だいこんの花 1970年(昭和45年) ドラマ傑作選
永山忠臣(森繁久彌)は、巡洋艦「日高」の元艦長であり、現在は隠居の身である。
妻を亡くし、息子・誠(竹脇無我)と家事手伝いのトミ子(川口晶)と暮らしている。
息子の誠は真面目な会社員、トミ子はあっけらかんとした男勝りな性格だった。
ある日、年頃の誠を心配して忠臣の妹・咲代(ミヤコ蝶々)が見合い話を持ってきた。
見合いの相手は、忠臣の戦友である櫛田(宇佐美淳也)の娘・冬子(江見早苗)だった。
見合いの当日、誠と和服姿の冬子は、緊張しながらもいい雰囲気で会話が弾んだ。
そこへ忠臣が遅れてやってきてテーブルについた。
戦争の話題が大好きな忠臣は、櫛田と戦時中の話しをはじめる。
だが、ついつい熱が高まった二人は激しい口論となり、見合いは壊れてしまった。
元巡洋艦長の父と適齢期の一人息子との世代断絶と心の交流を描いた作品。
昔の事が忘れられなくて、すぐに怒鳴ったり、威張ったりする父親は、都合が悪くなると
かつての部下(大坂志郎)が経営している小料理屋に逃げ込んでしまう。
しかし父親にとっては、自分の心の中に生き続けている亡き妻(加藤治子)が理想の
女性で、息子にもそういう嫁を迎えてやりたいと願っている。
見合いが壊れたあと、忠臣は誠とふたりで風呂へ入った。
息子の誠は父の背中を洗ってやろうと思い声をかける。
忠臣は息子に背中を流してもらいながら、だいこんの花について語り始める。
静かに咲いては散っていくだいこんの花は、どこか妻の繁子に似ていた。
「結婚するならだいこんの花のような女性を」忠臣は誠にそう語るのだった。
本作は、向田邦子の原作によるドラマで、好評につきシリーズ化された。
息子の竹脇無我は、シリーズが代わるごとに独身に戻り、結婚相手も、川口晶、
関根恵子、いしだあゆみと代わっている。
(制作)テレビ朝日(NET)(原作)向田邦子(脚本)松木ひろし、向田邦子
(配役)永山忠臣(森繁久彌)永山誠(竹脇無我)永山繁子(加藤治子)トミ子(川口晶)
相馬京太郎(大坂志郎)柄崎なまず(砂塚秀夫)山本咲代(ミヤコ蝶々)