小説モーニング娘。 第二十一章 「Go Girl〜恋のヴィクトリー〜」    

2002年度紅白歌合戦終了後、藤本美貴は事務所内の会議室で待機していた。
やがて、つんくとカメラマンが入って来た。

「紅白出場おめでとう。どうだった?初出場でトップバッターの感想は?」
「ありがとうございます。初めての出場でドキドキしていたんですけど、曲がはじまるとワーッという感じで一気に歌い終えちゃったっていう感じですね。」
「そうかなあ、テレビで見てたけど、けっこう堂々とした歌いっぷりで、藤本はあんがい大物じゃないんかと思ったりして...。」

「そんなことないですぅ。でもモーニング娘。の皆さんにバックで踊っていただけたので感激のあまり盛り上がっちゃいましたね。」
「うん、4期、5期のメンバーが藤本のバックダンサーやりたいって言うんで、あれは実は藤本のモーニング娘。加入の歓迎会の意味でもあるんだね...。」

「えっー...じゃあやっぱり...」
「そのやっぱりなんだよねー。担当のマネージャーからあらかじめ話があったと思うけど、この春くらいからモーニング娘。のメンバーになってもらおうかなと思って...。」
「えっー、そんなぁー、じゃあソロではなくなるということですか?」

藤本の娘。加入はすでに半年以上前からハロプロ改編の一環としてシナリオに組み込まれていたという。
当面は後藤、保田の抜けたアルト(中低音部)パートの補強、そして将来的には安倍のメインボーカルの補充が主目的であった。
さらにいままでのソロ活動は藤本美貴というブランド作りの準備期間であったこと。今回の紅白出場によって藤本の名前が全国区となり、娘。入りの条件が整ったこと。また今までどおりソロ歌手としての活動も継続すること..等がつんくから説明された。

「まぁ、以上のようなことなんだけど..娘。加入を承諾してくれるよね?」
つんくの口調は穏やかだったが、それは明らかに有無を言わさない響きがあった。
藤本美貴は無言で頷き、そのままうつむいた。