ガラスの中の少女 1960年(昭和35年) 邦画名作選 |
中学時代の同級生・靖代と陽一は、卒業後バッタリ再会を果たした。
二人の距離はしだいに近づいていくが、厳格な靖代の父親は二人の仲を反対し、
執拗なまでに靖代に厳しくあたる。
とうとう引き離されそうになった二人は、ある決心をする…。
直木賞作家・有馬頼義の同名小説を、若杉光夫が映像化した純愛悲劇。
吉永小百合の初主演作としても知られる。
朝霞たちこめる山あいの湖水に、一隻のボートが浮かんでいる。
中には少年と少女が寄り添って、美しく眠っているかのように横たわっていた。
霧が晴れて、やがて朝の陽が、湖水をキラキラと輝かし始めても、二人は動かなかった。
その姿は死という暗い名を与えるには、あまりにも清々しく美しすぎた。
二人を死にまで追いつめたものは、一体何だったのであろうか。
映画では、大学教授の娘・靖代と工場に勤める陽一の若く淡い恋が描かれている。
二人は、まるで天使のように純粋無垢で、くったくなく交際していただけであり、
彼らを執拗に引き離そうとする大人こそ不純である、という視点が貫かれている。
まだ自分の力で人生を切り拓く事のできない、思春期の幼く傷つきやすい靖代と陽一。
純粋ゆえに死という選択肢しかないと思い込んでしまった二人の悲劇の物語である。
製作 日活
監督 若杉光夫 原作 有馬頼義
配役 | 靖代 | 吉永小百合 | 母 里子 | 轟夕起子 | ||||||||
父杉太郎 | 信欣三 | 陽一 | 浜田光夫 |