アルレッティ(Arletty)

生年月日 : 1898/05/15
出身地 : フランス/クールブヴォア
没年 : 1992/07/24

16歳で軍需工場の女工となるが、やがて演劇を志し、21歳のときに
パリのキャプシーヌ劇場で初舞台を踏む。

1930年、ルネ・エルヴィル監督の「愛の甘さ」で映画デビュー。

以後「北ホテル 1938」「陽は昇る 1939」「悪魔が夜来る 1942」など、
マルセル・カルネ監督の作品に相次いで出演。

なかでも「天井桟敷の人々 1945」のヒロイン、ガランスを好演して観衆を魅了した。




代表作品

    北ホテル(HOTEL DU NORD)1938年(仏)

パリの下町に建つ北ホテル。その一室で男女が心中を図る。ピストルで女を射った男は恐怖にかられ、
自分の胸に銃口を向けることが出来ない。

銃声を聞いて駆けつけた隣部屋の男エドモン(ジューヴェ)は、男を逃がしてやった。男は自首するが、
女も一命を取り留める。やがて傷は癒えたものの、行く当てのない彼女は、北ホテルで働き始める…。

アルレッティは、ジューヴェ演じるエドモンの情婦を演じている。そのエドモンに運河を渡る橋の上で
「雰囲気を変えたいんだ」と言われて「雰囲気? 雰囲気って何なのさ」と切った啖呵はフランス映画史上
最も有名な台詞となっている。

(監督)マルセル・カルネ(Marcel Carne)(出演)ジャン=ピエール・オーモン(Jean-Pierre Aumont)
アナベラ(Annabella)ルイ・ジューヴェ(Louis Jouvet)アルレッティ(Arletty)
 
       
       
      陽は昇る(Le Jour se leve)1939年(仏)

一発の銃声が鳴り響き、一人の男が螺旋階段から転がり落ちてくる。殺した男(ギャバン)は部屋に
立て籠り、警察の要請にも応えない。やがて男は、過去を回想しながら、自ら命を絶つ。

ギャバン演じる主人公フランソワは、三角関係のもつれから女の取り合いとなり、相手の男を殺害する。
最後は警察に包囲され、自分もピストル自殺するという、悲劇的な結末となってしまう。

アルレッティは、主人公フランソワに殺された男の情婦クララを演じた。男に捨てられた腹いせに、
フランソワを誘惑するという役どころを好演している。

(監督)マルセル・カルネ(Marcel Carné)(出演)ジャン・ギャバン(Jean Gabin)
アルレッティ(Arletty)ジャクリーヌ・ローラン(Jacqueline Laurent)
       
       
    天井桟敷の人々(Les enfants du Paradis)1945年(仏)

十八世紀のパリ。パントマイム役者バチスト(バロー)は、美貌の女芸人ガランス(アルレッティ)
に恋をする。だがバチストには、ナタリーという妻がいたため、ガランスは貴族の囲い者になる。

その貴族は、アナーキストとのいざこざにより命を落とす。自由の身となったガランスは、バチスト
の腕に身をまかせようとする。だが、子供を連れたナタリーが現れると、ガランスは恋をあきらめ、
バチストを振り切って、雑踏の中に走り去っていくのだった。

パリの芝居小屋に集まる女芸人、マイム役者、俳優、劇作家等々、彼らはみな芝居という創造の世界に
熱中する人々である。彼らは、芝居という夢の世界のために、恋ですら犠牲にしてしまうのだ。

ナチス占領下という過酷な環境にありながら、本作の制作に関わった監督、スタッフ、俳優たちもまた、
芸術という夢の領域に生きる人々である。いい仕事を残しておきたいという彼らの気迫と情熱は、
みなぎる緊張感となって観る者の胸を打つ。

(監督)マルセル・カルネ(Marcel Carne) (出演)アルレッティ(Arletty)
ジャン=ルイ・バロー(Jean-Louis Barrault)マリア・カザレス(Maria Casares)
 
       

愛の甘さ(La douceur d'aimer)1930年
ミモザ館(Pension Mimosas)1935年
北ホテル(Hotel du Nord)1938年
陽は昇る(Le jour se leve)1939年
あらし(Tempete)1940年
悪魔が夜来る(Lea Visiteurs du soir)1942年
天井桟敷の人々(Les Enfants du Paradis)1945年
死の肖像(Portrait d'un assassin)1949年
外人部隊(Le Grand jeu)1954年
われら巴里ッ子(L'air de Paris)1954年
ヒッチ・ガール(Les petits matins)1962年
史上最大の作戦(The Longest Day)1962年