父 1971年(昭和46年) ドラマ傑作選
一人暮らしの冬子(倍賞千恵子)のもとに、ある日突然、父(松村達雄)が訪ねて来る。
ぐうたらな酒のみで母を苦しみの果てに死なせた父を、冬子は幼いころから憎んでいた。
冬子は二度と来ないよう、冷たく言い渡して父を追い帰した。
数日後、父は「人生に別れを告げる」という書き置きを残して家出してしまう…。
父と娘の間の相克と、切っても切れない肉親の愛情をテーマに描くドラマ。
小さな税理事務所で働く冬子(倍賞千恵子)は、下町のタバコ屋の二階に下宿している。
彼女は、地元中学の美術教師・五郎(井川比佐志)と恋仲で、二人は結婚の約束をしている。
結婚を前にして、五郎は冬子の父親に会いたいと言うが、彼女はその必要はないという。
だが、そんな父がどこかへ行ってしまった。冬子は父のことを心配して探し回るのだった。
やがて冬子は、これまで拒否し続けていた父親への認識が変わりつつあることに気付く。
どんなに否定しようとも、肉親に対する悲しさつらさは、心に厳然として存在するのだった。
倍賞千恵子・井川比佐志・松村達雄とくれば山田洋次組。
ほろっと泣かされる場面や、笑わされる場面の作り方はやはり流石の一言。
役者が揃っていて安心して楽しめる。第26回芸術祭(1971年)優秀賞受賞作品。
(制作)TBS(脚本)山田洋次
(配役)樋田冬子(倍賞千恵子)樋田孝一郎(松村達雄)丹五郎(井川比佐志)
すみ江(奈良岡朋子)てる(杉山とく子)田中源吉(佐野浅夫)