小説モーニング娘。 第十三章 「ザ ☆ ピース!」        Top Page
   

2000年5月21日、日本武道館ライブ最終日。市井紗耶香ファイナルライブ。

突然、館内の照明が落ち、レーザー光線が放たれる。
激しいギターのノイズが響きだし、ステージ上を幾筋ものビームが走っていく。

一曲目は新曲「ハッピーサマーウェディング」
鳴り響く軽快なイントロに、騒然とする場内は一瞬にして興奮の坩堝と化す。

センターステージにインド風の衣装を纏った娘。たちが踊りまくる。
360度全方位から降り注がれる歓声は互いに反響しあい、独特の屋内空間が生み出される。

色々な物が入り交じる中に、娘。たちが1人1人、ステージ上で光を浴びる。


ライブ中盤、「プッチモニ」登場。水色1色パーカー。市井紗耶香が前に出て挨拶。

「今日5月21日、武道館にて、モーニング娘。プッチモニを卒業します。皆さんのことは決して忘れません。
私の気持ちを受けとって下さい。ちょこっとLOVE、一緒に歌って!」

3人の「ちょこっとLOVE」は今日が最後。会場の盛り上がりは最高潮に達し始める。「ありがとうございましたー」

「紗耶香!紗耶香!」の大コールの中、メンバー1人1人から花束贈呈。
メンバーがそれぞれ市井に花束を渡しながら、お別れの挨拶をする中、後藤1人だけ言葉を発することもできず、ただただ泣き続けていた。

紗耶香は最後まで涙を見せなかった。「プッチモニ」以降急成長を遂げた今の紗耶香に涙は似合わないかもしれない。


デビュー以来、武道館公演が一つの目標だった。その夢をかなえて、市井紗耶香卒業。
この日は、4月に加わった石川梨華、吉澤ひとみ、辻希美、加護亜依の新メンバー4人もお披露目され、11人では最初で最後の公演となった。


「LOVEマシーン」の大ブレークで一躍、世紀末最大の人気アイドルに成長した「モーニング娘。」。
2000年に突入してからも、彼女たちのパワーはとどまるところを知らない。TV番組、CMにも引っ張りだこ。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの娘。たち。

春に新メンバー4人が加入したのもつかのま、「プッチモニ」の活動を通じて、モーニング娘。の名前を普及するのに一役買った市井紗耶香が卒業。
つねに新陳代謝を繰り返し、新展開に次ぐ新展開を見せてくれる彼女たちの姿は、これからも目が離せないだろう。


小説 モーニング娘。第一部(終)