赤穂浪士 1964年(昭和39年) ドラマ傑作選
元禄15年(1703年)12月14日深夜、風は冷たく雪は月光に白く輝いていた。
亡き主君・浅野内匠頭の仇討ちのため、元赤穂藩の浪士たちが向かう先は、
本所松坂町にある吉良上野介の屋敷であった。
やがて、四十七名の浪士たちの足音が吉良邸に近づく…。
「それっ!」と内蔵助が低く号令。
浪士たちは二手に分かれ、次々に屋敷になだれ込んだ。
前作「花の生涯」に続く大河ドラマ第2作目。赤穂浪士の討ち入りを描く。
原作は大仏次郎の同名小説で、大石内蔵助を中心に、四十七士の人間模様が綴られる。
出演陣には、映画界のみならず、歌舞伎、新劇等、各界のスターが集結した。
前年「高校三年生」でデビューしたばかりの歌手・舟木一夫も出演している。
芥川也寸志の重厚なテーマ曲も注目を集め、大河人気を決定づけた記念碑的作品である。
大石内蔵助を演じた長谷川一夫は、戦前から戦後の長きにわたって活躍した天下の二枚目スター。
当時は、映画スターがテレビに出るというだけで大事件だった。
テレビの影響力を恐れた映画各社は、5社協定を結び、映画俳優のテレビ出演を制限していたからだ。
だが1963年(昭和38年)赤穂浪士制作陣の熱心な交渉により、長谷川は所属していた大映を退社、大河ドラマ出演を承諾。
志村喬(東宝)や大友柳太朗(東映)らも、長谷川が出るならと出演に応じた。
こうして本作「赤穂浪士」は、大河ドラマ史上最高視聴率53%を記録。
この成功を機に、他の人気俳優たちも、次々とテレビドラマへの出演を決意。5社協定を崩す一因となった。
(制作)NHK(原作)大仏次郎(脚本)村上元三
(配役)大石内蔵助(長谷川一夫)大石りく(山田五十鈴)大石主税(中村賀津雄)
浅野内匠頭(尾上梅幸)吉良上野介(滝沢修)小林平七(芦田伸介)