ビルマの竪琴    1956年(昭和31年)     邦画名作選

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太平洋戦争末期のビルマ(現ミャンマー)で戦闘を続ける日本軍部隊が敗戦を知り、復員するまでを描いた作品。

題名にもあるように、音楽が物語に大きな比重を占めている。

映画の中盤、英軍に包囲された日本兵たちが「埴生の宿」を合唱して逃走しようとすると、英軍が
「Home Sweet Home」と英語で歌い、両軍の合唱となって、無血で敗戦を知るくだりは感動的なシーンとなっている。

この映画は、音楽のもつヒューマニズムを表現した作品として、1956年ベネチア国際映画祭で芸術賞を
受賞するなど国際的にも好評を博した。


その後、現地のミャンマーでも上映しようという計画があったのだが、結局上映されずじまいに終わった。

理由はおそらく、映画の中にミャンマーの宗教的な戒律に触れる場面があったため、
現地では反感を買ってしまう恐れがあったためだと思われる。

ミャンマーは敬けんな仏教国である。仏教徒の男性は、一生のうち一定の期間を、
僧侶として過ごさなくてはならないとされる。


映画の中で、出家僧になった主人公の水島上等兵が竪琴を奏でる場面があるが、
現地の上座部仏教では、僧侶が歌舞音曲に触れることは禁じられている。

また出家僧は喜捨を受けても在家信徒に対して合掌する事はないという。
 

映画はフィクションであり、ドラマ的な面白さが求められるのであるが、
フィクションだからこそ風俗や宗教といった現地考証が大切だということだろう。

 
  製作  日活

  監督  市川崑     原作   竹山道雄

  配役    井上隊長 三国連太郎 伊東軍曹 浜村純 物売り婆さん 北林谷栄
      水島上等兵 安井昌二 馬場一等兵 西村晃 その亭主 沢村国太郎

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