小説モーニング娘。 第十二章「恋愛レボリューション21」    

「私さ、ごっちんにだけは負けたくないんだよね。ううん、娘。全員がライバルだけどさ。
私、ごっちんみたいに才能ないから、頑張るしかないんだ。」
「えーじゃあ私はどうなのよ」
「勿論、圭ちゃんにも負けたくないよ」
「単なる負けず嫌いなだけじゃん」
ははは、と紗耶香は悲しそうに笑った。
「ね、紗耶香、ホントに、マジでさ、娘。やめようと思ってるんじゃ・・・。」
「ちがうよぉ、そんなワケないじゃん。でもなんで急にそんなこと聞いたりするの・・・。」
紗耶香は、いぶかしげに私を見た。

モーニング娘。の歴史は一種のシンデレラ物語であった。
それは平凡な女の子たちがトップアイドルに上り詰めていくプロセスを、日本全国の人にテレビを通して見せるという一連のストーリーとなっていた。
そして、そのストーリーの主役は今や後藤真希であった。
後藤を中心に据えた「LOVEマシーン」がミリオンヒット。
次の「恋のダンスサイト」やプッチの「ちょこっとLOVE」が相次いでミリオンを記録、すでに後藤真希は娘。の中でスーパーアイドルのポジションを占めていた。

市井「はじめてオリコン1位になったときの”1位がすべてじゃない”っていう明日香のひと言。今になって振り返ってみると、すごくよくわかるし、明日香は自分たちのこと、そこまで客観的に見ていたんですよ・・・。」

そう、過酷なオーディションを勝ち抜いた娘。たちは、そもそも「ロックヴォーカリスト」希望だったはず。
ソロ活動で観客を魅了する歌手を夢見ていたのではなかろうか?
少なくともオーディションで優勝した平家みちよは、セールス的には苦戦しているが、「自分の歌いたいもの」を歌えるという点では充実していたのではないだろうか。
だからこそ、そのギャップに気づいた結果、メンバーの二人が「脱退」という道を選んだのかもしれない。

2000年4月27日、来月21日に武道館で行われるコンサート・ツアーの出演を最後に市井紗耶香がモーニング娘。を脱退することを表明した。
市井は「しばらく休養し、将来的にはソロでデビューしたい」と脱退の理由を説明したという。