チョコレートと兵隊   1938年(昭和13年)     邦画名作選
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ある日、印刷屋に勤める斎木(藤原釜足)の許へ召集令状が来る。

善良で小心者の彼は、戦地に行っても、勇敢な奮戦ぶりは全然見せない。

ただ送られて来る慰問袋の中のチョコレートの包み紙を貰う事に熱心だ。

その包み紙についている点数を、何百点か集めるとオマケが貰えるのだ。

彼は、日本にいる息子に包み紙を送ってやるのである。

息子はそれでチョコレート会社から、沢山のオマケを貰えるのだった。

だがある日、役所から父親の戦死の知らせが届く。

息子は、泣きながら、こんなチョコレートなんかいらない、と叫ぶのだった。



中国戦線に徴兵された父親が、息子のためにチョコレートの包み紙の点数を集める
という、小市民的悲劇を描いた作品。


前年の1937年に日中戦争が勃発。本作は、国民の戦意高揚映画として制作された。

だが出来上がった作品は、むしろ「反戦映画」ではないか、という批判が多かった。


そこで映画の最後に「ぼくは大きくなって、きっと父の敵を討つ」と、息子が誓う
シーンを追加して、ようやく検閲を通ったいわくつきの作品である。


 
 
 製作   東宝

  監督   佐藤武    原作 小林勝

  配役    斎木達郎 藤原釜足 印刷屋・坪内 生方賢一郎
      妻・きく 沢村貞子 娘・茂子 高峰秀子
      長男・一郎 小高まさる 岸よし子 霧立のぼる
      長女・千代子 若葉きよ子 渡辺一等兵 津田光男

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