小説モーニング娘。 第四十章 「時間の国のラブリー」 Top Page
「愛ちゃん! 早くしないと遅れるわよ!」
リビングルームから母親の声が響いた。
高橋愛は、東京都内の2LDKのマンションで母親と妹の3人で暮らしていた。
モーニング娘。となった以上、東京に住まなければならないものの、まだ中学生の女の子を一人暮らしさせる訳にもいかず、
母親と妹の絵里が、故郷の福井からやって来て、一緒に生活していたのだった。
朝食のテーブルに着いた高橋愛に母親が言った。
母 「今日は愛ちゃんの誕生日だったわね。学校でお誕生パーティーがあるんでしょう?」
母親の言葉に高橋愛はキョトンとしてしまった。
愛 「お母さん、なに言ってんの? 私の誕生日は昨日だったじゃない。」
母 「なに言ってんのは愛ちゃんの方よ、あなたの誕生日は今日9月14日でしょう。」
愛 「9月14日?」
母 「そうよ、明日はいよいよ誕生パーテイーだから、わくわくしちゃうわって、
昨夜、あなたが自分で言ってたじゃないの。」
高橋愛は訳が分からなくなってきた。
自分は、昨日、クラス主催の誕生パーティーで、同級生の前で歌ったり、ゲームをやったりにぎやかに過ごしたはずだ。
そして一夜明けた今日は、間違いなく9月15日だ。
高橋愛は狐につままれたような気持ちで、テレビのスイッチを押した。
お早うございます、9月14日、火曜日、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
それでは、今までに入っております、主なニュースの項目からお伝えします・・・。
テレビから流れてきたアナウンサーの声に、高橋愛は、箸と茶碗を持ったまま固まってしまった。
そんな・・・