小説モーニング娘。 第十九章 「AS FOR ONE DAY」 Top Page
ハロプロ改編の発表から一夜明けた8月1日、都内のホテルで2人の卒業会見が行われた。
後藤「えっとぉ…ソロ活動は自分自身が希望してたもので、1年ほど前ぐらいから、話を徐々に進めてました。
それとこれからは後藤にしかできないものにチャレンジして頑張っていきたいと思うのでよろしくお願いします。」
保田「私も1年ほど前ぐらいからつんくさんやスタッフの方々に相談にのっていただきました。
昨年ミュージカルを経験して、すごくお芝居が面白いと感じたので、女優にも挑戦したいと思っています。」
モーニング娘。の物語は、当然のことながらモーニング娘。だけで成り立っている訳ではない。
大勢のスタッフや裏方とよばれる人達との共同作業によって筋書きが形成され、ファンの前にドラマが展開されるのである。
したがってメンバー1人の卒業に関しても、モーニング娘。だけの都合や、まして、個人的な事情、感情だけを考える訳にはいかない。
しかし、ファンの目にはモーニング娘。があくまでも主役であって、娘。たち自らが考え、自らが決断し、自らが演じるという筋立てを用意する必要がある。
卒業に関しても、ソロ活動を自らが希望し、つんくやスタッフに相談し、自らが決断して、自分の道を歩み出すというストーリーが必要なのである。
この後藤と保田の電撃卒業発表はマスコミを通じて、当時様々に取りざたされたが、その後、実際に2人の卒業後の活動を見た限りでは
(後藤のソロとしての華々しい活躍と、保田の新たな女優業への挑戦)この時点におけるつんくや首脳陣の判断は正しかったといえよう。
ユニット改編の問題について一言触れておく。モーニング娘。はメンバーの追加と脱退を繰り返し、まさに成長するグループなのである。
普通、アイドルというのはそれが個人であれ、グループであれ、時間とともに色あせていくものだ。
それは、実年齢が上がるという意味以外でも新鮮味という意味でもそうである。
しかし、これを打開するために、つんくやスタッフが考えた戦略が、成長するアイドルグループであったのだ。
メンバーの改編により、グループ全体がつねに新しくバージョンアップしてゆく過程こそが最重要なのであり、その構成メンバーは二の次という考え方なのである。