小説モーニング娘。 第二十二章 「愛あらば IT'S ALL RIGHT」    

「モーニング娘。を気にする余裕はなかった。自分のことだけで精いっぱいだったから。
これからはメンバーとしてモーニング娘。に入った美貴を、しっかり見守ってください」
4月29日、故郷、北海道のZepp Sapporoで迎えた初ソロツアーのファイナル公演。藤本美貴は涙ながらにあいさつした。
それは気持ちを「モー娘。」モードへと切り替える言葉でもあった。

「ミキティ」の愛称で知られる藤本は、2000年春の4期追加メンバーオーディションに応募したが、最終候補にも残れず落選した。
つんくは、彼女の自我の強さを嫌ったのかも知れない。
つんくの思い描くモーニング娘。のイメージに合わない強烈な違和感が、確かにあの当時15歳の藤本美貴にはあった。

その後、再度事務所側から芸能界入りを打診された藤本は、一年後改めてスターを夢見て北海道から上京。
2002年3月に、松浦亜弥に続くハロプロのソロアーティストとして念願の歌手デビュー。

その明るくさっぱりしたキャラクターと愛らしい笑顔が人気を呼び、デビューイヤーにして「紅白歌合戦」初出場を果たすまでに至る。
そして2003年1月、オーディションから3年を経て「モーニング娘。に加入」という前代未聞の急展開により一躍脚光を浴びる事となった。

藤本美貴のモーニング娘。におけるひとつの役割は「チームの活性化」であった。
彼女の存在はグループ内に「緊張感」をもたらす。

実力の面からも抜群の歌唱力を持つ藤本美貴はキャラクター的にもアクが強く、勝気な性格として、メンバー内からも一目置かれる。
それを見越したつんくはメンバーに刺激を与えることで危機意識をあおり、切磋琢磨する環境を作ろうとしたのかも知れない。

(事実、モーニング娘。20thシングル「Go Giri!恋のヴィクトリー」、21stシングル「愛あらばIT'S ALL RIGHT」では、藤本は後方の中間位置であるが、実質的にセンターをキープ。まさに隠れたエースとして活躍している)

2003年1月19日、「LOVEオーディション2002」最終選考により、第6期メンバーとして、亀井絵里、田中れいな、道重さゆみの3名の加入が発表された。
先に加入が決まっていた藤本美貴も合わせ、モー娘。は97年9月の結成以来最多人数の16人となった。

そして、保田圭の卒業公演となる5月5日のさいたまスーパーアリーナにて「最初で最後の16人のステージ」が幕を開けることとなる。