小説モーニング娘。 第八章「LOVE マシーン」    

「オリコンの1位がすべての1番じゃない!」
3rdシングル「抱いて HOLD ON ME! 」で、モー娘。が初のオリコン1位を獲得、メンバーが抱き合って喜ぶ中、福田明日香だけはクールにこう言い放った。
その真意は、オリコン至上主義に陥った事務所側とそれを煽る「ASAYAN」に対する反発であった。

翌99年1月17日、カメラを覗き込みながら、福田がしっかりした口調で話し始める。
「私は今年の春にモーニング娘。を辞めることになりました。ずっと考えて出した結果が、やっぱり来年の高校受験に向けて頑張りたいという気持ちです。」
そして、4thシングル「Memory 青春の光」とそれに続くツアー最終公演(1999年4月18日 新宿・厚生年金会館)を最後に福田は、約1年半の活動に終止符を打ったのである。

福田の卒業後、5thシングル「真夏の光線」を発売(オリコン2位)。
かろうじてモーニング娘。健在をアピールできたのだが、福田のいないモー娘。は大きな空虚感となって彼女たちを襲った。
しかし、それに追い討ちをかけるように彼女たちには大きな困難が突きつけられることになった。

そう、「ASAYAN」同期の「鈴木あみ」とのシングル対決と、新たなるメンバー増員のためのオーディション告知である。
まもなく「ASAYAN」では、モー娘。と鈴木あみ両者のシングル売上枚数、初登場ランキングなどを執拗に比較しながら、両者の戦いを煽りはじめた。
1999年7月14日、6thシングル「ふるさと」リリース。結果はオリコン5位。一方の鈴木あみは堂々の1位。
「モーニング娘。敗北!」の文字がテレビ画面に大きく映し出された。

「鈴木あみ」に敗れただけでなく、過去の曲に比べ、ランキング自体が落ちている現実もあり、モー娘。メンバーはショックを隠しきれない様子であった。しかし、2ndアルバムの発売を二週間後に控えていることを考えれば、先行シングルのランキングが伸びないのも当然のことであり、モー娘。の敗北も大方の予想通りであった。

またしても話題性の為に彼女たちを競わせた「ASAYAN」の思惑通りに事は進んだのである。
また、それにつづく新メンバー、後藤真希の加入、オリコン1位奪回の新曲「LOVEマシーン」のレコーディングまでのシナリオはこの時点で既に定まっていたという。

「オリコンの順位なんて市場操作でどうにでもなる。結果に一喜一憂する彼女たちがかわいそう...。」
当時、弱冠14歳の福田明日香はすでにこのことを見抜いていたのである。