小説モーニング娘。 第二十七章 「松浦亜弥 〜小さい頃のアルバム〜」    

春コン終了後のオフ。久しぶりに姫路の実家に戻って、ゆっくり休むことが出来た。
自分の部屋の掃除の途中、小さい頃のアルバムを見つけた。 思い出がイッパイ。
懐かしい気持ちになった。

オルゴール付の、赤いビロード地の、白鳥のついたアルバム。
3人姉妹の小さい頃の白黒写真。
お父さんとの写真。

「あたし、歌手になりたい」って言った。
でもお父さんは「高校、卒業してからにしなさい」っておっしゃった。

その日の夜、寝床でも落ち着かない気持ちを紛らわそうと飲物を探しに一階の居間に降りていった。
灯かりがついていた。
隙間からそっと覗くと、そこにはあたしの小さい頃のアルバムを見ているお父さんの姿があった。

斜め後ろからなので顔は見れなかったが、涙がお父さんの顎からポロポロ落ちているのが分かった。
あたしはたまらず、そっと部屋に戻って泣きながらベッドに潜った。

翌朝、「まあ、いい経験になるんじゃないか?やってみれば?」と上京を許してくれたお父さん。

小さな頃抱いていた大きな夢…。歌手になる夢。
あたしの夢が、叶うんだよね。

うれしかった。思い出して涙があふれてきた。
わざと力をグイッと入れて涙を拭き、ご飯を食べに居間に行く。
いや、今日はあたしがご飯を作ろう。

あたしをここまで育ててくれたお父さんとお母さんに感謝を込めて、ね。