小説モーニング娘。 第五章「Memory 青春の光」    

初めて先輩メンバーと顔を合わせたとき、さすが芸能人だって思った。
だけど、自分がそこに入った時、自分の中の不安感に気がついた。

プロデューサーつんくの指示にその場その場で答える先輩メンバー。
頑張らなくてはという自分と、ついていけるかどうか自信のないもうひとりの自分がいた…(保田 圭)

5人からスタートしたモーニング娘。
結成から半年、メジャーデビューから1ヶ月半後の3月12日、メンバーにとって予想外な出来事が起きた。
新メンバー3名(保田圭、市井紗耶香、矢口真里)がモーニング娘。に追加され、今後は8人で活動する事になったのである。

少なくとも、この時期の初代メンバー5人としては、デビューまでの数々の難関、試練を乗り越えて来た強い絆があり、今頃になって見知らぬ3人が入る事には、当然強い不快感があった。

中澤「現在の5人では物足りないから新メンバーを募集したのかも...。」
安倍「新しいメンバーが来ると、なんか落ち着かない感じ...。」
しかし、モーニング娘。のパワーが5人では足りないから追加メンバーを募集したわけではなかった。

「特定のメンバーで固定してしまうより、次々とオーディションで可能性のある新人を獲得して新戦力にしたほうがよい。それによってお互いに励みになり成長できる。またファンの注目も集めることができる。」
スター作りに着目したつんくのこういった考え方が、その後の「モーニング娘。」追加メンバー募集の基本コンセプトとして定着したのである。

「モーニング娘。」は オーディション過程がストーリーの主要な部分を占めている。
オーディションは、参加者や主催側双方に長所が多い制度である。
参加者は、他人の前に立たなければならない。
その中で、歌や踊り、演技、自分のすべての才能をパフォーマンスという形で観客にアピールしなければならない。
オーディション自体が一つの訓練であり、刺激にもなって選抜過程で短時間に多くのことを学ぶようになる。

3〜5名ほどの募集に5000人が集まる途方もない競争率のオーディションに勝ち残るほどの少女であれば相当のスター性を有しているといえよう。
お金だけかかって能力も知れている既存のアイドルを用いるより、広報効果まで加わるオーディションを通じて新人を選ぶ方がよいという考え方である。