新しき土   1937年(昭和12年)     邦画名作選
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養子に入った義理の兄(小杉勇)に秘かな恋心を持つ光子(原節子)

兄の妻になるのだとこの八年間、良妻賢母の修業に励んできた。

しかし、その兄は留学先のドイツからフィアンセを連れて帰国。

そして親族会議が開かれ、養子縁組を解除することになってしまう。

落胆した光子は、活火山に身を投じて死のうと決心するのだが。



1937年に日独合作で制作された国策映画である。

タイトルの「新しき土」とは満州を意味している。

劇中では、満州の新天地に明るい明日を求めようとする主人公夫婦の姿が描かれる。

1931年(昭和6年)満州事変が勃発。翌年、日本の植民地である満州国が建国された。
これ以降、満州への移民が国策として進められていたのである。


また劇中に、日独双方の国旗を掲げる場面があるが、ドイツ側はハーケンクロイツ
であり、本作の制作には、ヒトラーのナチス党が関与している事が伺われる。

三年後の1940年(昭和15年)日独伊三国同盟が結ばれており、当時日本人の最大の
娯楽であった映画を、国家が管理していたという時代背景が垣間見えるのである。


 
 
 製作   J.O.スタジオ   配給  東和商事映画部

  監督   アーノルド・ファンク

  配役    大和光子 原節子 一環和尚 中村吉次
      大和輝雄 小杉勇 神田耕作 高木永二
      大和巖 早川雪州 神田日出子 市川春代
      乳母おいく 英百合子 ゲルダ・シュトルム ルート・エヴェラー

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