あしたこそ   1968年(昭和43年)       ドラマ傑作選

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18歳の摂子(藤田弓子)は、大学入試にパスした。

はずむ心をおさえきれぬ摂子だが、父母の顔は暗い。


父は文壇の異端的存在で、売れぬ作家であるため家計は苦しく、

入学金が用意できないのだ。


母・ふみは、兄夫婦を訪れるが、借金がとても言い出せない。

父は作風のあわぬ原稿も引き受けようと努力する。





だがそんな両親の動きを感づいた摂子は、大学をあっさり諦める気になった。

そんな犠牲の上に、あぐらをかいてまで進学はできない。

摂子は、両親にだまって商事会社の就職試験を受けるのだった…。



行動力で人生の転機を乗り越えるヒロイン摂子の青春物語。


ヒロインの摂子には、文学座研究生の藤田弓子(22歳)が「新鮮で明るく、シンの強い

素朴な女性」という条件にかなって、百余人の候補者の中から選ばれた。

「彼女は表情が多彩で、連続ドラマにはうってつけ」と、スタッフの間では評判がいい。


世間知らずで、のんびり屋の母・ふみを、中畑道子(劇団くるみ座)、作家の父・豊一郎に

中村俊一(劇団仲間)、会社員の兄・大輔が原田清人(俳優座)、

そして両親の友人に、佐分利信、中北千枝子という顔ぶれである。



ところで、前作の「旅路」で、新人としてヒロインに起用された日色ともゑが、11年後の

「おていちゃん」では、主人公の母親役となってワキを固めた。


同様に本作「あしたこそ」のヒロイン摂子を演じた新人、藤田弓子もやはり、11年後の

「マー姉ちゃん」では、ヒロインの母親である。


母から娘へ、時を経てその娘もやがて母親を演じ、次世代のヒロインへと受け継がれてゆく。

朝ドラという国民的作品の歴史を感じさせて、何とも感慨深いものがある。



(制作)NHK(原作)森村佳(脚本)橋田寿賀子

(主題歌)倍賞千恵子「あしたこそ」(作詞:森村佳、作曲:桑原研郎)

(配役)香原摂子(藤田弓子)香原ふみ(中畑道子)香原豊一郎(中村俊一)香原大輔(原田清人)

玲子(青山眉子)一郎(米倉斉加年)重宗恒有(佐分利信)たつ(中北千枝子)


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