ふり袖捕物帖　若衆変化    1956年（昭和31年）　　　邦画名作選

お江戸八百八町で、若い娘ばかりを狙った人さらい事件が発生する。

おてんば娘お七は、仲間の源次郎に犯人捜しを頼むが、彼はへなちょこ侍で全然役に立たない。

業を煮やしたお七は、十手を片手に岡っ引き姿で聞き込みをはじめる。

ある夜、お七は、黒覆面の浪人達に襲われるが、風のように現われた白頭巾の剣士に救われる。

以後、お七は、謎の白頭巾（実は源次郎）に思いを寄せながら事件に立ち向かう。



瀬戸口寅雄原作、鈴木兵吾脚本、松村昌治監督、ひばりと橋蔵の共演第五作目。


ひばりと橋蔵でお馴染みのコンビもの。ひばりは、町娘から姫様まで七変化で歌や踊りも見せる。

橋蔵は、腰抜け侍と白頭巾の剣士を演じて魅力満載、明るく楽しい大捕物が展開する娯楽時代劇。


時代劇は、主役がたいてい男優と決まってる。だが美空ひばりだけは、唯一の例外である。

彼女は、主演した本数でいっても、日本映画界の女優のトップに位置づけられるだろう。


ひばりはほとんどの時代劇で男装をするが、今回も岡っ引きや若衆姿などに扮して大活躍する。

立ち回りもなかなかのものだ。もちろん歌が目当てのファンにもちゃんとサービスしている。


ひばりが悪人に追い詰められると、あまりにもタイミングよく白頭巾が現れて助けるところは、
多分にご都合主義だが、そこは、ひばりと橋蔵のロマンスでカバーして幕。



 
 

  製作　　東映

  監督　　松村昌治　　　原作　　瀬戸口寅雄