小説モーニング娘。 第二十五章 「涙が止まらない放課後」    

安倍の卒業発表から3日後の7月30日、モーニング娘。通算19枚目の、また6期メンバー合流後初となるシングル「シャボン玉」が発売された。

新メンバー田中れいなの「愛する人はあなただけ/誰にも邪魔させない」というフレーズで歌が始まり、メンバー全員がヘッドシェイクのような踊りをし、巻き舌全開の男っぽいスタイルを前面に押し出した激しい失恋ソングである。
過去のモーニング娘。になかったような曲の構成と歌詞に、新たな血を導入し、新たな波に立ち向かおうとするモーニング娘。とつんくの意欲が感じられる作品となった。

また9月18日、モーニング娘。「さくら組」「おとめ組」がそれぞれデビューシングルを発売。
分割ユニットがいよいよ本格的な活動を開始した。
この「さくら組」「おとめ組」の分割によって、デビュー直後にもかかわらず露出がかってないほど激増したのが6期メンバーであった。
これにより従来、集団という枠に縛られるが為に、活かされなかった新メンバーの個性・魅力を抽出する機会も頻繁に訪れることになる。

つまり、ユニット活動をすることによって、メンバーは、「自分で考え、自分でやりぬく」ことを経験させられるのである。
そしてこのような経験が、メンバー一人一人の成長につながり、ひいては「本体」そのもののパワーアップにもつながってくるのである。

また、これに先立つ6月10日、安倍の念願のソロデビューが決定した。
歴代メンバーの中で、ユニットにも唯一所属してこなかった。
このことが、安倍を「モーニング娘。の象徴」とされるゆえんを一層際立たせていた。
以前、安倍は「ユニットを組むためにオーディションを受けたわけではなかったし、いつかソロデビューできると思って今まで頑張ってきた」と語っていた。
それだけに今回のソロデビューは、安倍にとって喜びもひとしおであった。

デビューシングルとなる「22歳の私」は映画の主題歌にも予定され、また安倍自身の22歳の誕生日に発売されると言うことで話題性はあったが、この時点ではモーニング娘。に所属しながらの別ユニットとしての活動と言う意味合いもあった。

しかし、このソロデビュー決定は、同時に「モーニング娘。のマザーシップ」安倍なつみ卒業へのプロローグとなった。