赤い疑惑 1975年(昭和50年) ドラマ傑作選
大島茂(宇津井健)は、東都大学で放射線医学を研究している医学部助教授。
妻・敏江と、17歳になる娘・幸子(山口百恵)と、東京の郊外に三人で暮らしている。
フランスには舞台演出家として活躍する妹の大島理恵(岸恵子)がいる。
ある日パリ在住の理恵が日本へ一時帰国することになった。
父・茂を空港に連れて行くために大学へやってきた幸子だが、事故に巻き込まれる。
学内の爆発事故に遭い、大量の放射線を浴びてしまうのだった。
両親に慈しまれて何不自由なく育った少女が白血病に冒され、父と共に病と闘う姿を描く。
物語は、山口百恵扮するヒロインが、父親が勤務する大学病院の事故で放射線に被爆、
白血病を発症してしまい、明日をも知れぬ命となる。
そして彼女と異母兄の青年(三浦友和)との切ないロマンスが描かれる。
二人は初共演だったが、本作は、後に百恵・友和ゴールデンコンビが誕生する契機となった。
他の共演者は、産みの母親である「パリの叔母様」に岸恵子。育ての母親を演じたのが八千草薫。
この八千草が、多忙な百恵に合わせた撮影スケジュールに疑問を呈し、6話で降板する事態となった。
(7話以降は、渡辺美佐子が演じた)
それくらい当時の百恵は、殺人的スケジュールに追われていた。
多忙の百恵を全シーンおさえることが難しく、後ろ向きのシーンには代役が使われていたという。
番組の撮影の合間に、テレビを見ていたら、いつの間にか百恵が生番組で歌っていたので驚いた、
と宇津井健が後に語っている。
1974年(昭和49年)に始まったTBSドラマ「赤いシリーズ」は、金曜9時枠で、6年間で10作品を放送。
そのうち7作品に出演した山口百恵は、宇津井健と並んで、同シリーズの顔ともいえる存在だった。
1980年(昭和55年)彼女の引退とともにシリーズは終了。
本作「赤い疑惑」はシリーズ第2作目で、平均視聴率23.4%、最高視聴率30.9%を記録した。
「赤いシリーズ」全10作品
TBS「赤い迷路」(宇津井健、長山藍子、松田優作、山口百恵)1974年(昭和49年)
TBS「赤い疑惑」(宇津井健、岸恵子、八千草薫、山口百恵、三浦友和)1975年(昭和50年)
TBS「赤い運命」(宇津井健、山口百恵、岸田今日子、三国連太郎)1976年(昭和51年)
TBS「赤い衝撃」(山口百恵、三浦友和、中条静夫、草笛光子)1976年(昭和51年)
TBS「赤い激流」(宇津井健、水谷豊、竹下景子、石立鉄男、山口百恵)1977年(昭和52年)
TBS「赤い絆」(山口百恵、国広富之、左幸子、岡まゆみ、石立鉄男)1977年(昭和52年)
TBS「赤い激突」(宇津井健、松尾嘉代、国広富之、坂口良子、岸恵子)1978年(昭和53年)
TBS「赤い嵐」(柴田恭兵、石立鉄男、能瀬慶子、大石吾朗、榊原るみ)1979年(昭和54年)
TBS「赤い魂」(杉浦直樹、広岡瞬、司葉子、石立鉄男、柏木由紀子)1980年(昭和55年)
TBS「赤い死線」(山口百恵、三浦友和、宇津井健、三国連太郎、石立鉄男)1980年(昭和55年)
(制作)TBS、大映テレビ(脚本)石松愛弘、橋田寿賀子
(配役)大島茂(宇津井健)大島理恵(岸恵子)大島敏江(八千草薫/渡辺美佐子)
大島幸子(山口百恵)相良光夫(三浦友和)相良英治(長門裕之)