愛染かつら 1965年(昭和40年) ドラマ傑作選
津村病院に勤務する高石かつ枝(長内美那子)は、同僚からも好かれ看護婦の仕事に励んでいた。
彼女には若くして死別した夫との間に六歳になる娘・敏子がいた。
ある日、大学の医学部を卒業した津村浩三(吉田輝雄)が、後継者として病院に戻ってきた。
浩三の卒業祝賀パーティーが病院で開催され、その席上でかつ枝は余興に歌を歌った。
そのとき浩三が歌の伴奏を行い、これが縁で浩三とかつ枝はたびたび会うようになった。
月光の美しい夜、浩三はかつ枝を誘い、外に出た。そしてそこで求婚する。
だが、幼い子供を抱えているかつ枝は、浩三の求婚を素直に受入れることが出来なかった。
やがて誠実な浩三の熱意にうたれたかつ枝は、愛染堂の桂の木の下で堅い愛の誓を交わす。
しかし浩三は、名門の病院の令嬢と結婚させようとしていた家族の大反対にあってしまう。
第一回直木賞作家・川口松太郎の同名小説のドラマ化。
病院の跡取り息子である若い医師と子持ちの未亡人看護婦の、身分差の恋、すれ違いなど
幾度の様々な困難を乗り越えて愛し合い、結ばれる恋愛ドラマである。
主演の吉田輝雄自身が「この時代ではありえないと思った」というほどの古典的メロドラマだが、
平均視聴率28%、最終回の視聴率は38.5%という驚異的な数字を記録。
無名の新人・長内美那子は、これによって一躍「昼メロの女王」と呼ばれるようになった。
二人が愛染堂に隣する桂の木の下で愛を誓ったこのドラマのヒットにより、この木は
縁結びの霊木として「愛染カツラ」と呼ばれ、天然記念物としても名高いものとなった。
また、神戸一郎と青山和子が歌った主題歌「旅の夜風」も大ヒットした。
(制作)フジテレビ、松竹(原作)川口松太郎(脚本)富田義朗
(配役)(配役)高石かつ枝(長内美那子)津村浩三(吉田輝雄)高石敏子(清沢恵三子)
高石貞枝(月丘千秋)津村春樹(佐野周二)津村清子(三宅邦子)服部美也子(光本幸子)