小説モーニング娘。 第五章「Memory 青春の光」       Top Page
   

1月28日発売のデビュー曲 「モーニングコーヒー」 がトップ10入りし、その風変わりなユニット名
と相俟って、世間的にも若干注目を浴びたモーニング娘。

メジャーデビューとともに状況は改善されていったものの、デビュー曲の時点では歌の衣装は1着しか
用意されておらず、衣装の洗濯なども自分で行っていたり、穴が開いたら自分で繕っていたという。


また、歌の衣装以外は自前の私服であり、家族や友人から借りた服でテレビに出ることもあった。

また「ASAYAN」などが密着取材をする時以外は基本的に現地集合・解散であり、移動時やプライベート
での写真も撮られ放題の状況であった。


そんななか、3月12日、5人は「2ndシングル発売」と「メンバー増員」をつんくから言い渡される。


デビュー曲だけでユニットは解散になるかもしれないと、不安の日々を送っていた5人にとって、
待望の2ndシングル発売決定は、なによりも嬉しい知らせであった。


だがメンバー増員については、どうしても受け入れがたいという気持ちが、彼女たちにはあった。

「はっきり言ってショックです。5人でやりたいです」 石黒彩が、皆の気持ちを代弁して発言した。


5人でやっとの思いでメジャーデビューを勝ち取り、固い絆も生まれつつあったのに、そこに
何もしていないメンバーが入ってくるのだから、そういった気持ちになるのも無理はなかった。


中澤「現在の5人では物足りないから新メンバーを募集したのかも…。」
安倍「新しいメンバーが来ると、なんか落ち着かない感じ…。」


しかし、モーニング娘。のパワーが5人では足りないから追加メンバーを募集したわけではなかった。

「特定のメンバーで固定してしまうより、次々とオーディションで可能性のある新人を獲得して新戦力にしたほうがよい。
それによってお互いに励みになり成長できる。またファンの注目も集めることができる。」

スター作りに着目したつんくのこういった考え方が、その後の追加メンバー募集の基本コンセプトとして定着したのである。


「モーニング娘。」は オーディション過程がストーリーの主要な部分を占めている。

オーディションは、参加者や主催側双方に長所が多い制度である。参加者は、他人の前に立たなければならない。
その中で、歌や踊り、演技、自分のすべての才能をパフォーマンスという形で観客にアピールしなければならない。

オーディション自体が一つの訓練であり、刺激にもなって選抜過程で短時間に多くのことを学ぶようになる。

3〜5名ほどの募集に5000人が集まる途方もない競争率のオーディションに勝ち残るほどの少女であれば
相当のスター性を有しているといえよう。

お金だけかかって能力も知れている既存のアイドルを用いるより、広報効果まで加わるオーディションを通じて
新人を選ぶ方がよいという考え方である。


そして5月3日、新メンバー3名(保田圭、市井紗耶香、矢口真里)が追加され、今後は8人で活動する事になった。