銀嶺の果て  1947年(昭和22年)      邦画名作選

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三人組の銀行強盗が、雪の北アルプスに逃げ込んだ。

氷雪はきびしく、仲間の一人が雪崩に巻き込まれて姿を消す。

辛くも生き残った野尻と江島の二人は、雪に埋れた山小屋を発見した。
その小屋には老人と孫娘、そして本田という登山家が暮らしていた。

山小屋の住人に温かく迎えられた二人は、その夜、山小屋に一泊する。
翌朝二人は、登山家を脅迫して雪山を案内させ、強引に雪山を突破しようとする。

だが途中、江島が足を踏み外し雪渓に転落。
彼を全身の力で支えた登山家は、腕にザイルを巻き付けたまま意識を失ってしまう。




脚本は黒澤明、監督は谷口千吉。雪山を舞台にした山岳サスペンスの傑作。
三船敏郎のデビュー作としても知られる。


腕を折って動けない登山家を放って行こうという江島に対し、野尻が反対し、争いが始まる。
格闘の末、江島は雪渓に転落、一命を失ってしまう。

仲間二人の生命を奪ってしまった巨大な自然の前に、老いたる野尻はもはや無力な存在だった。
もうこれ以上彼は、一人で欲望をかざして生きたいとは思わなくなっていた。


自首の決意を固めた野尻は、登山家を背負い、静かな足どりで雪山を降りて行った。

凶悪犯たちは雪山に飲み込まれ、最後に人間らしい心を取り戻した野尻だけが生き残るという
勧善懲悪の図式は、後に続く黒澤作品においても共通して貫かれる定番テーマとなっている。




 

  製作  東宝

  監督  谷口千吉

  配役   野尻 志村喬 高杉 小杉義男   春坊 若山セツコ
      江島 三船敏郎 老人 高堂国典   本田 河野秋武

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