晩菊   1954年（昭和29年）　　　　　邦画名作選

               

倉橋きん（杉村春子）は、元芸者で現在は、金貸しで生計を立てている。

昔の芸者仲間たちも、近所に住んでいるが、彼女たちにも金を貸しては、

きちんきちんと利子を取り立てている。

そんなきんも、昔の愛人（上原謙）が会いに来るというのでそわそわしている。



林芙美子の短編小説を田中澄江と井手俊郎が脚本化、成瀬巳喜男が監督して映画化。


芸者上りのきん（杉村春子）は、もう色恋を忘れ、金儲けに余念がない。

戦後の混乱期のなかでは、金しか頼りにならないという徹底した拝金主義者である。

そんな彼女のところへ、昔の恋人の田部（上原謙）が訪ねて来る。彼女も女である。

美男が訪ねて来て嬉しくないはずはない。いそいそと化粧などして男を迎え、酒を出す。


だが、何年ぶりかに会う男の目的が、実は金の無心だと知ると、彼女は失望して男と別れる。

金が惜しいのではない。昔の女に金を借りに来る男の不甲斐なさを見たくないのである。


本作は、名優・杉村春子の数少ない主演作で、その絶妙な演技には存分に堪能させられる。



 
　
  製作　　東宝

  監督　　成瀬巳喜男　　原作　林芙美子

配役

倉橋きん

杉村春子

田部

上原謙

中田のぶ

沢村貞子

鈴木幸子

有馬稲子

小池たまえ

細川ちか子

関

見明凡太郎

鈴木とみ

望月優子

板谷

加東大介