小説モーニング娘。 第十五章 「そうだ!We're ALIVE」        Top Page
   

2001年春、モーニング娘。は10人。
ここにいるみんなで作った思い出。もちろん明日香も彩っぺも…そして市井紗耶香も。

モーニング娘。の歩み、モーニング娘。の思い出。
すべてが結びついて今ここにいる10人のモーニング娘。を作っている。

今年の春、中澤裕子は一生忘れないと思う。他の記憶が薄れていっても、今年の春は絶対に忘れない。
モーニング娘。のみんなのために、そして中澤裕子、彼女自身のために…。


2001年3月から展開してきた全国ツアー「ライブ レボリューション 21」最終日をもって
最年長メンバーの中澤裕子が卒業してソロに転身することとなった。

中澤は2時間を超すステージ後、完全燃焼しきったかのようにあいさつに立った。「私の愛したモーニング娘。をこれからもよろしく」
去り行く彼女から残る者たちへ言葉を贈る。残される辛さ、寂しさを誰よりも知っている彼女だから。

他のメンバー9人が舞台裏で見守る中、1人でマイクを握り締めて「サンキュー!愛してるよ!」「バイバイ」と連呼。
何度も大きく手を振りながら、あふれる涙を必死でこらえた。

そしてついに彼女はステージを降りた。2001年4月15日、ツアー最終日、大阪城ホールにて、中澤裕子、卒業。


モーニング娘。の中澤裕子。そのときその瞬間まで、彼女は「モーニング娘。」であり続けた。
デビューしてから3年あまり、結成以来のオリメンとして、モーニング娘。のリーダーとして多忙な活動を続けてきた。

そして今、彼女はモーニング娘。の中澤裕子ではなく、ひとりきりの中澤裕子になった。
しかし彼女の心のどこかには常にモーニング娘。の自分がいる。

デビュー以来の歳月の中で生まれた深い絆も、そこで彼女が手に入れた誇りも、一生消えることはないだろう。