5月6日     カラカラ浴場    (Terme di Caracalla)     春夏秋冬(メヒシバ)
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古代ローマ人の代表的な娯楽のひとつに入浴があった。

ローマ市民は、昼食後に公共浴場へ行って時間をつぶすのが日課だった。


現代の欧米人は、入浴をシャワーだけですますことが多いようである。

だがローマ人は、日本人同様、浴槽に浸からないと満足できない風呂好きだった。


浴場といっても、日本の銭湯のように小さなものではない。

一度に1000人以上が入浴できるほど大規模なものが各地にあった。



                       




とくに巨大なことで知られるのが、古代ローマのカラカラ浴場である。

東京ドームの約8倍、総面積35万平方メートルの大浴場であった。


実はこの浴場、今でいう総合娯楽施設で、浴場のほか多種多様な施設がある。

劇場や美術館、フィットネス施設などがあり、市民の交流の場となっていた。


利用客はまず、フィットネスを楽しんで汗をかくと、脱衣場で裸になる。

そして蒸気浴の発汗室や、ほてった体をさます水浴室などに入浴した。

体がスッキリしたら全身に香油を塗り込み、服を着替えるのである。


ラウンジや図書館なども併設され、一日中そこで過ごす市民も少なくなかった。

一般市民だけでなく、ローマ皇帝も、よく公共浴場に通ったといわれる。

だから公共浴場では、皇帝と奴隷が一緒の湯船に入ることも珍しくなかったのだ。


カラカラ浴場の遺跡は、今もローマに残され、夏になると一部が野外劇場として

公開され、オペラやコンサートなどが開催されている。1980年、世界遺産登録。

(Viale delle Terme di Caracalla 52 in Roma)

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