森林太郎。
生于藩主 侍医家庭,从小受国学、汉学与西学教育,后赴德国学医,深受欧洲文学与叔本华、哈特曼的唯心主义哲学影响。
回国后以启蒙作家姿态出现,努力介绍、翻译西方文学与文艺理论,创办刊物,开展文艺批评,致力于文学改革。
1890年以个人经历为素材写出处女作小说「舞女」。代表作长篇小说「雁」(1911~1913)写一贫苦少女沦为高利贷者的情妇,
渴望摆脱屈辱处境却终未成功的悲剧。小说心理刻画真切、细腻。晚年思想益趋消沉,兴趣转向历史小说与史料考证。
其作品深刻反映了明治时期受西方影响的上层知识分子的思想矛盾。



鼓浪瀑布】 gǔ làng pù bù   鼓が滝 (つづみがたき)。兵庫県六甲山中の滝。
名称は、水音がこだまし、鼓を打つ音に聞こえたことに由来する。
日本兵库县六甲山中的瀑布。走入六甲山麓的树林中,就能看到8米高的直瀑,流水声如同震耳的鼓声,瀑布的名字也就从此而来。

酸浆果】 suān jiāng guǒ  ほおずき。ナス科の植物。果実は種子を除いて空にし、口に入れて吹き鳴らすことができる。
又名:灯笼果,茄科多年生草本植物。酸浆果以其果实之味酸而命名。可做水果生食或煮熟食用。

永恒的惊愕】 yǒng héng de jīng è  底知れぬ驚愕の色




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【口語訳】


「杯」 (さかずき)     森鴎外



温泉宿から鼓が滝(つづみがたき)に向かう道には、清冽な水がこんこんと湧きでている。

噴き出した泉の水は、一本の水の柱となり、あまった水は四方に流れ落ちていた。
青々とした苔(こけ)が、泉の口を覆っている。夏の朝であった。

泉の周囲は、木々に囲まれ、枝にかかったもやが、まだちぎれちぎれになって残っている。
谷川は、たくさんの玉をころがすように音をたてて流れていた。

温泉宿のほうから谷川のほとりに沿って数人の人が登ってくる。

にぎやかな笑い声が近づいてくる。小鳥の群れがさえずるような声だった。
みな子供に違いない。それも女の子たちだ。

「早くいらっしゃいよ。いつでもあなたは遅れるのね。早くよ!」
「待ってちょうだい。あちこち石だらけで、歩きにくいんですもの!」

相前後してやって来た娘たちは、みな洗い髪を深紅の幅広のリボンで結んでいる。
リボンはひらひらと蝶が群れて飛ぶように見えた。

これもおそろいの藍色の浴衣の袖がひるがえる。
足に履(は)いているのも、おそろいの赤い鼻緒(はなお)の草履である。

「わたしいちばんよ!」
「あらっ! ずるいわ!」

先を争って泉にやって来たのは、全部で七人。
年はみな十一、二歳くらいに見える。姉妹にしてはあまりに粒がそろっている。

みな美しく、ややなまめかしい。きっと友だちなのであろう。

七つの珊瑚(さんご)の珠(たま)の如き娘たちは、いかなる素生のものなのか。
どこかの誰かが、温泉宿に連れて来ているのだろうか。

浮かぶ白雲の間から朝の光が洩れ、木々の梢を通って、一筋の光の柱のように泉のほとりにこぼれていた。
真っ赤なリボンが、燃えているように見える。


一人の娘が口に含んだホオズキの実をぷっくりと膨らませて吐き出し、泉の真ん中に投げ込んだ。
こんこんと湧き出る水の柱の上に投げた。

ホオズキは水の上で二、三度くるくると廻って、泉の口から流れ落ちていった。

「あら、あっという間に落ちちゃったわ。どうなるかと思って待ってたのに」
「もちろん、落っこちるわよ」
「落っこちるって、前からわかっていたのね」
「わかっていたわ」
「噓ばっかり」

ぶつ真似をする。藍染めのゆかたのそでがひるがえる。

「早く水を飲みましょう」
「そうそう、飲みに来たのだったわ」
「忘れていたの」
「ええ」
「まあ、いやだ」

手に手にふところをさぐって杯(さかずき)を取り出した。

青白い光が七本の手から溢れ出す。みな銀の杯だった。大きな銀の杯である。
陽射しに照らされた七つの杯はいっそう輝き、まるで七匹の銀の蛇のように泉のまわりをめぐって走る。

寄せ合った銀の杯は、どれにもふたつの文字がきざんである。それは「自然」の二字である。
奇妙な書体で書かれている。何かよりどころがあって書いたものか。

それとも書いた人が考えついた文字なのか。

かわるがわる泉の水をくんで飲む。
濃い紅のくちびるをとがらせ、桃色のほおをふくらませて飲んでいる。

林の中で、あちらこちらから、長い鳴き声が聞こえてくる。
きっと蝉(せみ)が歌の練習をしているのだろう。

白い雲が散り、昼の日盛りになれば、山をゆするほどの声になりそうだ。


この時ただ一人坂道を登って来て、七人の娘の背後に立った娘がいた。
第八の娘である。

背は七人の娘より高い。十四、五になっているのであろう。
黄金色の髪を黒いリボンで結んでいる。

琥珀(こはく)色の顔から、ヤグルマソウのような青い眼がのぞいている。
底知れぬ驚愕の眼差しで、この世界を見つめているような気がする。

くちびるだけがほのかに赤い。黒のへりをつけた、ねずみ色の洋服を着ている。
東洋で生れた西洋人の子か。それとも西洋人と日本人とのあいだに生まれた子か。

第八の娘はポケットから自分の杯を出した。小さい杯だ。
どこの陶器か。噴火口から流れ出た溶岩の冷(さ)めたような色をしている。

七人の娘はすでに水を飲んでしまった。

杯を水につけたあとのさざ波の輪が、次第に消えていった。
ゆらゆら揺れていた泉の面(おもて)は、すでにおさまって跡形もない。

第八の娘は、藍染めのゆかたを着た娘たちの、そでとそでのあいだをわけて、泉のそばに歩み寄った。

七人の娘は、この時はじめて、自分たちとは違う世界の人間がいるのを知った。
そしてその琥珀色の手に持っている、黒ずんだ、小さい杯を見た。

思いがけない事だった。七つの濃い紅のくちびるは開いたまま言葉がない。
蝉はじいじいと鳴いている。やや久しい間、ただ蝉の声がするばかりであった。


娘の一人がようやく言った。「あなたも飲むの?」
不審げな声は、やや非難の色を帯びていた。

第八の娘は黙ってうなずいた。

もう一人の娘がこう言った。「あんたの杯は妙ね。ちょっと拝見」
怪訝そうな声には、侮(あな)どりの響きがこもっていた。

第八の娘は黙って、その溶岩色をした杯を出した。
小さい杯は、琥珀色のすじばった手を離れて、白く柔らかみのある手に渡った。

「まあ、変にくすんだ色だこと」
「これでも瀬戸物なのかしら」

「石じゃあないの」
「火事場の灰の中から拾って来たような物なのね」

「墓の中から掘り出したようだわ」
「墓の中とはよくいったものね」

七つののどから銀の鈴を振るような笑い声が出た。
第八の娘は両ひじを自然の重みでたらし、ヤグルマソウのような目は、ただじいっと空中を見ている。

一人の娘がまたこういった。「ばかに小さいのね」

もう一人がいった。「そうね。こんな物じゃあ飲めはしないわ」

今一人がいった。「あたしのを貸そうかしら」
あわれむような声だった。

そして「自然」という文字で銀色に光る大きな杯が、八人目の娘の前に差し出された。

そのとき、第八の娘の、今まで結んでいたくちびるが、はじめて開かれた。
低い口調で、しかしきっぱりと言った。

「わたくしの杯は大きくはありません。それでもわたくしは、わたくしの杯でいただきます」

七人の娘は可憐な黒い瞳(ひとみ)で顔を見あわせた。
言葉が通じないのである。

第八の娘の両ひじは自然の重みでたれている。だが言葉は通じなくてもいい。
第八の娘の態度はその意志をあらわして、誤解する余地がない。

一人の娘は、差し出した銀の杯を引っ込めた。「自然」と刻まれた銀色に輝く大きな杯を回収した。
その時、もう一人の娘は黒い杯を返した。


戻ってきた小さな杯は黒ずんで、まるで火山の溶岩が冷えたような色合いだった。
第八の娘はしずかに数滴の泉をくんで、ほのかに赤いくちびるをうるおした。